すとう信彦 & his band

社会起業家(チェンジメーカー)首藤信彦の日常活動とその仲間たち

徹夜国会?

2011-02-28 22:33:52 | Weblog
予算委員長への解任決議案が否決されたあと、国会は休憩となって予算委員会が再開され、ちょうどいまテレビでは予算委員会の最終局面を映し出している。各党各様に自己主張し、議論はすれちがったまま採決へ。これでは最初から結論を出しても同じではないかと、誰でも考えるだろう。23時半から会議が24時をまたぐところから延長手続きをとって明日1時半から本会議採決となるのだろうが、こまかく計算している同僚がいて、結局深夜の2時すぎになると言っている。周囲では、明日になるなら朝一で国会を開いても同じじゃないかとの声も聞こえるが、守るも攻めるもセレモニーという感じがする。最近は「徹底的に議論して...」みたいな主張もあるが、ただひたすら時間をかけることが熟議でも徹底議論でもないだろう。国会が民主主義的合意形成のツールとメカニズムとして機能しなくなっていると思う。選挙制度もそうだが、日本の民主主義システムの徹底的検証と反省が必要だと痛感する。

「子ども手当の額にびっくり」報道にびっくり!

2011-02-26 22:00:55 | Weblog
昨夕は関内で民主党神奈川県連の集会。永田町日程がタイトなのでなかなか議員会館を抜けられない。韓国からサハリン残留者問題で議員が多数来て意見交換会があったのだが、失礼とは思いながら、さわりだけで途中退席した。ようやく高速を抜けて会場近くに行ったら、警備厳重で驚いた。一瞬、民主党への攻撃の通報でもあったのかと気が張り詰めたが、県連スタッフから、岡田幹事長が来賓スピーチに来ると聞き、そりゃそうだ、政府与党の幹事長だからと納得。まだ野党時代の気分が抜けないのか、厳重警備の状況を見るとつい心配してしまう。
新聞でも報道されたが、岡田さんがスピーチを始めると、「マニフェストを守れ」「民主党本部はだめだ」というような激しいヤジが飛んだ。瞬間、民主党支援パーティに来られる皆さんも、ここまで批判のマグマがたまっているのか?と緊張した。しかし、声の主の方を見ると、時々出てくるその手の人らしい人が、水でのどを湿らせながら必死で叫んでいるので、多少安堵した。地方議員の後援会にも最近、見慣れない2-3人が突然大きな声をあげて非難するが、おそらく民主党の集会をハシゴしながら議事に水をかけているのだろう。それでも新聞各紙はあたかも「民主党地方組織からも激しい非難...」みたいな記事だった。
おそらく同様の場面に何度も遭遇しているのだろう、岡田さんも声の調子を上げて民主党の実績を強調していた。しかし、超多忙で永田町にトンボ帰りするはずの岡田幹事長が、スピーチの後も会場に残り、集会に参加した党員や関連団体のみなさんと言葉を交わしたり、写真をとっていた。そういうのを見るとやはり、民主党と執行部が置かれている厳しい状況を痛感した。
ところで、これまで最近の民主党執行部をぼろくそに言っていた支援者が、ついに「マスコミが悪い」と異口同音に言うようになってきた。いかにワイドショーから垂れ流される情報に染まったとはいえ、やはり長く見ていると、「こりゃおかしいな」とみなさん気付くのだろう。そうしたマスコミの「解散させたい、菅直人を退陣させたい、党を分裂させたい...」という誘導だが、最近はちょっと無理筋というのも多くなった。
本会議場で菅首相が子ども手当を2万6千円にすると聞いて多少驚いた..と感想を述べたら、それは小沢批判だ、責任転嫁だ、という記事があったが、それはちがうと思う。あの時、子ども手当が1万円台ではなく、2万6千円の水準にすると聞いて、民主党の候補者はみなおどろいたはずだ。2.6万円でもフランスの三分の一程度だが、これまで経験のない子ども手当に5兆円も払う財政余裕があるのか?とみなさん疑心暗鬼になったと記憶する。確かに小沢さん一流の政治感覚で不況下でバーンと2.6万円を打ち出したのだろうが、菅さんも別にそれを非難めかして言ったわけではない。確かに微妙な時期に率直な心情披瀝がよくないのかもしれないが、このような食言や、ためにする決めつけがどれだけ政治をゆがめているかわからない。ジャーナリストも政治家の不用意な発言を針小棒大にフレームアップするのではなく、問題の本質に鋭く切り込んでいってほしいものだ。

「TPPを考える国民会議」発足

2011-02-24 17:23:15 | Weblog
TPP問題で日弁連のみなさんと意見交換。外国人弁護士の活動自由化や訴訟・紛争解決プロセスなどTPPが日本の法曹界にどのような影響を与えるか、あらためてこの協定の内抱するリスクに気付かれたと思う。むろん法曹界にも、これを機会に日本の弁護士もアメリカの複数州で活動しようとか、アジア太平洋へ乗り出そうとか、いろいろな方がおられると思うが、ともかく判断の基準となる情報が公開されていないことには共通の危機感がある。
11時から憲政記念会館で「TPPを考える国民会議」の設立総会。経済学者の宇沢弘文教授が代表世話人となって、TPP問題について国民レベルで考える運動を展開することになった。宇沢先生もご高齢をおして会長就任を引き受け、なみなみならぬ決意を述べておられた。
小生は途中で抜けて、マレーシアのマハティール副大臣(ルックイースト主唱者のマハティール元首相の息子さん)との議連会食会。社交の場でTPPを話題にすることには多少気がひけたが、貴重なチャンスなのでマレーシア側の意見を聞いた。「かつて父が東アジアの経済協力体制で日本にリーダーシップをとってもらうように提言したではないか?」と言われて、こちらは下を向いてしまった。日本にはアメリカ追随ではなく、しっかり自分を取り戻してアジアのために活動してほしいという気持ちは痛いほどわかる。
議員室のモニターではニュージーランドでの救援活動が流れていく。破壊された語学学校のビルから氏名・国籍も不明の死者...というニュースに息をのむ。

ニュージーランド地震

2011-02-23 21:21:05 | Weblog
ニュージーランド南島の地震はマグネチュード6.3と伝えられたが、歴史的建築物だけでなく日本人留学生が閉じ込められている語学学校のようにモダン建築物も完全崩壊している。阪神地震に近い震度という話もある。そうこうしているうちにクリティカルタイムである36時間が迫っている。画面を見ながら不安が募るばかりだ。国会議論でも政府専用機や緊急援助隊の派遣が遅いという批判が続出している。なぜこれほど時間がかかるのか?ハイチ地震の時にも日本政府の対応が送れた感があった。政府の対応が遅いということで急きょハイチに入ってプレバル大統領や国連特別代表とも会い、政府の対応を迫ったが、その教訓から大規模地震にはすぐ派遣するというシステムができているはずだったが...残念なかぎりだ。正直言って、この時期にこれほど多くの日本人がニュージーランドに入っているとは知らなかった。語学研修では犯罪も少なくアメリカなどに比べて比較的安全な教育環境ということであったろうが、天災とは言え、心が痛む。

いろんなことがありました。

2011-02-22 22:55:17 | Weblog
朝に地元の小学校の国会見学。小学生に大人気の国会見学だが、時間のゆるすかぎり顔出して挨拶し、国会の意義について説明するのが常だ。つぎつぎと小学生が到着する待機場で、みなさんに国会とはどういうところかを説明するのは結構難儀。雑踏の中で大声で説明すると、朝から声がかれたりする。それでも小学生の熱い瞳をみるとこちらもこの子達の未来をしっかり守らねば、と思う。しかし、小学生への挨拶というのは同僚議員も意外とやっていない。選挙権を持つ年齢まで10年もかかるから無駄だと思うのかな?こちらは党名も言わないし、自分の宣伝をするわけではないのに、「選挙も近いのに...」なんてクレームする先生がいたと後で聞いて驚いた。これまで、数多くの小学生への挨拶で、「政治家というのを近くで見、話を聞けてよかった」と言われて嬉しかったが、苦情なんてものははじめての経験で、正直ショックを受けた。そんなに選挙目当ての活動に見えますかね?
もっとも、選挙が近いと言っても、それは4月の地方議員選挙だろうと思うのだが、あんがい、もうすぐ衆議員選挙も近いなんてテレビで言っているのかなと疑心暗鬼。
テレビでは小沢さんの民主党倫理委員会での弁明のニュースばかり。議員室では二台のモニターで日本のニュース+国会中継それにBBC放送をチェックしているのだが、ここ2日ぐらいリビア騒擾ばかり、そこへ突然、BBCからニュージーランド地震の映像が飛び込んできてびっくり。しばらくして日本のニュースも追いついてきたが、しばらくは日本人被害は把握されていなかった。だんだんと状況が明らかになるにつれて、倒壊ビルに語学研修生が閉じ込められているというテロップが流れてきて騒然とする。
夕刻に就活に苦しむ学生の院内集会があり、出席。これは文部科学分野だけでなく、経済界も含めて早急に対応しなければならない..と同時に、若者も自分たちの現在社会が一体どういうものか認識して人生の準備をする必要があると感じた。ヨーロッパではフランスなどでも大卒者が定職に就くのに平均7年という時間がかかるといわれる。これが成熟社会の現実だから、若者もそうした社会に自分が生きていることの自覚が必要と思う。会社や業界がセットした就職活動に振り回されること無く、自分の人生をどう組み立てるかを自分で考える時代にあると思う。未曾有の好況決算を自慢しながら、一方では若者の雇用に取り組まない会社には、智恵を働かして対抗する手段をヒントとしてコメントした。「あいつまた過激なこと言ってらあ」なんて同僚議員の謗りが背後で聞こえそうだ。
久しぶりに時間のとれた多忙女房と赤坂で落ち合って会食。ちっちゃナ長崎ちゃんぽんの店なので客でいっぱい、カウンターでビールを一本頼み皿うどんに餃子を腹いっぱい食べた。なんか幸せな気分だなあ。

なんだろうね造反

2011-02-18 20:45:33 | Weblog
民主党比例当選組16人が会派離脱申し入れがかっこうのテレビネタとなって、昨日からもうまともな国会になっていない。マニフェストを守れとか、民主党らしさを保てというような主張らしいが、それならどもかく予算案通過までは波風を立てないのが道理だろう。どんなに劣化したマニフェストだって、またまた自民党時代の利権と停滞の予算にもどるよりいいだろうに。
まあ、そんなこと言うことも馬鹿らしいほどの愚挙だが、その愚挙をあおっているというか、指示している人の顔が目に浮かぶから、なおさら馬鹿らしい・・・というか、哀れというか、およそ政治家としての矜持も自覚もない皆さんをみていると何か悲しい思いがつのる。これが第一陣で、第二陣が選挙資金を潤沢に提供した選挙区当選者そして第三陣がいよいよ子飼いの中堅という形で揺さぶりがエスカレートするのだろう。政治とカネの問題ではなく、このような「旧い政治」こそ葬って行かなければならないと思う。

黒川和美教授訃報に愕然

2011-02-06 10:42:48 | Weblog
昨夜遅かったというより、多少風邪気味なので朝遅く起きてきて、洗濯ものをつるして、PCに向かったら、まっさきにこのニュースが目に飛び込んできた。原発性慢性骨髄線維症で2月2日に永眠されたとのこと。同じ加藤寛ゼミ門下だし、公共選択理論普及の立役者だったからよく知っている。黒川さんは横浜国大から慶応の大学院に来ていて、加藤寛先生の一番弟子みたいな存在で、およそ国際経済の傍流みたいな研究をしている小生などからみれば、当時は光り輝くような存在だった。今年の年賀状の写真を見て、えらくやつれたなとは思ったが、もとから痩せていたし、研究一筋の学者という雰囲気だったから、それほど病状が進行しているとは思わなかった。
黒川さんが博士課程にいたころは政治を経済学的に分析するアプローチの黎明期で、ブキャナンやタロックの研究やのちにpublic choice(公共選択理論)として体系化される先端的な研究を日本に紹介して学問的な成果も大きかったと思う。
大学院を出てからは、小生の方ははなかなか職が見つからず、結局、経営学を教えていたりして、学会でもあまり接触はなかったが、いつも気になるそんざいだったな。
せめて葬式にでもと思ったが、告別式は6日の午前11時目黒とある...「今」の瞬間ではないか?!結局、葬式への参列もできなかった。心よりの冥福を祈りたい。混迷の日本経済、政治の進む方向を経済学的に分析する手法は今こそ役立ち、活躍する場があるはず..と悔しい思いだが、こればかりはしょうがない。黒川さんは小生より2歳ぐらい若かった記憶がある。ああ、自分もそんな年なんだなと、つくづく思うと同時に、もう残された時間を一瞬も無駄にしてはならないと、改めて強く心に念じた。

菅伸子夫人とディスカッション

2011-02-05 22:41:41 | Weblog
新横浜の複合障害者福祉施設のラポールで、地方選にチャレンジ予定の中谷一馬氏の集会に菅伸子夫人が応援に来て、小生も参加してディスカッション。ちなみに中谷氏は菅直人総理の秘書を3年間勤めていた。取材陣がたくさんつめかけたので、ちょっと不安な面もあったが、みなさん、しっかり自分の意見を主張されていた。さらに、まさにご当地で育った大河原参議院議員なども応援に駆け付け、予定していた人員をはるかに超えて、立ち見の人もいた。20代の若者の集会としては出色の成功だと思うな。終盤に会場から予定していない発言者などがあり、司会役の中谷君も苦労したようだが、会場は老若男女がつめかけて、いかにも7区の民主党集会っぽくなった。
高校無償化などの教育問題、子育て支援などのテーマで、小生は最近めざましく出生率を回復したフランス(フランス議員によると最新の数字はななんと!2.2だという)の取り組みなどを紹介。運営は中谷君の同世代から大学生まで、ほんとに若いみなさんがきびきびと働いて気持ちのいい集会でした。

フランスの高校生組合

2011-02-03 18:42:09 | Weblog
予算委員会も消化試合化してきたのか、それとも小党のパフォーマンスの場だ、とでも斜めに見ようが、国会の低調な議論を聞くにつけ、民主主義の本質的な機能がこの国の民主主義システムに欠けているとしか思えない。それは決して国会議員だけの問題ではないと思う。ワイドショーであれほど激烈に批判するコメンテーターが街にでてデモをするわけでも、新しい政治運動を起こすわけでもない。
今回のフランス出張の時に、フランスで何かあると数十万のデモを起こし、現実に政府の政策を阻止し、改正させた高校生組合(UNL)の会長に会う機会があった。次はそのインタビューである。これまでも大卒を対象とする新雇用法案など、いうなれば「大人」の問題になぜ高校生がこれほど激しいデモを展開するのか、不思議に思っていたが、話を聞けば、「なるほど」と感心する以上に、「ああ、本当の民主主義ってこういうものなんだ」思わざるをえなかった。


UNL会長へのインタビュー
1月19日8:00 進学校として有名なアンリ四世高にかようUNL(全国高校生組合)会長(President)のVictor Colombani君と学校近くのカフェで落ち合いUNL(全国高校生組合)についてインタビューを行った。通訳はパリ大使館佐竹博厚書記官。

Q1: フランスにおける高校生組合はいつごろから、また何をきっかけにできたのか?
A1: 1993,94年ごろ3人の高校生によって始まった。
97年には第一回全国総会が開かれた。最初はフィヨン教育相の教育改革案(VAC)に反対し、やがてドビルパン首相の若者雇用政策(CPE: Contrat de Premiere Embauche)に反対した。最近ではサルゴジ大統領の年金改革案に対して立ち上がってデモを行ったのはご存じのとおり。そうしたデモ活動だけでなく、関係大臣や官僚と直接会って、自分たちの主張を伝えている。
Q2: 組織はどうなっているのか?
A2: UNLの活動は内部評議会で運営方針を決める。10名の全国協議会委員がいる。
 この組織はアカデミー(学区)ごとの組織でもある。県ごとに支部長を選び、支部長の互選によって、全国協議会委員を決める。
Q3: 高校生なのに自分たちと直接関係のない年金改革などにあれほど大規模にデモが展開できるのか?
A3: 当初の教育改革(VAC)は、自分達高校生に直接関係があるから立ち上がった。雇用政策は若者(26歳以下)の共通の問題だから立ち上がった。今は高校生だが、大学卒業なんて、もうすぐ目の前だ。高卒の47%が失業し、大学卒の失業率も高い。特に、高校生の44%は職業学校の生徒であり、雇用は目の前の関心事だ。
年金改革に関しては、それは高校生にとって45年先の問題だとも言われたが、現在でも若者(16-26歳)の失業率は22.8%であり、これが将来さらに悪化し不安定化する可能性が考えられる。失業者の連鎖の中で、高齢者の年金支給が遅れれば、中高年が職にかじりつき、その結果、若者の就職の機会は減少する。現在でも、大学卒業後に定職につくのに平均6年かかり、27歳になってやっと就職できるありさまだ。
Q4:日本の若者は政治に関心をもっていない。高校生は政治に関心がないし、大学生も政治にしらけた感情をもっているが、フランスの場合はどうか?
A4:こうした若者の政治への無関心は別に今に始まったことではない。むしろ現在はそうした無関心はすくなくなってきている。大学生でも、授業を抱えていて、政治活動をするのは大変だ。しかし、フランスでは若者は伝統的に政治に関心があり、また教師も政治的な問題を授業でも話す。雇用改革(CPU)や今回の年金改革では、高校生の活動がさまざまなメディアで報道され、より広範な反応につながっていった。
フランス全土で高校は4000校あるが、その四分の一の1000校で登校拒否やデモ参加で授業が成立せず、休校に追いやられた。
今回の年金改革でも、最初はこのような対応を考えていたわけではない。しかし、皆で分析し、議論しているうちにサルゴジ大統領の本当の意図が読み取れるようになり、反対の意思を示すようになった。
まず他校を訪問し、高校生同士で他校の意見を聞きあっているうちに、年金改革案に反対の気運が広がっていった。高校生同士の議論では、改革案がもたらす真の結果は何か?国家財政の状況はどうか、教員の削減につながるのではないか...など議論され、この問題に高校生の関心を喚起した。
他校訪問では、年金改革だけでなく、その高校が抱える個別の問題など、たとえば、ひとクラス何人で教育が行われているかなど、教育条件の問題なども討議する。
Q5: 今回、インタビューを申し込んだときに、スタッフが常駐する事務所でないので、授業の合間を縫ってインタビューを打診し、早朝の始業前に会うことになったが、そのような組織でどうして50万人もの高校生のデモを組織できるのか?
A5: UNLは7000人の高校生組合員で構成されている。組合費は年間7ユーロのみで、それ以外は徴収していない。これで電話料などの基本的な事務費を出している。それ以外に教育省や自治体などからも補助金があり、これは全費用の40-50%に相当する。
主張を大臣や官庁に直接ぶつけるので、各メディアがそれを取り上げる機会が多い。このことが精神的なバックアップになっている。
事務所は高校にあり、1名の常駐スタッフがいるが、近々大きな集会を予定しており、その準備などで不在になることが多く、常時、対応できる状況にはない。大規模な集会や大会の時には非常勤で学生のスタッフを雇用する。
デモをよびかけるのは、高校生同士で電話をかけたりして、関心を喚起し広げる。そこから大きな集会が開けるようになる。そこに人があつまり、関心をシェアすることになり、そのネットワークが広がっていく。
今回の年金改革問題では、幸運にも、直前に全国大会があり、そこでデモをうつことが決定された。そうした状況が報道され、UNL以外の一般高校生もそれぞれ勝手に街へ出てきてデモし、それにUNLが合流することによって、一挙に巨大なデモになっていった。
Q6: デモは警官と衝突したり、負傷したりでリスクが高い。また、学生が反政府のデモに参加すると、それがデータベース化されて就職や社会で不利になるリスクはないのか?
A6: デモの際の肉体的な負傷の可能性などのリスクだが、デモはきちんと計画され、管理されているので、リスクはない。政治参加の経歴を警察がデータベース化したり、社会生活で不利になったりすることはフランスでは禁止されている。むろん裏でそのようなデータが作られている可能性は否定できないが、それがそれほど当局に活用されているとも思えない。
                      以上(文責 首藤)

液状化する中東北アフリカ情勢

2011-02-01 20:38:54 | Weblog
連日、チュニジアに端を発する民主化騒擾のフォローに追われている。チュニジアは中東・マグレブ地域の優等生で、これまで大きな暴動や反体制活動も少なかった。しかし、隣国アルジェリアにおけるイスラム過激派の台頭に対応すべくベンアリ政権も穏健路線から民族・過激派弾圧路線に切り替え、このことが社会に反体制のマグマを増加/蓄積させていた。
今日は政権に抗議して大使を辞任して帰国直前のヌルディーン・ハシュエット駐日(元)大使の話を聞く。逃亡したベンアリ政権にかわって、国民の期待を集めるチュニジア労働総同盟はなんと大使の父君が1946年に創設した組織だそうだ。大使からも日本からの物心両面での支援に期待するむねの発言があった。
しかし、なんと言っても最大のリスク要素はエジプト情勢だ。ナイル上流域のルクソールにはまだ日本人観光客がとりのこされ、外務省が必死に出国の手配をしている。民主化を要求する市民や学生ばかりでなく、現代世界の脅威となっているテロ組織アルカイダもそもそもエジプトの反体制民族集団やもとエジプト医師のアイマン・ザワヒリなどが中心になって組織拡大が行われたものだ。いまだ生存が信じられているザワヒリがこのような事態に無関心であるはずがない。現在、アメリカ軍の撤退とともに、戦いの大義がうすれたアラブ系のムジャヒディンはイラクやアフガニスタンから、一斉に出身国に戻りつつあると言われ、万一、アラブ社会の精神的支柱でもあるエジプトの政変は、サウジアラビアのような保守的な国家と同時に、国境を接するイスラエルやガザにも深刻な影響を与えることは必定。まさに中東世界は1960年代の独立期から半世紀後の今、大変動の時代を迎えようとしている。