たびびと

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2013年04月10日 | コスタリカの風
おっと、カルロスと出張をしていたところだった。

帰りのことだ。
新しくできたテンピスケ橋をわたり、首都サンホセに帰る。
そのためには、橋に通じる道のある交差点で左に曲がる必要があった。

ばく進する車。
ぼくと日本からやってきた職員は、早朝からの長旅にうとうとといい気分。
どこを走っているのか意識することなく、うたた寝をしている。


ぼんやりと目が覚めた。


カルロスが、何やら話をしている。
「すいません、ここの町の名前は何ですか」

道行く老人が聞き慣れない地名を答える。

「しまった。かなり通りすぎた。新しい橋なので、曲がる場所がよくわからないんだよなー」
左に曲がるところを直進。かなりの距離をオーバーしていたことに気づいた。


左に曲がりテンピスケ橋を渡るのだが、その左に曲がる掲示板をカルロスは見逃した。
気づいたのは、2時間以上すぎてから。

「急いでもどろうよ。今度はよく見てね」
一言カルロスに行った。
眠くて頭が働かない。
とりあえず、何がおこったのを把握して、また眠りについた。


日本の国道や高速道路。
信号横にでっかい看板がある。

どの車線がどの方面なのか、たまーにわかりにくい標識があるが、たいていは簡潔にわかりやすく表示されている。

小さくて見逃すようなことはない。


一方のコスタリカ。

道路の端に小さな標識がある。縦30cm、横50cm程度の大きさ。緑の看板に白地で書かれている。
知らない人は見逃してしまうほどの大きさ。

特に夜は、日本のように道路がライトアップされていないので、なおさら表示が見えにくい。


2時間たったのかはわからないが、カルロスが言った。
「これだよー。小さくて見逃した」

目が覚めた。

しきりに反省するカルロス。
確かに、この大きさの看板に気づくのは難しい。

行くときに通過した曲がりT字路。特に目立った特徴はない。
信号もなく、まわりには小さな民家が2、3軒ならんでいる。典型的な田舎の景色。

新しくできた橋なので、もっと大きな表示板を作った方がいい。


通り過ぎて2時間。もどるのに2時間。合計4時間のロスだった。


ちみなに、このテンピスケ橋は台湾政府が建設費用を負担。寄贈した。
日本では、ODAと呼ばれている。
それまではフェリーでこの川を横断していたので、出張時間が大幅に短縮できるようになった。

台湾は正式な国としての国交樹立のために、インフラ、ボランティアなどの多方面でコスタリカ政府に協力。アピールをがんばっていた。

その数年後、コスタリカ政府は中国との正式な国交を開始。
台湾政府関係者はコスタリカから撤退することになった。

中国のコスタリカに対する大規模な借金帳消し、投資。コスタリカ政府は喜んで、公式な国交を中国と確率。
台湾政府はなすすべがなかった。




その日、首都のサンホセに着いたのは夜の9時。
カルロスには、自分のミスとはいえ、夜遅くまでの運転で疲れた表情が見えた。

日本からの調査団が同乗していたので、ホテルへ送る前に、マチュピチュというペルーレストランで食事をすることにした。

契約条項により残業代はでないカルロス。
かわいそうになり、好きなものをおごることにした。

「ここでいいかな? 好きなの食べなよ」
「ああ、何でもいいよ。ありがとう」

いつものポーカーフェイスの彼の表情に、何となく安心した。

事務所の到着は夜の11時。

「どうもありがとう」
彼には少しばかりニコリとすると、アウトメルカードという大型スーパーの脇を通り、大通りへと歩いて行った。



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