すとう信彦 & his band

社会起業家(チェンジメーカー)首藤信彦の日常活動とその仲間たち

ODAが軍事援助に使われる時代の到来....

2014-06-27 10:16:57 | Weblog
ついにそんな時代がきた。http://www.yomiuri.co.jp/politics/20140626-OYT1T50136.html
 今日の読売新聞によると、「ODA大綱見直しに関する有識者懇談会」(座長・薬師寺泰蔵慶大名誉教授)。現在の大綱は、「軍事的用途の回避」を掲げており、軍が使う可能性がある「軍民共用」空港などの整備はできない。報告書は、災害救助などを念頭に、「軍の非戦闘分野での活動も広がっており、一律に排除すべきではない」として要件緩和を求めた。。。。」だそうだ。
軍も災害援助などの非軍事活動をしているからいいのだ...という主張が根底にあるのだろうが、「軍」というものは、別に鉄砲を撃つだけでなく、道路工事や病院や教育機関まで含めての全体が「軍」機能で、こんな主張をする「有識者」はおよそ専門家でも「有識者」でもない。薬師寺さんも恥を知るべきだろう。
 発展途上国の開発や難民対策に携わっている(官僚からNGOまで)皆さんはどう思うのだろうか?現場では日本の政府援助はすでに減り続け、最も基本的な援助すら実施できなくなっている。その乏しい援助の原資がさらに言えば、ある意味で真逆な方向に使われていくとしたら、現場の絶望の嘆息が聞こえるようだ。
 このように人道援助と軍事援助が混在するようになれば、日本のODAへの信頼と敬意も薄れていく。日本の援助の高い精神性はその金銭的価値以上のものをもたらしてきたのだ。伝家の宝刀を薪割りに使うような愚を許してはならない。
 最後の安全装置をはずしたのは安倍政権だが、いつかはこんなことになるとは、実はイラク派兵のブッシュ政権時代からわかっていた。コンドリーサ・ライス国務長官が日本に来て、「これからはODAもアメリカの世界戦略に合せて使ってしい...」みたいな発言があり、外務省いや北米一課省はこの時点でその方向に舵を切っていたと推察する。しかし、民主党政権時代は決してそんなことにはさせなかった。口幅ったいようだが「あの嫌な首藤の野郎がケチをつけやがって」とえらいさんが憤慨していると現場の若手が教えてくれた。外務省は最も長い歴史を持つパレスチナのUNRWAへの基本支援すら切ろうとした。党幹部も説得し、野党にも協力をもとめ、ついにODAは下げ止まって増加に反転したのだった。しかし、そんなことはもう夢のまた夢のなかの話しだ。
 アメリカの戦略と一体化した、もっと正確に言うと、軍事費の負担に耐えられなくなったアメリカの財政と一体化した、今回のような政策転換は簡単には止められない。やはりもう一刻もはやく、再び「自立した、まともな政治ができる」政権を作らなければならないと心に刻む。
 

ダストボウル:オクラホマの砂嵐は何を生みだすか?

2014-06-25 16:29:25 | Weblog
イギリスのBBCとアメリカのABCやCNNとをモニターしていると、いかにグローバルニュースとはいえ、ローカル要素が強くでて参考になる。しかし、その一方で英米の差を感じない同じニュースがながれていることがある。イラクのISISの侵攻がその例だ。連日のごとくISIS(ISIL)の脅威やその背景分析などが流され続けている。が、今日は英米で流されたオクラホマのダストボウルのシーンに驚愕。同じ映像を見たことがある。それが80年前のこの写真だ。家の格好や人々のきている服はちがうけど、まるでデジャヴの世界だ。
世界大恐慌の後遺症が続く中、アメリカ中西部で1930年代、ダストボウルと呼ばれた乾燥した台地の暴虐が吹き荒れた。砂嵐はオクラホマ農家の多くを破滅させ、多くは「乳と蜜の流れる」と宣伝されたカリフォルニアに難民となった。それがスタインベックの「怒りの葡萄」だ。400人の募集に押しかけた2万人は忽ちのうちに悲惨な状況に追い込まれる。ここに込められたのは、聖書の世界の再生だ。しかし、追われた農民は敵ではなく、当局によって攻撃される。アメリカのオキュパイ運動や、99%の怒りと同じセッティングがあった。
温暖化の影響だろうか、日本でも豪雨、昨日は三鷹市で季節外れの雹。しかし今、アメリカ各地はすさまじい豪雨と洪水だ。連日ニュースでその画面が流れている。まさにその一方で、ダストボウルが生まれている。豪雨すらほとんど乾燥台地を救えないという。太古からの化石水の蓄積が長年の大規模耕作でついに失われたとする分析もある。砂嵐は表土を突き飛ばし、農地として回復しない。それがアメリカの農業の現状であり、アメリカがTPPを押し出す背景だ。
アメリカの経済は30年代ついに回復しなかった。それを解決したのは、パールハーバーとアメリカの参戦だった。しかし、ここは30年前と違う。戦争は不況からの回復ではなく、不況の深刻化を招いている。


ISISを「イラク過激派」と表現するのはおかしくない?

