壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

冬至

2009年12月21日 19時58分55秒 | Weblog
        門前の小家もあそぶ冬至かな     凡 兆

 「冬至」は、一年中で最も太陽の位置が低く、昼が最も短い日である。
 旧暦では十一月にあり、陽暦では十二月二十二日頃にあたる。
 古来、「陰極まって陽始まる日」として、朝廷はじめ庶民も祝日とした。また、禅寺では特に、師家(しけ)や門弟に酒飯(しゅはん)を送って祝ったから、「門前」は、禅寺またはそれに類する寺と思われる。
 寺の門前には、参詣者相手の店があるから、「小家(こいへ)」はその一軒であろう。

 この句は、「門前の小家」を客観的に詠んだ写生句であるが、「あそぶ」というところに、休日を得た庶民の姿が生動する。
 冬至の句は、蕉門に他にもあるが、これほどの秀句はないと思う。
 季語は「冬至」で冬。

    「そうか今日は冬至だ。宮中でも祝賀が催されるが、ここの寺も、いつもの
     厳しさが感じられず、どことなくのんびりしている。門前の小さな店屋の
     人たちも、一日商いを休んでゆったりと遊んでいるよ」


      絵手紙の鯛焼の顔やさしかり     季 己