岸田文雄外相は10日の参院拉致問題特別委員会の質疑で、北朝鮮による日本人拉致被害者らの再調査について「具体的な見通しは立っていない。現状は問題があると認識している。公式協議で具体的に形にするべく引き続き努力を続けたい」と述べた。

 質問した民主党の有田芳生氏は、10月に北朝鮮を訪問。この日の質疑で、北朝鮮側の担当者から「政府認定の拉致被害者の報告書はほぼ完成している」「行方不明者、遺骨などの報告も8割完成した」と聞いたことを明かした。そのうえで「(北朝鮮は)日本の対応によっては調査結果を一方的に発表せざるを得ない事態もあり得るという。公式協議をやって、正式に国民にアナウンスすることが必要だ」と主張した。

 これに対し、岸田氏は「北朝鮮側の発言を確認しておらず、コメントすることは適切ではない。少なくとも一方的な公表を示唆する事実は、今のところ存在しない」と語った。