高槻成紀のホームページ

「晴行雨筆」の日々から生まれるもの

浦和のタヌキの食性 月ごとの分析結果 2022年7月-8月

2022-10-13 13:59:38 | 最近の論文など

<2022年7月15-27日>
7月の糞では種子が多かったが、その主体はエノキであった。種子だけのものもあったが、果皮がついたままのものもかなりあった(図7-1)。今年の果実はまだ緑色で枝についたままであるったが、早く熟した果実が落下したのを食べたのかもしれない。8月11日には赤く色づいたエノキの果実を確認した(図7-2)。クワの種子も検出されたが(図7-1)、これも今年のものであろう。昆虫はほとんどが細かく分解されていた。イネ科の葉が多いサンプルもあった。人工物としては白くゴムのような弾力のあるものが検出されたが(図7-2)、量は少なかった。イネ科の葉が多い例や、甲殻類が多い例もあった。2例であるがドングリが検出された(図7-1)。1例ではほとんど全体が検出され、内側の子葉部分(でんぷん質)は消化されていた。ドングリは供給量は大きいがタヌキの糞からはほとんど検出されないので、珍しい事例と言える。調査地にはコナラは多く、ドングリは大量にある。小林が設置したセンサーカメラにはタヌキがドングリを食べた瞬間が撮影されていた。タヌキにとってドングリは殻の部分が硬いために砕きにくく、食べたときに「味わう」ことにならないため、食べないのかもしれない。同じ食肉目でもクマはドングリを非常に好むので、興味深い。「甲殻類」としたものの一部はアメリカサリガニの「顎脚」と似ていた(図7-1)。


図7-1. 2022年7月の検出物 格子は5 mm

図7-2. 2022.08.11 浦和商業北側エノキの果実

<2022年8月18-20日>
脊椎動物や甲殻類は減少し、昆虫は安定的だった。少ないが巻貝が検出された(図8)。エノキの果実、種子が非常に多かった。図8-1には巻貝をあげた。巻貝は分サンプルに入っていたが、小林の観察によると、タヌキの糞を食べにきている巻貝があることがわかり、これはタヌキが食べたのではないことがわかった(図8-2)。


図8-1. 2022年8月の検出物


図8-2. タヌキの糞を食べにきた巻貝(2022.9.8 小林撮影)



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 浦和のタヌキの食性 月ごと... | トップ | 浦和のタヌキの食性 月ごと... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

最近の論文など」カテゴリの最新記事