すとう信彦 & his band

社会起業家(チェンジメーカー)首藤信彦の日常活動とその仲間たち

TPPワシントン活動三日目

2013-04-25 12:23:23 | Weblog
これまでほとんど関心を示さなかったアメリカ議会だが、日本政府の猛烈なTPP参加アピールで、にわかにTPP関係議員の活動が活発化してきた。今朝はなんとTPP公聴会が開かれる。現地記者会見を前倒しし、公聴会に駆け付けた。このへんがアメリカで、外国人でも要するに席が空いていれば着席して公聴会を聞くことができる(写真)。平行して複数の公聴会が開かれているのか、アルツハイマー協会の襷をかけた大集団が議員会館の前に順番待ち。早く会場に到達しTPPの公聴会をリアルタイムで聞き、雰囲気を体験することができた。午後には、貿易協定に関係のある議員政策補佐官との会合を重ねる。カリフォルニアのLofgren議員とはTPPの知財やインターネット関係の問題点を話し合うことができた。同議員もATCA以降、インターネットや通信への企業中心の支配に懸念を持ち、注視していることがわかった。もっとも、自動車関係議員の事務所からはあの日本側が全面降伏したような日米協議書の内容すら十分でなく、両国にセンシティブな分野があるのではなく、アメリカ市場は完全にオープンであり、アメリカ製品が日本市場に浸透できないのは、ただひたすらに日本に非関税障壁があるせいだ...というような一方的な主張が繰り返された。またどの事務所も、日本では国をあげてTPPに参加を求めていると思っていたら、反対する勢力が存在するという事実に驚き、USTRは何を報告したのか批判の声もあがっていた。こうした事実を伝えるだけでも今回、ワシントンに来たかいがあったと思う。
夕刻に再び記者会見。主として日本の記者を中心にワシントン活動の報告。USTRを訪問したグループから、担当のカトラー女史から「農業にも一切の聖域がない」旨の発言あり、安倍政権国民に宣伝してきた説明とアメリカ側の理解が大きく異なっている事実が露呈した。

TPPワシントン活動2日目

2013-04-24 12:29:32 | Weblog
ワシントンに来てほんとに驚くのは、今の今になっても、アメリカ議会内でのTPPへの認識がきわめて低いレベルにとどまっていることだ。日本国内で反TPPの感情が高まっていくことも知らないし、JAや自民党など日本側が政権の妥協の道をけん制し、農産品5品目を聖域化して場合によってはTPPからの撤退を宣言していることも知らず、日本がともかくTPPに入りたくてしょうがないので、すべての関税障壁・非関税障壁を放棄した...というUSTRからの宣伝を信じている政策スタッフが多い。その中でわかってきたのは、ほんの一握りの議員だけが、TPP交渉の状況を把握していることだ。国際貿易協定だから財政金融委員会が中心となっているが、その委員会所属議員の中でほんの一握りの委員が緊密にUSTRと連絡を取り、中にはTPP協定のドラフトを見ている者もいるということだ。やはり予想したように、特定業界と当該分野に直接的な利害を持つ議員そしてUSTRの主導でTPPが強引に進められている実態が明らかになってきた。日本の現状やTPPが成立した場合のアメリカが受ける脅威などを説明すると、目の前で驚きで顔が引きつるような担当者もいた。一方で、TPPにもそして日本がTTP交渉に参加するにも、議会の承認が必要だが、オバマ政権には議会承認の前に貿易交渉を進める権威(貿易促進権限法)を欠いていることはすべての議員事務所がよく理解しており、一部の楽観論は別とすれば、やはりこの問題が政権のTPP促進の足を引っ張ると考えている者が多いことがわかる。いずれにせよ、財政問題、移民問題や銃規制問題さらにボストン爆弾テロなどで議会は過剰混雑状態でTPPなどはずっと先の問題と考えられているようだ。5月のゴールデンウイークには日本から与党議員のワシントン詣でが続くのだろうが、予断なく、こうした現実に目を覚ましてほしいものだ。

アメリカは何を隠そうとしているのか?

2013-04-21 22:38:57 | Weblog
ボストンのテロ事件はチェチェン周辺出身のイスラム教徒の若者二人の犯行ということで、驚くべき早い時期から人物が特定され、全米どころか全世界にその映像が流され、ボストン地域を戒厳令下においたような警戒網の中、一名射殺、一名重傷状態で身柄確保ということで決着した...ということになっているが、今回の事件は最初から疑問ばかりだ。圧力鍋の爆弾とか、素人の孤立したテロということに持っていきたいのだろうが、色々無理がある。爆発物を運んでいる兄弟の映像も、背負ったバッグに重くかさばる圧力なべ爆弾が収まっている映像には見れない。まあ初期に人物が特定されたのはFBIが監視下においていたことと関係があるのだろうが、そんな人物にテロを起こさせてはFBIの名折れだろうに。ロシアが出てきたところで、ケネディ暗殺犯人とされたオズワルドを思い出した。犯人が外国の共産主義者やイスラム教徒ならアメリカ国民がなっとくするということか?その実行犯が現場のすぐそばでコンビニ強盗に変身したり、警官隊と打ち合って警官隊に被害をだすほどの武器を持っていたりするにも驚いた。まだ顔写真の映像が公開されるまえに逃亡し、場合によってはチェチェンまで逃げ込むことだって、可能だったろうに。重傷を負い、住宅地のボートに隠れた弟の逮捕というのもよくわからない。出血しながら逃亡する容疑者は別に上空の武装ヘリやロボットを使わなくても、警察犬が追いかければすぐ捕まるだろうに...
テロは劇場犯罪というが、今回の事件で特徴的なのは捜査や拘束も劇場化したことだろう。これこそまさにテロの新次元だ。いったい、なぜアメリカ政府はこんな無茶苦茶な非論理的な犯人逮捕でこのボストンマラソンのテロにピリオッドを打とうとするのだろうか?ウエイコの肥料工場大爆発もあれほど国論を二分した銃規制もいつしか人々の脳裏から消えていく中で、一昔、テロリズムの研究者の言葉を思い出した。「報道されなければ、テロは存在しないということだ、だからソ連にテロは無いのさ」

ウェイコの肥料工場爆発をテロと考えると...

2013-04-18 22:43:23 | Weblog
報道をみるかぎりボストンマラソンでのテロ事件はやはり非中東のテロ、アメリカ社会の矛盾から派生するテロの色彩が強くなっている。テロは常に「why!?」という感情に一般社会はさいなまれるのだが、当初から小生はアメリカの格差社会や銃規制、宗教問題、民兵などがその根底にあるのではと発言してきた。しかし、実はそれは(明確には発言しなかったが)より恐ろしい連想を隠しての発言だった。それは4月に発生した一連のテロ事件だ。4月19日という記念日が頭にこびりついていたが、ボストンの事件は多少ずれているから、単なる偶然の一致とも考えた。
しかし、今朝のニュースで燃え盛る肥料工場の映像で、その場所がウエイコと聞いて背筋が凍るような戦慄をおぼえた。この連想が間違えで、単なる偶然の集積であってほしい。
テキサス州ウエイコと聞けば、1993年4月19日カルト集団ブランチ・デビディアンがFBIの包囲を受けて炎の中で集団自殺した事件をテロの研究者なら誰しも思い出すに違いない。そしてそのウエイコの事件をテロの根拠としたのが、二年後の4月19日にオクラホマシティ連邦ビルを爆破したティモシー・マクベイの事件だ。これで168名が犠牲となった。そして今日は実にブランチ・デビディアンのウエイコ事件から20周年にあたる。そして今はまさにアメリカ社会が富める者と貧しき者、民族や宗教で集団が分裂し、アメリカンドリームが妄想になりつつある状況は、当時とよく似ている。今日、この日にさらなる事件が起こらないことを祈るばかりだ。

ボストンのテロリズム

2013-04-16 23:17:26 | Weblog
朝の国際ニュースはCNNもBBCもボストンマラソンのゴール付近で発生した二度の爆発の映像で埋め尽くされた感がある。テロは劇場犯罪であり、ターゲットは国民の心理だから、これがテロであれば、北朝鮮の核攻撃の可能性を訴える報道が蔓延しているなかで、人々の漠然とした不安感の中で、効果的な瞬間を狙ったものだろう。テロというと、中東・イスラム・アルカイダのように外部の狂信的なグループが攻撃してくるというイメージが定着しているが、実はアメリカ国内で、白人によるテロが横行していた時期がある。反文明、反動物実験、反堕胎、反国家教育、反イスラムのテロからカルト系テロなどさまざま事例が報告されている。有名なのは1970年代末から95年まで散発的にアメリカ社会を攻撃したユナボマーの事件や連邦政府の政策に反発した極右勢力のオクラホマシティ連邦ビル爆破などだろう。後者では実に168名の死者をだした。
フジテレビBSのプライムタイムに出演。ここで指摘したのは、アメリカにおける格差社会と貧困層の拡大だ。オキュパイ運動に見られるように、失業し将来のあてのない若者が次第に主張を過激化させているように考えられる。マラソンというと、庶民の運動好きなは老若男女の金のかからないスポーツというような感じが日本ではするが、アメリカでは定職を持ち、そこそこ裕福で、高価なサプリメントやビタミン剤を取っているどちらかというと富裕層のスポーツの感じがする。その対極が、職探しにつかれ、家で重いからだをベッドに横たえたまま缶ビールとポテトチップを持ちながらテレビに見入っている貧困層だろう。
まだ犯人像は浮かび上がらないが、ちょっと不思議な気がする。ひょっとして犯人像がアメリカにとって、発表が難しいのかなとも勘ぐってしまう。テロというと中東・イスラムの世界だったが、これからはまた先進国側で多発しそうな予感がする。
同時に、このテロがアメリカ経済そして日本のアベノミクスに暗い影をなげかけたことだ。これがきっかけになって、安倍バブルが崩壊するかもしれない。この一週間はこのテーマから目を離すことができないだろう。

合意という名の降伏文書

2013-04-12 23:46:10 | Weblog
TPPに関する日米合意が成立したと安倍総理は記者会見で述べているが、その合意内容の実態はいかなるものだろうか?新聞報道や内閣官房TPP対策本部などのリリースなどを見る限りでも、合意の概要は全面降伏文書に等しい。ほんとにこんな条件で「合意」したのだろうか?まるで三敗一引き分けのような内容になっている。これで本当に自動車業界はなっとくしたのか?日本が要求していた重要なテーマはほとんど本交渉へ持越しということになるが、そこではすでに11か国合意が存在していて、日本はほとんど修正権いや発言権すらない。議員が入手した外交文書を見ると、いたるところで「ダメージを最小限に見せる」外務官僚の意図的誤訳が行われているかんじがする。車や農業、保険などでの一方的譲歩以外に、継続審議となっている文書の中に、実は結論が最初からわかっている罠が点在しているように見える。早く原文を入手して、この「日米合意」なるものの実態を明らかにしたい。

山口県参議院補選の寂寞

2013-04-10 23:23:08 | Weblog
山口県でA総理の祖先のK氏の血筋のKさんが参議院から山口二区の衆議院議員に鞍替え。その結果、山口県では参議院議員補選が行われることになり、明日告示、4月28日投票という。そしてその渦中にいるのが、民主党きってのリベラル派である平岡秀夫前衆議院議員だ。長年、新しい民主主義をつくろうと一緒に活動してきた同志でもある。自民党鉄壁といわれた山口県で長年、山口二区の衆議院議員としてのポストを維持してきたが、さすがに彼でもあの自民党・産業界・マスコミ三者連合の怒涛のような選挙キャンペーンには抗しきれなかったのだろう。客観的にいうと、まだアベノミクスの虚像が崩れていない政治環境で、参院補選に手をあげるのは英断だと思う。衆議院選の民主党総崩れの中であえて立ち上がったのは、これ以上、自民党の暴走を許さないという意思の表れだろう。
明日が公示ということで、政見放送の録画撮りを終えて出てきた平岡氏と情勢について意見交換。山口全県を走り回って、スポット演説を繰り返してきたそうだ。なんか永田町にいたときよりずっとエネルギッシュで若返った感じ。この勢いで明日からの厳しい選挙戦を勝ち抜いてほしい。
厳しいというのは、相手候補の選挙キャンペーンが激しいというのではない。現実はまったく逆で、ほんとに明日から選挙なんかなと思うほど商店街も駅前も静かだった。その一方、山口の親戚の話では、すでに上から署名リストがおりてきて、自民党候補応援の署名を迫られているそうだ。こういう状況が日本の民主主義にとって最悪の状況だと思う。激しい政策論戦もなく、候補者の実像も実績も明らかにならないまま、いつの間にか潜在的な票が積み重なっていく...
平岡氏はこれからのTPP反対運動や原発ゼロ活動のためにもなくてはならない人材だ。こんな荒野の寒々とした寂寞の状況の選挙でも、自ら嵐を巻き起こし、民主主義の砂漠を緑に変えてほしい。駅の売店で、山口県名産の蒲鉾を押しのけるように、安倍ちゃんブランドの菓子が並べられているのを見ながら、平岡氏の義挙が日本の民主主義復活の最初のきっかけとなることを期待したい。

キタア!BSE全頭検査廃止!

2013-04-03 22:14:04 | Weblog
7月にTPP交渉参加・・というのを目標に、アメリカ議会を納得させるためにアメリカ政府から指摘された日本側のハードルをともかく下げようと、各省・各産業が猛烈な勢いで規制撤廃や条件緩和に動いているようだ。自動車産業界も「ともかくアメリカ車を輸入しなきゃ相手は納得しない..」というところから、韓国と同じように、輸入優遇枠を設置する動きが垣間見える。なさけない話だね。もうそういう自動車メーカーには不買運動でもしようかなという気になってくる。これだけ無理な円安誘導や輸出にともなう消費税還付などを受けていて、まだ儲けたいのかね。しかし、今日の朝日新聞に載ったBSE全頭検査廃止には驚いた。確かに日本は潔癖症で、仏教の伝統もあり、肉を食べること自体に微妙な罪悪感を持っていて、BSEの時も特殊な反応があったと思うが、小松菜にも農家のオヤジサンの写真がついているような現在、牛肉の全頭検査も究極のトレーサビリティで悪くないと思っていた。いま、世界では「もったいない」とか「カイゼン」とか、日本的な社会の知恵が広がりつつあるので、全頭検査なども非肉食文化の表現としていいなと思うのだが...実は昨年、アメリカにTPP情報調査で行ったときに、米国畜産業界の人から、アメリカでは放牧が中心なので全頭検査などはとてもできないが、それでも最近は自分たちの製品の安全性を売りに全頭検査をする畜産農家が増えている..日本の立場もよく理解している...というような話も聞いた。
今回の厚労省方針の最大の問題は、単にたかだか年間5億円程度の検査用品の補助金を厚生労働省が無くすということだけでなく、自治体に全頭検査をしないように指導するということだ。要するに、日本国内で、「消費者の反発」や「独自の安全哲学」で全頭検査を続行する自治体の存在を許さないということだ。そりゃそうだ。ある自治体が全頭検査を維持し、米国産牛肉に懐疑的であって、その県だけが米国産牛肉の売り上げが伸びなければ、アメリカ企業はISD制度に基づいて、その県ではなく日本国政府に損害賠償の訴えを起こすことになるからだ。This is TPP!とでも叫びたいような事例が次々と浮かび上がってくる。まだほんの数か月だけど、恐ろしい時代になったものだ。

いったいどうしたニューズウイーク日本版???

2013-04-01 22:09:53 | Weblog
繁華街の店頭でニューズウイーク(日本版)を売っている。表紙を見て思わずギョギョツとなった。題名は「TPP恐怖症」副題は「農業や保険が破壊され、日本の文化が脅かされる!?デマと誤解に怯える不毛」とある。内容は副題どおり、荒唐無稽なTPP自己宣伝になっている。TPP反対論者がいかに無知であるか、反対がいかに意味がないか...をこれでもか、これでもかと殴りつける論調。おいおい、ニューズウイークというのはいつからオピニオン誌になったんだ?これじゃニューズではなく、「諸君!これが正論だ!」なんて雑誌名にしたらいいんじゃないか?
これで驚いてはいけない!後ろの方には、「上智大学グローバル教育:100年目の決意」という特集があって、ななんとあの藤崎一郎前駐米大使の半身写真がページいっぱいに大写し。グラビア女優や野球選手じゃあるまいし、いったいなに様のつもりか?これは上智大学の広報宣伝ページなのだろうか?それともアメリカ政府の意向を一身に代弁して頑張った日本大使の宣伝なのか?
ニューズウイークの記事にあきれながらパラパラ、ページをめくっていたら、テレビでは松井と長島の国民栄誉賞授与、景気が良くなりそうで新入社員をたくさんとった企業の入社式 etc...etc...この内閣は日本社会の隅々まで欺瞞と誘導の広報を押し付けている。ジャーナリストの役割は真実を人々に伝えることではないのか?彼らの一人ひとりの胸にその問いを発してみたい。まあ「いや俺たちは別にジャーナリストじゃない、ただの情報会社のサラリーマンだ」という自嘲の反論が聞こえてきそうだ。