麹菌は日本の発酵食品の立役者
麹を使った発酵食品である甘酒と塩麹。「飲む点滴」、「魔法の調味料」などと呼ばれ、今、脚光を浴びている。
日本で古くから清酒や味噌、醤油などに使われてきた麹菌は、ニホンコウジカビといい、学名はアスペルギルス・オリゼーという。麹菌を蒸した米や麦、大豆などに増殖させたものが、「麹(米麹、麦麹、豆麹)」だ。
麹を使った発酵食品が腸の健康や美容によいといわれるのは、麹菌の“酵素”生産力が強いから。酵素は、栄養の消化や吸収といった体の働きにかかわる物質。麹菌が作る酵素は、種類も量も、微生物の中でずば抜けて多い。でんぷんやたんぱく質を分解する力は、「“木っ端みじん”にするといってよいほど」(白澤教授)。それでいて、食べても安全ということで、さまざまな発酵食品に使われている。
ビオチンや葉酸などビタミンB群を増やす
米麹には、ビタミンB1、B2、B6、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ナイアシンなど、特にビタミンB群が豊富に含まれている。ビタミンB群は、肌や爪、髪を健やかに保ったり、疲労回復にもかかわるとされ、ドリンク剤などにも配合されている。江戸時代には夏バテ予防の栄養ドリンクとして飲まれていた。
麹菌が、B群を増やす力を持つことは知られているものの、その仕組みは、ほとんど研究されてこなかった。
それが昨年、麹菌がビオチンをつくるメカニズムが突き止められ、注目されている。研究を手がけた東京大学大学院農学生命科学研究科微生物学研究室の丸山潤一助教は、「麹菌の細胞内のペルオキシソームという小器官で、ビオチンの生合成に関わる酵素が働き、合成されることがわかった」と話す。
なお、ビタミンB群は水溶性なので、体内に蓄積できない。美肌効果を狙うなら、毎日少しずつ飲み続けるのがいい。
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