なんちゃって「幻の中華そば(まぼちゅ〜)」@イエ【まぼちゅ〜CF応援企画】

2020年の春に手回し鋳物製麺機をレストアしたのち、ぼちぼちではあるがかつて傾倒したラーメン自作に再び気持ちが向くようになっている。
前回は関西的な豚清湯醤油をテーマとしたが、今回は鶏と鰹のあのメニューを自分なりに再現してみようと思い、取り組んでみた。
【メンマ】
今回、久しぶりに塩蔵メンマを起用。なかなか手に入らない短冊メンマ。今回、某ラーメン店主から、お店で使われている素材を特別に破格で分けていただいた。
まずは付着している塩を洗い流し、なるべく大量の水につけて火を入れる。
1セット目。短冊メンマはぶよーっと水分を吸ってそれなりに戻る。が、まだ塩気は抜け切らない。
水を換え、煮沸2セット目終了し冷ました後の図。コレで塩分はほとんど抜けた感じ。水につけるだけで戻すとかなりの日数を要するが、煮沸2セットで戻すことが出来ることが判明。塩蔵メンマ、意外に簡単に扱えるやん。
短冊メンマのいいところは可塑性に優れること。その気になれば極太メンマやキャラメル状メンマ、京都の鶴武者のような繊維90度逆方向メンマ、三角メンマ…どんな形にだって、できる。この、可塑性についてのリハーサルは、この塩蔵短冊メンマを譲っていただいた時点ですでに一度実験済み。
今回は「食べてみてちょうどいい感じ」のサイズにカットすることにした。
そして、おろし生姜をたっぷり目に施したチャーシューダレに一昼夜漬けたのち、液ダレともに炒め煮して仕上げた。
結果、今回は自分の中でのドンピシャ的味わいよりは、若干濃いめの味付けになった。
【製麺】
かつての「加藤屋」の「幻の中華そば(まぼちゅ〜)」は、2007年に大津市中央の店舗でデビューしてのち、度々のマイナーチェンジを経ながらお店の看板メニューに成長していった経緯を私は知っている。その中で、洛東フーズに特別に作らせていた全粒粉麺を用いていた時期のものが、私としては一番食べたい味のような気がして今回は全粒粉ブレンドを試みた。
で、滋賀県産全粒粉を、今回はこんがりと炒って使ってみることにした。かつて滋賀県高島市の「うどんの花里」で味わった、あの麺の感じをこめることが出来るのではないか?と、この時はそう思っていた。
で、ニシノカオリ700g、南のめぐみ700gに焙煎全粒粉85gで製麺することに。
生地にするところまではまあ、何とかなったが、この後圧延の段階でグルテンが生成されず、一回目のこの生地はボツにした。勿体無いが、麺にならないもんは、しゃーない。
で、大慌てでトップバリューの強力粉を買いに走って、再チャレンジ。
二回目では、何とか思うように麺帯が仕上がってきた。
前回より新たに導入したパスタマシンでも一応圧延してみる。が、手回し製麺機の方ですでにほぼ圧延できているので、この後切刃に通すことにした。
1.5mmの切刃に通すと、ちょうど作りたい感じの中細麺に。
結果、ひと玉130gで14玉を製麺。
<<今回の製麺で得た教訓>>
「全粒粉の焙煎は、ほどほどに留めておくべし。20秒から30秒程度までに留めておく方が良い。」
「全粒粉は焙煎したものと焙煎していないものを混合させる方法もある。また全粒粉の割合が40%とかで作ってみた例もある。」
「複合圧延は3回がベター。4回以上はかえってグルテン生成等にマイナスに働いてしまう。」

【背脂】
2007年に加藤屋が高島市から大津市中央3丁目にやってきた頃の初期型まぼちゅ〜は、鶏と鰹のスープに、さほど背脂は入っていなかったものだが、2009年モデルの頃になると、スープの表面一面が背脂で覆われるようになっていたものだった。よって、まぼちゅ〜インスに背脂は不可欠。当の作り手ロバートはどのようにして背脂をスープに込めていたのかは分からないが、今は滋賀県守山市にある「山さんラーメン」の、あの系統のスープだと、背脂はスープとは別仕立てで作ると、どこかで聞いたことがある。また、液状のラード成分とは分けて、背脂の粒々の部分だけを取り出して使わないことにはギタギタの脂っこいスープになってしまうことは明白。
よって今回は鶏のスープとは別仕立てとし、まずは圧力鍋に水と脂身を入れ、40分程度加圧。(ちなみに今回、格安で脂身だけを売ってくれる精肉店を近所で発見した。)
加圧後、ぶよぶよにふやけた脂身を麺あげ用の「すいのう」の網目に擦り付けて漉す。
結果、こうなる。この状態から、粒状の部分と取りたいので、今後はより細かい網目の杓子で濾して、
粒状成分だけを取り出して使うことにした。この、「背脂粒」を作ることを試みたのは今回が初めてではないが、今回のやり方が一番上手くいった感じだった。
で、圧力鍋に残ったラード成分は冷却して固体化させたのち、フリーザーバッグに冷凍保存。背脂粒の方も後から同様にフリーザーバッグ冷凍することにした。こうしておくと、保存が効くし、使いたい時に使いたいだけ取り出すことが出来る。

