在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の許宗萬(ホ・ジョンマン)議長が、北朝鮮で行う10日の朝鮮労働党創建70年関連行事の参加を見送ることが4日、分かった。複数の朝鮮総連関係者が明らかにした。訪朝時に渡す金正恩第1書記への上納金が目標額に届かなかったためとみられる。代わりに南昇祐(ナム・スンウ)副議長が訪朝団の団長として訪朝する。

 関係者によると、金第1書記は今年2月、許氏の誕生日に祝電を送り「祖国の繁栄、在日朝鮮人運動の発展に全てをささげている」と高く評価。5月に結成60年を迎えた朝鮮総連に送った書簡でも北朝鮮への貢献をたたえた。許氏は一連のメッセージを幹部会議で何度も紹介。金第1書記からの信任をアピールしてきた。

 許氏は、70年関連行事に出席するため金第1書記への上納金を1億円工面するよう幹部に指示したが、数千万円にとどまった。

 また、過去に行われてきた北朝鮮の海外同胞招聘行事では、朝鮮総連代表が祝賀のあいさつを担ってきたが、8月中旬の民族統一大会では在中国朝鮮人総連合会の代表が担当。海外親北団体内での“序列”が下げられた。

 このため、許氏は訪朝しても金第1書記との面会は困難で、組織内での求心力低下を招くと判断。北朝鮮がミサイル発射実験を強行し、日本政府による総連幹部への再入国禁止措置が再発動される事態も危惧して、訪朝を断念したとみられる。

 許氏は昨年、再入国禁止措置が解除されたことを受け同年9月に訪朝して8年ぶりに最高人民会議に出席したが、金第1書記と面会できなかった。

 朝鮮総連は産経新聞の取材に対し「受けつけていない」としている。