チョルテカは暑い。暑いので食欲もいま一です。
少しでも食べ過ぎたり、あるいは飲みすぎたりすると、敏感に体が反応します。これも暑さのせいかもしれません。
もともと胃がそんなに丈夫な方ではありません。
ある日のこと、
「いやー、何となくここ数日胃がもとたれてしまっていてね。」
と事務所の同僚のホンジュラス女性に相談すると、彼女は真顔で質問してきました。
「熱はある。」
「何となく。」
「食事の前にたくさん水を飲んだ。」
「いやそれほどでも。」
「Esta empachado」
と言われました。
「何だこの単語は?」
初めて聞く言葉でした。
「医者はEmpachoを信じないよ。でも私たちは信じている。誰かにSobarしてもらわないといけないな。あそこのおばさんに頼んでみようか。」
知らない医学用語が続きます。
Sobarの意味について辞書で確認すると、どうやら胃をさすってもらうことらしいことがわかりました。
Empachoとは何かと聞くと、食べ物か何かが胃にへばりついて、それが消化できずに熱、食欲不振、疲れなどの症状を引き起こす病気のようでした。
急いで食事をしたり、噛まずに飲み込んだりするのが原因で、パン類は特にこの症状を引き起こすということを聞きました。
そういえば、数日前、市場の前で手作りパン(日本でいうとカステラに似ている)を2切れほど買い、あまりのおいしさに、あまり噛まずに飲み込んでしまった記憶がよみがえりました。
きな粉のようなものがまぶしてあり、それがまた美味でした。
甘さは控えめではありませんでしたが、この国では白砂糖ではなく粗糖が標準なので、こくのある甘さです。
工場ではなく家の窯で焼いたパン。午後の定刻に、市場で売りにくるおばさんがいます。すっかり顔見知りになり、最近は毎日欠かさず買っていて、少しお腹が膨れ気味でした。
確かに体調が今一なので、同僚が勧めるマッサージを頼んでみることにしました。
薬物を飲むわけではなく、注射をされるわけでもないので気楽です。
炎天下を歩くこと10分、町外れの民家にたどり着きました。
ちなみに彼女はいつも炎天下では傘をさします。こんなまめなホンジュラス人を見たことがありません。
「アナ、いる?」
彼女の呼び声に、奥から細めの婦人というかおばさんが出てきます。
「最近はどう」
世間話が始まりました。
そして待つこと数分。ようやくぼくのことを紹介してくれ、マッサージをする時間があるかを聞いてくれました。
「いいわよ。そこに横になって。」
固めのベッドに横になりました。
そしてお腹を出し、パンツも少し下げるよう指示がありました。
素直に従います。
アナさんは家の奥の部屋から油のような液体を持ってきて、お腹に垂らしました。
冷たくはありません。ドロッとしています。
そしてゆっくりと胃の上部をさすり始めました。
肋骨の下を押し、だんだん強くなっていきます。
胃の上部から下部へ半円を描くようにさすってきます。結構気持ちいいが、強めなので圧迫感を感じます。
「ここ見て。ほら、しこりがあるでしょ。」
彼女からある部分をさすりながら言いました。
確かに、彼女の指摘した部分には数センチのしこりのようなものがあります。
彼女はスペイン語でそれを「小石」と表現します。
彼女はそのしこりを下腹部に移動させるようにマッサージしていきます。
そしてそのしこりは腸の方へ下がり、最後には感じなくなりました。
「これで大丈夫よ。あとは家で下剤を飲んでこのしこりを出せば体調は回復するわ。」
「えっ?下剤を飲むの」
「そうよ。そうしないと効果は半減ね。」
知りませんでした。
でもとりあえずお腹は気持ちよくなったので、立ち上がりズボンをはいて、丁寧にお礼を言いました。
同僚のエディが、
「いくらかお金を払うのよ」
と目配せをします。
「いくら払えばいいですか?」
と聞くと、
「気持ちでいいのよ。」
の声。
とりあえず30レンピーラを差し出して、
「ジュースでも飲んでください。」
お礼を言うと、アナさんは嬉しそうに受け取り
「グラシアス」
と言いました。
自宅に着く前に薬局により、指定された下剤を購入しました。
マグネシウムが主成分で、そんなに毒性もなさそうです。
下宿先についてすぐに飲みました。
その日は食事をしてはいけないということで、そのまま部屋で休みます。
数時間後、すごい下痢。
何回かトイレで便を全て出し、その日はそのまま寝ることになりました。
翌日、胃の状態は回復し、いつものようにおいしく食事を食べることができました。
民間療法ですが、なかなか効力があります。
Empachoを辞書で探したところ、「消化不良」と書かれています。
この件以来、このEmpachoの症状が出るたびに、
「誰かこのへんでsobarできる人を知らないか。」
と尋ねるのが習慣になりました。
高校の守衛さん、お掃除のおばさん、事務所の秘書、とたくさんの人にマッサージをしてもらいました。
胃を直接マッサージするだけではありません。
マッサージにはいろいろな方法があることを知りました。
親指と人差し指の間の手の水かきの下の部分にしこりがあるかを調べる人がいます。腕の関節の側面部分のしこりをさする人もいます。
診断する方法も多種多様でした。
下剤は大変なので、症状が軽いときはマッサージだけにするようになりました。
誰に頼んでも症状が和らぎます。
「これは大変優れた民間療法だな」
と感心しています。
日本では誰にこのマッサージをしてもらえばいいのか少し心配になってきました。
