壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

芋の葉

2010年09月07日 22時46分02秒 | Weblog
        芋の葉や月待つ里の焼畠     芭 蕉

 「月待つ里」は、名月を待つ里、の意。関係ないが、「月見里」は、「やまなし」と読む。
 「焼畠(やけばたけ)」は、旱(ひでり)の畑のこと。別に、荒地を焼きその灰を肥料とした、開拓したばかりの畑ととることもできる。その場合は、芋は肥料が足りないので痩せている意となろう。

 「月」も「芋の葉」もともに秋の季語。この句の場合、「芋の葉」の方がはたらいている。
 なお、単に「芋」といえば、里芋を指す。また、「藷(いも)」は甘藷(さつまいも)、「薯(いも)」は馬鈴薯(ばれいしょ)つまりジャガイモを指す。
 「芋嵐」は、さといも畑一面に、芋の葉に吹きつける強い風をいう。「芋嵐」は、阿波野青畝の「案山子翁あち見こち見や芋嵐」の句で、季語として定着した。

    「中秋の名月に供える芋も、このひでりの畑では、たいして育って
     いないので、芋の葉ばかりがゆらめいていることだ」


      舞台裏葉の裏見せて芋嵐     季 己