たびびと

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本当の集合時間 ホンジュラスの風

2010年06月07日 | ホンジュラスの風
開校式から数日後が経過した。
この小学校の定期巡回時、再度催しの招待があった。

「生徒会による特別な催しが来週あるので、参観してもらえますか。10時開始の予定です」
校長先生が言った。

「わかりました。楽しみにしています」
「10時ですね」
「10時です」

しっかりと約束の時間を確認する。
ぼくは思った。
「これは、前回の教訓を生かす格好の機会だな」

当日、意気揚々と、11時に到着した。
門をくぐると、教室横の廊下の脇に臨時の演説コーナーが設置されていた。生徒会役員の女の子が何らかの演説をしている。周囲は先生、生徒が取り囲んでいる。立会演説会のようだった。

静かに最後尾に近づき演説に耳を傾ける。

近くにいた先生がぼくの到着に気づいた。
「遅かったわね。もう数分で終わりよ」
「えっ…」

遅刻どころの話ではない。招待された特別行事の終了間際に到着してしまったのだ。
それでも先生はニコニコしている。なぜならここはホンジュラス。遅刻についてのお咎めはない。

ぼくには理解できなかった。
「なぜ今日はきちんと時間通りに開始、終了するのだろう」

疑問に思いつつも、楽しく先生がたと談話をして帰路についた。

開校式、生徒会活動とぼくは集合時間に翻弄された。

そして3度目の招待がある。今度は卒業式だった。
迷った挙句、これまでの経験を冷静に分析し、時間通りに行くことにした。
「早めに到着しても待っていればいい。日本人として約束の時間はしっかり守ろう」
こんなことを考えて、卒業式の会場へ。

式場後方で多数の保護者が参観しているなか、式は数十分ほどの遅れで開始。今回は見事に行事に参加することができた。

日本の卒業式同様、壇上で校長先生と担任の先生が卒業証書を子ども一人ひとりに手渡していく。なぜかぼくもこの大役の一部を任され、恥ずかしながらも卒業証書を手渡すお手伝いをした。

日本と違い、すべての子どもが小学校を卒業するわけではない。経済的困窮、学力不振などの理由で中退してしまう子どもが少なくない。
帰り際、卒業証書を手にする子どもと付き添いの家族の表情には、無事に卒業できたという安堵感と達成感のようなものが感じられた。

開発途上国で生活すること10年。集合時間一つとっても楽しい経験を積み重ねることができた。日本では考えられないことだけに、新鮮な体験だった。

学校での約束の時刻。児童は時間割で動いている。そのため、授業時間内に設定されている行事は比較的時間通りに開始、終了することが多い。
が、完全にそういともいいきれない場面にも何回か遭遇した。

一般的な会議はどうだろう。こちらも約束の時間通り開始されることは少ない。だからといってアポの時間に遅れることはできない。遅刻して相手を待たせてしまう場合が稀にあるからだ。
時間通りに到着することがベスト。相手の信頼を損なわなくてすむ。
開始が遅れる場合は、誰かと話したり、本を読んだりなどして適当に時間をつぶす。それが最善の方法であるとの結論に達した。

研修会を開催すると、参加者が子どもを指導する教員であっても、なかなか時間通りに開始することができない。遅刻に対する厳しいペナルティーを課すと、日ごとに少しずつよくなってく。
時間に対する大切な話、エピソードを研修初日にしっかり話しをしておくと効果がある。

ホンジュラス人は時間に関する概念が日本人とは異なる。しかし、きちんとこちらの意図を伝えれば改善は可能だ。彼らの時間に対する認識をどこまで高められるかがポイントである。

多数のファーストフード店がホンジュラスにもある。ピザハット、マクドナルドなどでは、日本、アメリカ同様の手際よいサービスが受けられる。そしてトイレの掃除も比較的よくなされている。
ファーストフードの利用には賛否両論があるが、従業員に対する立派な教育システムが確立されているようだ。

そう、やればできるのだ。

多くの方に楽しい旅をしていただければと思います。
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