甲州市菅田天神社のフクロウのペリット内容 – 市街地での1例
高槻成紀・植原彰
Strix,40: 129-135. 2024
日本のフクロウは森林に住むアカネズミ類を食べるというのが定説でしたが、わたしたちが八ヶ岳で調べたら牧場に近いところではハタネズミの割合が高いことがわかりました。その後、町中では鳥がよく食べられているという報告がチラホラではじめました。山梨の乙女高原で一緒に植物や訪花昆虫をしらべている植原さんと話していたら、以前に甲州市の神社の木立でペリットを集めていたということで、分析させてもらいました。そうしたら確かに鳥が多く検出されました。タヌキでもそうですが、融通のきく食性を持つ動物の場合、とにかく具体的な事例の蓄積が不可欠で、私はそういう事実の記録に役立ちたいと思っています。
<摘要>2001年5月に山梨県甲州市の神田天神社の森で採集したフクロウのペレット37個を分析した。げっ歯類、鳥類、食虫動物の出現頻度は、それぞれ26、24、4であった。この研究における鳥の出現頻度(64.9%)を以前の研究と比較したところ、森林や里山(約10 %)よりも高く、都市地(約70 %)と同様だった。本調査の結果は、都市域に生息するフクロウが獲物として鳥に依存する可能性を裏付けるものであった。
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調査地
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検出物
検出物内容
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既往研究におけるフクロウの食性に占める鳥類の生息地別出現率(%)。森林1:白石・北原(2007)、森林2:松岡(1977)、里山1:米田ほか(1979)、里山2:今泉(1968)、市街地1:本研究、市街地2:森井・塩入(1996)、市街地3:内山ほか(2014)
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