壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

子の日

2011年01月03日 23時09分57秒 | Weblog
        子の日しに都へ行かん友もがな     芭 蕉

 久しぶりで故郷の春を満喫した芭蕉。故郷の田舎びた春の中にあって、早くも、都の子の日の遊びにあこがれそめた心のあらわれが、この句となったもの。ゆったりとしたくつろぎが、声調の上にただよっている。貞享二年、伊賀での作とされている。

 「子の日」というのは、正月初子の日に野に出て、小松を引く遊びのことで、宇多天皇の御代に、天皇が北野雲林院に行幸し、子の日の宴を行なったことに始まるという。王朝的な優雅な遊びである。今は「ネノヒ」と清音で読むが、昔は「ネノビ」と濁って読んでいる。
 ちなみに今年の「子の日」は、新暦では一月九日、陰暦では一月十二日(新暦、二月十四日)。
 「友もがな」の「もがな」は、願望をあらわし、…があるといいなあ、…であるといいなあ、の意。友がいればいいなあ、の意。

 「子の日」が季語で春(新年)。

    「子の日の遊びをしに都へ行きたいのだが、その風雅の旅を共にする
     友があるとよいのだが、残念ながら誰もいない」


      長芋を千六本に三日かな     季 己