壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

手鼻かむ

2011年01月27日 21時14分24秒 | Weblog
        手鼻かむ音さへ梅の盛りかな     芭 蕉

 「手鼻かむ音」などは、古い歌の観念では、とうてい生かされそうもない素材である。芭蕉は、和歌・連歌の詠み残したところを、広く俳諧の領域として俳諧化していった。この場合も、その大胆な取材の一つである。
 素材をひろげただけではなく、それを俳諧の世界に生かして、新しい美を開拓してゆくのが、芭蕉の意図だったと思われる。

 季語は「梅」で春。

    「郷里の伊賀は山家であるから、里人は手鼻をかむ。まことにむさ苦しい音で
     あるが、折しも梅の盛りのころとて、その手鼻かむ音にも田舎らしい趣が感
     じられてくる」


      冬日来て大観音とあそびをり     季 己