少しでも食べ過ぎたり、あるいは飲みすぎたりすると、敏感に体が反応します。これも暑さのせいかもしれません。
もともと胃がそんなに丈夫な方ではありません。
ある日のこと、
「いやー、何となくここ数日胃がもとたれてしまっていてね。」
と事務所の同僚のホンジュラス女性に相談すると、彼女は真顔で質問してきました。
「熱はある。」
「何となく。」
「食事の前にたくさん水を飲んだ。」
「いやそれほどでも。」
「Esta empachado」
と言われました。
「何だこの単語は?」
初めて聞く言葉でした。
「医者はEmpachoを信じないよ。でも私たちは信じている。誰かにSobarしてもらわないといけないな。あそこのおばさんに頼んでみようか。」
知らない医学用語が続きます。
Sobarの意味について辞書で確認すると、どうやら胃をさすってもらうことらしいことがわかりました。
Empachoとは何かと聞くと、食べ物か何かが胃にへばりついて、それが消化できずに熱、食欲不振、疲れなどの症状を引き起こす病気のようでした。
急いで食事をしたり、噛まずに飲み込んだりするのが原因で、パン類は特にこの症状を引き起こすということを聞きました。
そういえば、数日前、市場の前で手作りパン(日本でいうとカステラに似ている)を2切れほど買い、あまりのおいしさに、あまり噛まずに飲み込んでしまった記憶がよみがえりました。
きな粉のようなものがまぶしてあり、それがまた美味でした。
甘さは控えめではありませんでしたが、この国では白砂糖ではなく粗糖が標準なので、こくのある甘さです。
工場ではなく家の窯で焼いたパン。午後の定刻に、市場で売りにくるおばさんがいます。すっかり顔見知りになり、最近は毎日欠かさず買っていて、少しお腹が膨れ気味でした。
確かに体調が今一なので、同僚が勧めるマッサージを頼んでみることにしました。
薬物を飲むわけではなく、注射をされるわけでもないので気楽です。
炎天下を歩くこと10分、町外れの民家にたどり着きました。
ちなみに彼女はいつも炎天下では傘をさします。こんなまめなホンジュラス人を見たことがありません。
「アナ、いる?」
彼女の呼び声に、奥から細めの婦人というかおばさんが出てきます。
「最近はどう」
世間話が始まりました。
そして待つこと数分。ようやくぼくのことを紹介してくれ、マッサージをする時間があるかを聞いてくれました。
「いいわよ。そこに横になって。」
固めのベッドに横になりました。
そしてお腹を出し、パンツも少し下げるよう指示がありました。
素直に従います。
アナさんは家の奥の部屋から油のような液体を持ってきて、お腹に垂らしました。
冷たくはありません。ドロッとしています。
そしてゆっくりと胃の上部をさすり始めました。
肋骨の下を押し、だんだん強くなっていきます。
胃の上部から下部へ半円を描くようにさすってきます。結構気持ちいいが、強めなので圧迫感を感じます。
「ここ見て。ほら、しこりがあるでしょ。」
彼女からある部分をさすりながら言いました。
確かに、彼女の指摘した部分には数センチのしこりのようなものがあります。
彼女はスペイン語でそれを「小石」と表現します。
彼女はそのしこりを下腹部に移動させるようにマッサージしていきます。
そしてそのしこりは腸の方へ下がり、最後には感じなくなりました。
「これで大丈夫よ。あとは家で下剤を飲んでこのしこりを出せば体調は回復するわ。」
「えっ?下剤を飲むの」
「そうよ。そうしないと効果は半減ね。」
知りませんでした。
でもとりあえずお腹は気持ちよくなったので、立ち上がりズボンをはいて、丁寧にお礼を言いました。
同僚のエディが、
「いくらかお金を払うのよ」
と目配せをします。
「いくら払えばいいですか?」
と聞くと、
「気持ちでいいのよ。」
の声。
とりあえず30レンピーラを差し出して、
「ジュースでも飲んでください。」
お礼を言うと、アナさんは嬉しそうに受け取り
「グラシアス」
と言いました。
自宅に着く前に薬局により、指定された下剤を購入しました。
マグネシウムが主成分で、そんなに毒性もなさそうです。
下宿先についてすぐに飲みました。
その日は食事をしてはいけないということで、そのまま部屋で休みます。
数時間後、すごい下痢。
何回かトイレで便を全て出し、その日はそのまま寝ることになりました。
翌日、胃の状態は回復し、いつものようにおいしく食事を食べることができました。
民間療法ですが、なかなか効力があります。
Empachoを辞書で探したところ、「消化不良」と書かれています。
この件以来、このEmpachoの症状が出るたびに、
「誰かこのへんでsobarできる人を知らないか。」
と尋ねるのが習慣になりました。
高校の守衛さん、お掃除のおばさん、事務所の秘書、とたくさんの人にマッサージをしてもらいました。
胃を直接マッサージするだけではありません。
マッサージにはいろいろな方法があることを知りました。
親指と人差し指の間の手の水かきの下の部分にしこりがあるかを調べる人がいます。腕の関節の側面部分のしこりをさする人もいます。
診断する方法も多種多様でした。
下剤は大変なので、症状が軽いときはマッサージだけにするようになりました。
誰に頼んでも症状が和らぎます。
「これは大変優れた民間療法だな」
と感心しています。
日本では誰にこのマッサージをしてもらえばいいのか少し心配になってきました。
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