宮城県東松島の復興の森のフクロウの食物
高槻成紀・福地健太郎
<摘要>宮城県東松島市にある「復興の森」にかけたフクロウの巣箱に残された残存物を分析したところ、アカネズミ属の下顎骨6例、ハタネズミ属の下顎骨12例のほか、アズマモグラの上腕骨1例、ヒミズの上腕骨4例が検出された。鳥類の骨と羽毛も検出されたが、個体数推定は困難であった。森林性のアカネズミ属と草原性のハタネズミの双方が検出され、「ハタネズミ率」が66.7%であったのは他の場所と比較して多い方であった。このことは、調査地が丘陵地の落葉広葉樹林であり、周辺に丘陵の間にある谷津田と接していることを反映していると考えられた。
図 1 復興の森とフクロウの巣箱の位置.ツリーハウスは 木に木製の小屋を作ったもの,サウンドシェルターは 林の中で音を聞くための構造物
図 2 フクロウの巣箱と巣箱から顔を見せるヒナ.背後に いるのは親鳥 . 2021 年 5 月 23 日 , センサーカメラに よる
表 1 検出物の数
図3. 検出物
なお、巣箱に残った骨の中で大きめの鳥の足があり、足輪がついていました。山階鳥類研究所に問い合わせたらレース鳩であることがわかりました。
図 4 検出されたやや大きい鳥の足と骨 . A. 足 , B. 上腕骨 , C. 手根中手骨
図 5 検出された足輪。レース鳩のものであることが判明した
表 2 既往研究の「ハタネズミ率」の比較.「ハタネズミ」はハタネズミ属(Microtus),ビロードネズミ属(Eothenomys), ヤチネズミ属(Craseomys)など含む vole を指す.Suzuki et al. (2013) は複数の巣箱を比較しており,率に幅がある.
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます