すとう信彦 & his band

社会起業家(チェンジメーカー)首藤信彦の日常活動とその仲間たち

いのちの授業

2009-10-31 21:36:03 | Weblog
のどの具合は劇的に良くなってきた。午後に日吉で開催された横浜医療塾の市民公開講座を聞きに出かけた。地域の高見沢医師が中心になって、「いのちの医学」とでも言おうか、生と死の狭間の医療問題を三人の医師が、自殺やターミナルケアの問題も含めて講演した。テーマがテーマだけに画像、動画や人気のコーラスなどを取り入れて、心の中に抵抗無く受け入れてもらえる工夫が随所にあって、「これも先端医学にちがいない」と感心した。大学で経営学などを教えているときも、さまざまな手法を取り入れたが、こんなに表現に努力したことはなかったと思う。無論、パワーポイントやHDの容量など以前とは比べ物にならないが..
コミュニケーションという点では、政治は特に遅れていて、自分たちが考えていることを相手に伝えるという点では、日本の議会はまだ19世紀とそう変わらない。フィンランドでもそうだったが、台湾でもパワーポイントで法案の説明や質問をするという。日本の予算委員会などで質問者が必死にフリップを支えてテレビカメラの方に向けているシーンがよく放映されているが、これももう変えるべきだろう。
最後の講師、小澤医師の死に直面する患者とのコミュニケーションは、特に学ぶところが大きかった。余命のない追い詰められた少女が発する「あんたなんかに何がわかるの?」という言葉は、小生も紛争地や難民キャンプで何度も何度も聞いて、耳にこびりついている。これまで、こっちも切羽詰って場当たり的な対応をしていたが、その問いを共有して、次のコミュニケーションに進むという発想はなかった。あ、この分野はまだまだ努力で開拓する余地があるんだと悟った。思いもかけぬ成果がこの講演会であった。すばらしい会場に、すばらしい講師、聴衆の少なさだけが唯一の心残り。こうしたテーマに市民が詰め掛けるような地域社会にしたいものだ。