果物料理と果物食品加工

ビタミン・ミネラルに果物の仄かな香りに目覚める フルーツソムリエ

「深く心を痛めています」 天皇陛下のメッセージ

2011-03-25 12:48:25 | 高野山
asahishinnbunnhsa

「深く心を痛めています」 天皇陛下のメッセージ全文以下の通り。(宮内庁発表の原文のまま)                                                                朝日新聞社承諾書番号 A11-0579

                             2011.03.23

この度の東北地方太平洋沖地震は、マグニチュード9.0という例を見ない規模の巨大地震であり、被災地の悲惨な状況に深く心を痛めています。地震や津波による死者の数は日を追って増加し、犠牲者が何人になるのかも分かりません。一人でも多くの人の無事が確認されることを願っています。また、現在、原子力発電所の状況が予断を許さぬものであることを深く案じ、関係者の尽力により事態の更なる悪化が回避されることを切に願っています。

 現在、国を挙げての救援活動が進められていますが、厳しい寒さの中で、多くの人々が、食糧、飲料水、燃料などの不足により、極めて苦しい避難生活を余儀なくされています。その速やかな救済のために全力を挙げることにより、被災者の状況が少しでも好転し、人々の復興への希望につながっていくことを心から願わずにはいられません。そして、何にも増して、この大災害を生き抜き、被災者としての自らを励ましつつ、これからの日々を生きようとしている人々の雄々しさに深く胸を打たれています。

 自衛隊、警察、消防、海上保安庁を始めとする国や地方自治体の人々、諸外国から救援のために来日した人々、国内の様々な救援組織に属する人々が、余震の続く危険な状況の中で、日夜救援活動を進めている努力に感謝し、その労を深くねぎらいたく思います。

 今回、世界各国の元首から相次いでお見舞いの電報が届き、その多くに各国国民の気持ちが被災者と共にあるとの言葉が添えられていました。これを被災地の人々にお伝えします。

 海外においては、この深い悲しみの中で、日本人が、取り乱すことなく助け合い、秩序ある対応を示していることに触れた論調も多いと聞いています。これからも皆が相携え、いたわり合って、この不幸な時期を乗り越えることを衷心より願っています。

 

 

 

 

生かせ いのち  五観の偈

2011-03-16 16:07:01 | 高野山
 
五観の偈(二)

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岐阜県のある中学校の校長先生を勤められた方から、次のような話をお聞きしまし
た。
 新しく赴任した中学校は生徒間同士が非常に荒れており、当初大変なところにご縁
があったものだと思ったそうですが、なぜ荒れているのかを調査するため、子どもた
ち一人ひとりの家庭での生活状況について細かくアンケートをとったそうです。その
結果、荒れている子の九割の家庭で、朝食を食べずに登校していたことがわかりまし
た。そのため少しのことで切れやすく、イライラした心が静かに聴き入る心を妨げ、
授業ができないのではないかと考えました。
 校長先生は学校をあげて、必ず朝食をとらせて登校させるように親たちに懇願し、
毎朝、子どもたちに朝食をとったかどうかを確認する運動を展開したところ、市内で
一番荒れていた中学校が本来の学校の姿に戻ったとおうかがいし、改めて食育の大切
さを痛感しました。
 そこで仏教が食事の心の大切さを示す「五観(ごかん)の偈(げ)」についてお話
ししたいと思います。
 私たちは、修行中、食事をする前に食事(じきじ)作法をしますが、そのなかで、
五観の偈という五つの項目を一つひとつを声を出して読み上げます。心を観想し(心
を落ち着け)、
項目の内容に心をめぐらせ、偈文(真実の言葉)を読むのです。私が修行中は、若さ
もあってか早く食事作法を済ませ温かいものを食べたいと思う心が先に立ったもので
す。この年になり当時のことを反省していますが、今改めてこの内容の重要さを再認
識させられています。
 その第一項は、「一(ひとつ)には功(こう)の多少を計り彼(か)の来処(らい
しょ)を量れ」といいます。

Ikase_inochi


 意味は、食べ物がこの膳に来るまでに多くの労力と手間がかかっていることをよく
感じ、この食べ物がどこからどのようにして来たかを感じて食べなさいということで
す。
 私たちは日頃何も考えずに食事をしていますが、今食べようとしているこの食材を
考えてみると、まず天地の恵みがあり、野菜が作られた生産者の苦労があり、魚なら
その魚を獲るために大海に船を出し、命がけで漁業を営んでいる猟師さんたちの苦労
があります。そして、食材を日夜運送している流通関係の人たちの苦労があり、次に
小売店やスーパーなどで商いをしている人たちの苦労あり、その食材を買ってきて料
理して下さった家族の労を得て、ようやく私たちは食することができるのです。しか
も、食材の動物、植物の命をありがたくいただいて生かされているのです。
 そのご恩に対し、食する前に合掌し「いただきます」と感謝の心を表すことが、今
までの日本人としての謙虚な姿だったと思います。しかし、人間の欲望にかられた物
質文明ばかりを追い求め、お金さえあれば何でも自由に手にすることができる今日、
多くの目に見えない力によって「生かされている」という大切な心を忘れてしまって
いるように思います。もし感謝の心を忘れていたとお感じになられましたら、今日か
らぜひ、実践して下さい。
                            南無大師遍照金剛
岐阜県中津川市寶心寺 住職 星島 光雅
参与770001-4228