木村忠啓の大江戸百花繚乱

スポーツ時代小説を中心に書いている木村忠啓のブログです。

いちばん大切なこと。

2012年06月03日 | 日常雑感
ドロシー・ロー・ノルト。
ベストセラー作「子どもが育つ魔法の言葉」の著者である。
この人の著作に「いちばん大切なこと。」という本がある。
その本を見かけたのはほんの偶然に過ぎない。
いつも乗るJRの駅で、キヨスクで時間が少しあるからと手にしたのが「いちばん大切なこと。」であった。

あのね、ものには順番があるの、自分の番がくるまでまとう
きっとだよ
そして、とびきりすてきな自分になろうね!


この詩の冒頭には惹きつけられたものの、一番感動したのは後記とも言える作者の解説文だった。

いちばんすてきな自分になること
いちばんすてきなことをすること
いちばんすてきなものをあたえること



の文は平易で直截だが、胸を打たれた。続けて、

たいていの人は、自分は何をもっているが重要だと思って暮らしています。でもわたしは、長い人生を生きてきて、ほんとうに大事なのは、いまあげた三つのことではないか、と思うのです。違う言い方をしてみましょうか。

あなたはどんな人間か、どんなふうに生きているか
あなたは何をしているか、どんあふうに行動しているか
あなたはほかの人にどんなふうに与えているか

そして最後に、あなたは何をもっているか


詩自体は、読み方によっては教育的な押し付けになりそうな詩なのだが、ギリギリの線でそうならないのは、著者の視線の温かさゆえだろう。
それは、次の一文にも表れている。

「わたしってかわいそう」
と思うより
「わたしってこんなところがすてき」
と思うほうがだいじです


現代はストレス社会と言われ、ストレスは発散すべきだと喧伝される。
パチンコがストレス発散になると言う人もいるし、ジョギングがいいと言う人もいる。
ドカ食いがいい人もいるし、酒に走る人も多い。
けれども、いくらストレスを発散しても、ストレス発生の根源がそのままであれば、一時的なものに過ぎない。
ストレスとは必ず発散しなければならないものなのだろうか。

送られてきたジャンクメールをたまに見ると、金儲けの話が書かれている。「今までは辛い仕事も家族のためと思って、身を粉にして続けて来た。けれども、発想を変えれば、すぐに巨額の金が手に入る」などとの虚言を吐いて、現代版ネズミ講へと誘い込もうとするメールが多い。

仕事、って本当に辛いばかりのものなのだろうか。
楽して得たお金って、人を幸せにしてくれるのだろうか。
金持ちだからといって必ずしも幸せであるとは限らない。
江戸時代の町民なんて、ほとんどがその日暮らしの貧乏人であったが、自分たちが不幸だと思っていなかっただろう。
考え方を変えなければ、環境がいくら変わっても幸せにはなれない。

いちばんたいせつなことは、自分の中にある。
そんな些細なことに気づかずに、情報化時代の住人と呼ばれる現代人は、かく言う自分自身を含めて、あくせくしている。

ドロシーは詩人ではない。
直截な表現が読む人の胸を打つのは、生き方に信念と優しさがあるからだ。
善悪を問わず名を残す人は、何か非凡なものを持っている。
浅原しかり、ホリエモンしかり。
けれども、自分は誤魔化せない。
地位を得ても、巨万の富を得ても、幸せは別のことろにある。
真の幸せを得る人とは、ドロシーのように、行動と思考が一致した人間だと思う。

参考:いちばん大切なこと。(PHP研究所)ドロシー・ロー・ノルト

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2 コメント

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Unknown (藤井)
2012-06-13 15:37:51
MLでお世話になっている藤井です。
今日、このブログの存在に気づき読ませていただきました。
とても参考になりました。
参考文献としてあげられていた本を二冊さっそく注文しました。
同じく時代劇を書いておりますが知識不足なため資料頼みでのろのろ書いております。
いま現在は新撰組絡みの作品を書いております。とはいえ手放しで新撰組ラブではないですが。
とりあえず佐幕派です。
また色々と教えてください。
ブログの更新、楽しみにしています。
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Unknown (木村謙之助)
2012-06-19 23:47:32
コメントありがとうございます。幕末は本当に歪んだ史実で満ちていますね。子供の頃、お札になった人は素直に偉人だと思っていましたが、今考えればとんでもない間違いだと思います。知識不足と仰いながら角川最終選考は凄いです! 僕は不器用なので、ハードから入ったという感じです。
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