こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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お別れのあとでも・・。

2013-04-18 21:44:51 | 訪問看護、緩和ケア
大好きな家で、最後まで過ごす。

そんな当たり前のことが難しい世の中で、私たちはそのお手伝いをすることが仕事です。

患者さんもご家族も、「もしかしたら・・」と心のどこかで思いつつ、病院から戻ってこられることも多いわけで、特に医療機器がついていたり、傷があったりすれば、ハラハラ、ドキドキ、オロオロしながら在宅療養を開始することになります。

そのはじめの一歩から、一緒にお手伝いさせていただくので、必死に頑張ってお看取りができた時には、お互い悲しみの中にも湛え合う心が自然に生まれたりもします。

私たちは、患者さんが亡くなられたあとしばらくしてから、ほとんどの場合ご焼香に伺います。

そこで、ご家族と思い出話をしながら、その方との関わりを振り返ったりもします。

そして、時にはとても丁寧なお礼状が届いたり、わざわざ挨拶に来てくださったりすることもあります。
それだけでも、本当にありがたくて申し訳ないのに、何年か過ぎても季節のお手紙を下さったりすることがあって、本当に嬉しくて、ありがたくて、みんなで回し読みをしては、再び思い出話に花が咲いたりします。

先日、めぐみ在宅クリニックの追想の集いで1年ぶりにお会いしたご家族の話をかきましたが、そのご家族から改めてまたハガキをいただきました。

最初の出会いの時から、私たちの関わりをとても感謝して下さって、そう言っていただくことで、次の患者さんへの思いも、一段と強くなるように思えます。

あの時も、瀬谷の連携のスピードと、ケアの内容を絶賛してくれていたので、私にしてみればそんな看護を提供してくれたスタッフが、とても誇りでもあります。

患者さんはたとえ亡くなっても、実はどこかでそのご家族とつながっていて、何かの形でまた出会うこともあるのです。

数年前におばあちゃんを自宅で見送ったお嫁さんが、最近の新患さんの初回訪問で付き添いで待っていてくれて、当時おばあちゃんに使った足浴のバケツを持ってきてくれたり、見守りをしてくれたりしています。

「今度はおばあちゃんをお願い。」と電話をかけてくれる家族もいます。

街中で会って、道路の反対側から大きく手を振ってくれたり、買い物中にわざわざ声をかけてくれたり・・。

たとえ患者さんは亡くなってしまっても、その出会いは次の出会いへと続くのだなと、最近改めて感じています。

反面、お一人暮らしをされていた家が、ある日前を通ると造成されていたり、何軒もの新築住宅に変わって、知らない人たちの生活が始まっているのを見ると、それもまた違う意味でのバトンタッチなのだとも思います。(ちょっと悲しくもありますが・・)

こうして、出会いと別れとをずっと繰り返してきました。

そして、意外にもかなりの患者さんのことを覚えています。
あまり記憶力は自慢できない私ですが、亡くなられた患者さんの記憶は、時間がかかっても結構思い出します。

全員ではないけれど、それぞれにいろんなエピソードがあって、一つ引き出せば、記憶の領域からズルズル引き出され、懐かしい思い出となるのです。

だから・・
やっぱりこの仕事って、いいなあぁ・・。

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