たびびと

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カルロスの失敗

2013年04月08日 | コスタリカの風
カルロスをべたぼめしてきた。

彼にも失敗はある。
人間なので当然だ。




グアナカステ地方へ出張に行った帰りのこと。

田舎の道をピュンピュンとばす。
2車線道路で道はまっすぐ。見通しはいい。

一応、最高速度の表示があるが、速度をきっちり守る人は少ない。
大幅にオーバーしている自動車が、ぼくたちの公用車を追い抜いて行く。

ぼくたちは政府関係の公用車。事故があったら大変。なので、ドライバーは無理をしない。
カルロスも安全運転。10kmばかりの速度オーバー。この程度なら、警察がいても、大目にみてもらえるだろう。


ときおり、交差する車。お互いすごいスピードなので、窓から突風が入る。


海抜0m近い地域を走る。日本の真夏の気候。
道の両サイドには、ヤシの実が。南国らしい、うっとりする景色が広がる。

エアコンは嫌いなので、窓を全開。いい風が入ってくる。


信号はない。
田舎道に渋滞はない。
快適な道、美しい景色、きれいな空気。

のんびりと遠くの山道を見る。
同じ景色がずっと続くが、まったくあきない。不思議た。




事務所専属職員であるドライバーのハイメ。
ある日の会議で所長に直訴した。

「たまには地方の出張に行かせてください!」

首都での仕事が忙しく、一ヶ月以上、長距離の出張に行っていない時期のことだ。
彼は、ドライバーとしてだけではなく、荷物の受け取り、レターの配布など、多くの業務を兼任していた。

出張だと長距離の運転をしなければならない。
宿泊することもある。

ハイメは、首都での職員移動の運転が業務のメイン。
宿泊の出張には臨時ドライバーが雇用されることが多かった。

そんな中での彼の発言。




「出張だと長距離の運転があるし大変なのでは…」
というぼくの思いは、まったくのおかどちがいだった。


会議が終わってから聞いてみた。
「何で出張行きたいの? 奥さんと子どももいるので、宿泊しない方がいいんじゃない?」


朝の忙しい時間帯だが、ハイメは出張のよさをえんえんと語り始めた。
「よくぞ聞いてくれた。セニョール!」
とは言わなかったが、そんな表情で、彼はえんえんと話し始めた。

田舎への出張は、気分転換になる。
空気がいい。
のんびりとドライブ気分で走れる。
地方都市で食事ができる。
首都の運転はストレスがたまる。

彼にとってはメリットが大きい出張のようだった。