たびびと

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車の盗難と警備員

2013年04月14日 | コスタリカの風
カルロスはすでに何回も事務所の公用車を車庫から出庫させていた。
でも、それは日中のこと。

いつもとは違う夜間の守衛を相手に、苦戦をしているようだった。

公用車は、事務所近くの駐車場に駐車してある。
入口には、もちろん守衛が24時間でチェック。
その守衛が、出庫を許可しないのだ。

「許可証がないから」
がその理由。

なぜ許可証がいるんだろう…

話しを聞くと、時間外の出庫には、特別なルールがあるようだった。




中南米では車の盗難が多い。

駐車場の守衛は命をかけて車を守る。そうしないと、何かあったとき、弁償しなければならない。

コスタリカは環境立国を全面におしだしているので、自動車税が100%。要するに、価格が倍になる。ただでさえ、貧高層の人々には高嶺の花である自家用車。日本の価格の倍を弁償するとなったら、2世代にわたって借金を返さなければならない。

それだけではない。
守衛自身のミスで事故があれば、仕事もクビ。

要するに、この仕事には、彼のみならず、家族の全人生がかかっている。
業務を規約通りに遂行するのは、守衛の務めだった。




朝4時。
カルロスに守衛にかわってもらった。

「おはようございます。朝からお仕事ごくろうさまです。その車ですが…」

頑固な守衛。
頑固というよりも、まあ、しっかり義務を果たしている。
彼にしてみれば当然だ。

手をかえ品をかえ、説得を試みた。

ムダだった。

一度でもこの守衛さんと話をしたことがあれば、状況はかわったかもしれない。
残念なことに、話をするのはそれが初めてだった。




カルロスにかわってもらう。
「カルロス、ぼくじゃあだめだ。マリアさんにお願いしてみるよ。少しそこで待ってて」

事務所のコスタリカ人スタッフマリアさんに電話をする。
彼女は勤続20年の大ベテラン。
コネも多く、天才的な交渉能力を持つ。
そればかりではない。気配りができ、仕事も無茶苦茶に早い、できる職員だ。


ホンジュラスに赴任し、コスタリカでも勤務経験のある、某日本人職員と話をしていた。
彼は国際協力の大ベテラン。5か国で仕事をしてきた。

彼の忘れられない一言。
「マリアさんが一人いれば、このホンジュラス事務所の現地スタッフ4人はいらないなー」

笑って聞いていたが、まさに、彼女のスゴサを物語る一言だ。
日本人以上に早い、正確な仕事をするマリアさん。彼女に支えてもらったコスタリカでの2年間は、とてもラッキーだった。


朝早く申し訳なかったが、彼女した頼る人がいなかった。
「あっ、マリアさん。朝早くごんめね。大変なことになってね…」
「わかったわ。カルロスの携帯に電話をして、守衛に話をしてみる」

「彼女が交渉してくれればこれで安心だ。さて、荷物を1階におろすか」
大船に乗った気分で、カルロスを待つことにした。

重たい3つのスーツケースわ1階におろす。
危険なので、入口の門の鍵は開けず、内側に3つのスーツケースをならべた。




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