【スープ】
まずは、鶏の出汁を取ることから始めた。
今回、解凍した丸鶏から鶏皮等、鶏油成分が出る部位を取り除いたものとウイングチップを主材料とし、一旦下茹で。
約7リットルで、水から炊いていく。
一応、清湯を取る要領で煮込むが必ずしも透明なスープに拘らず、一日目は3時間ほどで火を止め、翌日に再び3時間程度煮込んだ。できれば火は止めなくない所だが、火をつけたまま寝るのは危ないし、寝ないで頑張るほどのものでもないし。ちなみに今回も寸胴の中に野菜系素材は加えなかった。
鰹は、家にあった厚削りの残りをストッキングに入れて…
スープの仕上げ、最後の30分で静かに煮ることにした。
スープを煮込んで濾し取ったあとには、骨ガラのゴミが出る。今回使った冷凍丸鶏が入っていたビニール袋は、ゴミ捨て用の袋として再利用。ゴミのために新しい袋を用意するのは、もったいない。

【醤油ダレ】
はたして「まぼちゅ〜」の醤油ダレ、ホンモノはどう言うレシピなのかワタシは全く知らない。ま、いつもの作り方で行くことにした。
とりあえず、酒・味醂だけを一度煮切ってアルコール分を飛ばしたところに…
濃口醤油(家にある廉価なもの)を適量注いだのち一旦軽く沸騰させる。それだけ。この場面で、使う醤油にこだわるとか、複数の醤油を使い分けるとかは、まあ、いずれそのうちやってみたい気はしている。

【チャーシュー】
前回のアキラインスでは徳島ウインナークラブのいい豚肉を使ったが、今回は「なるべく安い」ものを使ってみることにし、100g99円のアメリカ産と、業務スーパーの冷凍豚バラブロック(スペイン産)を併用することにした。
で、鶏を煮出しているスープに放り込んで極弱火で約60分煮たあと取り出し、一旦冷まして、
今回作った醤油ダレに浸して冷蔵庫で一晩置く。
翌日には少しサイズが小さくなっていた。
フリーザーバッグから取り出し、この後包丁でなるべく薄くスライス。
漬け込んでいた醤油ダレの方は若干醤油と塩を足して調整し、ラーメン用醤油ダレとして使うことにした。

【最終調理】
今回は、醤油ダレ30ccを鉢に注ぐととともに、背脂の粒を適量落とす。(数名様にお送りした試食キットには、冷凍スープの方に背脂を入れました。)
麺の茹で時間は2分半〜3分程度がいい感じかな。

出来上がったラーメンには、できれば本物の「まぼちゅ〜」らしく、辛くない唐辛子系の赤いパウダーを振りかけてみたいところだったが、適切な材料が今回は手にはならなかったので、ナシとした。色合いだけなら一味唐辛子が代用できるが、「まぼちゅ〜」にストレートな辛味は似合わない気がして。
ウチに数あるラーメン鉢の中でも、この鉢は特別。
かつてHP「京都ラーメンマップ」を主宰されていた京都・清水焼「秀峰窯」の陶芸家、武内真司氏オリジナルデザインのもの。この武兄ぃのラーメン鉢は、我が家の家宝である。(と、思っているのは家族の中でもワタシだけだと思うが)
そして、いよいよ味わってみて、果たしてこれが「まぼちゅ〜」だったか?と問えば、ううむ、完璧なものではないかなぁ?全粒粉麺の食感も、かつての加藤屋で味わった洛東フーズ製のあの麺の食感とは明らかに違うし…
鰹風味は、もっと込めた方が良かったようだ。イエには買い置きのリケン「素材力だし」の「本かつおだし」(化学調味料と食塩無添加と謳っている和風だしの素)があるので、コレを加えようかどうか迷った結果、今回は加えなかった。これを加えていれば、結果はかなり違ったかもしれない。
また、今回も「試食キット」を作って、試食を希望される方には送りつけて召し上がっていただいた。その中で、今回は複数のプロの方に、また「まぼちゅ〜」の考案者、ロバートにも試食してもらった。彼曰く、「これはまぼちゅ〜ではない。」という結論だったそうだ。まあ、そうかも知れない。
ところで、そんな「まぼちゅ〜」の産みの親ロバートが、間借りではない自店舗での「まぼちゅ〜」復活を目指し、現在取り組んでいるクラウドファウンディングがコチラである。もちろん、ワタシも支援している。
ワタシ自身、自分が作るニセモノでなく、本物の「まぼちゅ〜」を、再び味わえる日が来ることを望んでいる。


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