こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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呆然・・

2013-09-16 22:03:31 | 訪問看護、緩和ケア
ある日の緊急当番、初日から夜間の救急搬送から始まり、日中も救急搬送をし、翌日には夜間にカフティポンプのトラブルで緊急訪問、その翌日も日中の緊急訪問などで、ちょっと嫌な<憑き>を感じていました。

こういう時の週末は、予期しないことが起こるのです。

深夜1時半、緊急電話の賑やかな着信音に、あわてて飛び起きると、携帯からはYさんの息子さんの声がひどく慌てて飛び込んできました。

「今、母がベットから半分落ちていて、吐いていて・・。もうだめだと思うんです。もう、だめだと思うんです!どうしたら・・どうしたらいいか。病院に連絡どうすればいいのか・・。」

「落ち着いてね、私が病院に連絡するからあなたは救急車に電話して!」
「は、はい!わかりました。」

声は緊張と不安でパニック状態になっているのが分かりました。


あとは救急隊に任せるしかありません。


結局、その夜Yさんは、帰らぬ人となりました。

その夜、電話を切ってから私は呆然としていました。
眠気はどこかに行っていしまって、ただ「こんな最後を迎えさせたくはなかった。なんで、こんなことになったんだろうか・・」
そして、誰も頼る人もいない、あの息子さんは、今ひとりでどんな思いでいるのかと・・

どうにも収まらない動悸を、安定剤で押さえ込んで眠りにつきました。

本当に、ぎりぎりの線で頑張っていたのを知っています。
食事の支度から、インシュリンの調整、オムツ交換に通院の介助。

いろんな試練があって、いろんな問題を抱えて、それでも最後まで自分で看取ると言っていた息子さんです。

認知症もどんどん進み、病状もあまり芳しくはなかったけれど、それでも頑張っていた・・

10日ほどまえに、愛犬に逝かれてしまって、とても落ち込んでいた息子さんです。

往診医の話は何度も出ました。
でも、踏み切れなかったのには、きっと経済的なことも理由にあったかもしれません。

でも、もう少しあと押しすれば、せめて検屍などということにはならなかったのではないか・・。

あんなにひとりで頑張っていたのに・・。

担当の看護師に伝えました。
本当によく支えていましたから、その衝撃はかなり大きかったと思います。
随分と落ち込んでいました。

私たちの思いはいつも一緒です。

穏やかに、見送るご家族も納得できる最後を迎えられるようにするということ。

だから、往診医に移行するタイミングや、状況の変化に早く対応できるように、先回りして環境も調整していくのです、

でも、こんなふうに突発的に起こる出来事には、本当に無力です。
呆然としてしまいます。

せめて、残されたご家族の話を聞くことぐらいしかできないのです。

そして、一生懸命介護してきた息子さんが、自分を責めることのないように、それだけは伝えていかなければなりません。