広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

美心タバコ袋

2020-03-05 00:18:09 | 昔のこと
もらいものの紙袋
お店で品物を入れてくれる袋によくあるサイズ。使い古しで新品ではなさそう。
緑色で印刷されたデザインに興味をひかれた。裏表とマチそれぞれ違うイラストや文言が印刷されている。
「花と緑の街」「吸いがらの投げ捨てはやめましょう」

「「美心」いっぱいの秋田市でお待ちしています」「新幹線の走る街」「たばこは秋田市内で買いましょう」

イラスト。
1つは「市の花 サツキ」。塗りつぶしすぎているし、正面がちに描きすぎて花弁がつながっていることが伝わらず、葉っぱも光沢感がありすぎるようで、いまいちサツキらしくない。
もう1つは、秋田新幹線「こまち」の初代車両E3系電車。モデルは量産先行試作車(R1編成)ではない、量産後の編成だと思われる。こちらはうまく描かれている。
JR東日本系列の店舗でレジ袋にE3系が描かれていたのを紹介したが、この袋にも。
地元での秋田新幹線への期待と親しみを感じさせられる。今だったら、JR東日本の許諾が必要で、やりづらいかもしれない。


そもそも、この袋の用途は?
下に市章とともに「秋田市」、そしてキャッチフレーズの「吸いがら」「たばこ」。

タバコを買った時に入れる袋だ。
たばこ税は市町村にも入るから、かつてタバコに寛容だった時代は「たばこは市内(町内、村内)で買いましょう」と書かれた看板、パンフレット、ライターなどが全国的に見られたようだ。この袋もその一種だろう。
税金をもらう秋田市側が作ったのか、生産や小売の団体(今はなきたばこ会館)が作って、市は名前だけ貸したのか。


側面や文章も見ておこう。※画像を小さくしすぎました。
「あなたの街です。自然です。」「吸いがらの投げ捨てはやめましょう。」

「「美心」いっぱいの秋田市でお待ちしています。」

書体。側面の「あなたの街です。自然です。」だけ明朝体で、ほかは角ゴシック体。秋田新幹線開業直後だとすれば、写植からパソコンへの移行期間だろう。フォントを特定したいところ。
雰囲気としては、古臭さは感じないが、今風でもない。ワープロ専用機の文字も連想させる。
現行の主要メーカーのフォントと突き合わせると、同一の書体は見つけられなかった。写植メーカー「写研」でもなさそう。
明朝体もゴシック体も、リョービイマジクス(現在はモリサワに譲渡)やモトヤ(昔のワープロ専用機でよく採用された)の製品に似ているものの、微妙に違う。分からなかった。


最後はキャッチフレーズ。
「「美心」いっぱいの秋田市でお待ちしています。」が気になる。
秋田市内で使うはずの袋に「秋田市でお待ちしています」と書いても意味がなさそうなのもそうだけど、何より「美心」って何?

調べると、1998年3月策定「秋田市観光振興計画」が出どころ。「びごころ」と読む。
同計画の「メインテーマであり、美酒・美食・美林を彷彿させる「美」をコンセプトとしたもの」。
秋田県の「美の国あきた」も意識していたのかもしれない。
「美の国あきた」は1990年度「秋田県新総合発展計画に関する提案」で知事賞優秀賞となった「美の国あきたづくり」を活用したキャッチフレーズが初出で、その後広まった。現在も公式に使われるのは県のホームページ「美の国あきたネット」くらいかな。

その後、2001年の「第9次秋田市総合計画」にも出たり(上記の読みや意味は、ここで解説されていた)、2001年3月にリニューアルした秋田市観光案内所で「美心いっぱいの担当者が丁寧に秋田の魅力をご案内しています。」とされたり、ソウル便就航を受けて2002年度に「あいさつ言葉や習慣の違いなどをまとめた「美心ふれあいガイドブック」を作成」したりしていた。
でも、当時も「美心」を見聞きした記憶はないし、その後はとんと使われなくなって現在に至る。

秋田新幹線開業は1997年3月。その時点では「美心」は未登場だった可能性が高い。1998~2000年辺りで作られた袋ではないだろうか。あまり後になると、E3系のブームもさめただろうし…
袋をどのくらい作ったのかにもよるが、その後しばらく各店舗で使われ、タバコ屋さんによっては今も未使用で残っていたりするのかもしれない。

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