2014-06-22 21:53:35 | Weblog
http://www.yomiuri.co.jp/world/20140622-OYT1T50101.html?from=yartcl_blist
イラクの反政府勢力ISIS(ISIL)がついにシリア国境の拠点を制圧。これによってISISはイラク内の集団から直接に他国と接する「国家」に変貌した。そうしたISISを日本の新聞はまだ「イラク過激派」と表現しているが、不思議な話しだ。過激派というと、大学キャンパスの片隅で立看板を張っている学生や、警察に追われてアジトをつぎつぎに移動している孤独な人々を想像してしまうが、このISISは軍隊と行政組織を持ち、モスルでは銀行を襲って数百億円相当の財政を獲得した。そしてついに彼らは「国境」も獲得した。これを日本はなぜ「イラク過激派」と呼ぶのか?確かにイラクの正統な政府はマリキ政府だろうが、その政府以上のパワーを持ちつつあるISISを「過激派」と呼び続けるのは何だろうか?むろん日本国外務省が認めるのはマリキ政府であり、公式にはその立場を揺るがすことは無い。しかし、メディアは違うはずだ。世界で起こっていることの本質と真実を伝える責務があるはずだ。その新聞社がいまだに現実に政府を凌駕するような勢力を「過激派」と表現するのは不思議に思えてならない。一つの仮説は、そうした海外情勢を紙面に書く記者が外務省の記者会見での用語に忠実にしたがっている可能性だ。それ以外の表現をしたら、外務省のバッシングを受けると考えるのかも知れない。もしそうだとしたら、情けない話しだと思う。

原発再稼動の前にロゴビン・レポートを読め

2014-06-18 21:26:48 | Weblog
今日は某新聞社の記者がオフィスにきて、原発再稼動問題での最近の展開から民主党時代の原発事故収束PTの話しました。特にロゴビン報告というは初めて聞く話で、興味を持ったようです。
原子力事故収束これもTPPと同じぐらい精力をかけて取り組んだ問題で、落選後に移転した事務所のスペースの半分ぐらいを原発関係資料が埋め尽くしていました。アメリカはスリーマイル島原発事故発生を受けて、それこそNRCはじめ原子力関連のすべての要素を見直しました。五つもの独立調査委員会が設置され、あらゆる角度からあの事故の検証から今後の原子力産業や原子力技術者のあり方などの提案を行い、現実に改革を断行したのです。日本ではそのなかでもケメニー報告だけが知られていて、翻訳も出ています。しかしこれは施設のハードやプロセスそれに直接の事故原因などの解明が中心で、原子力規制自体あるいはまた財界のありかた、地域社会との連携などはロゴビン報告に書かれているのです。ところがこのロゴビン・レポートは翻訳されず、ほとんど専門家にも知られていません。規制委員会の主要メンバーも読んだことないそうです。このロゴビン報告の提言を日本が採用していたら、あの事故は起こらなかっただろうといわれます。まあ、それは過去の話だけど、そこでの提案の一つが「現実的な退避計画なしに、再稼動はない」という提言でした。それだけで、日本では原発の再稼動などは最初から不可能なことがわかるはずです。規制委員会はぜひ一度でも国会図書館にあるロゴビン報告に目を通してほしい。

閣議が開戦の御前会議

2014-06-18 11:01:11 | Weblog
安倍政権と集団的自衛権問題の怪しげな部分は、閣議決定にえらい権威を与えようとしていることだ。無論、政府の重要決定が閣議によってなされることには異論がない。しかし、閣議って、憲法の条文ではどうなっていたっけ?と疑問を発してみる必要がある。
国の運命、国民の生命財産に直結する重要問題が、持ちまわりでつぎからつぎへと流れ作業で花押を押すあの「閣議」の場で決定されていいのか???
集団的自衛権問題は集団か否かではなく、国をどう守るかという国民的な議論がなければ意味がない。それが数百万の犠牲を出して悟った真実だ。それが、どんどん密室論議になっていって、「閣議」で決めることになってしまった。もう民主主義はまったく機能しないと言っても過言でない。
まあ、日本の現状は論外としても、世界中で民主主義の機能不全や衰退について多くの声があがりはじめた。ひさしぶりにポストデモクラシーなどの書籍を読むと、それらがのきなみ2007年出版なのにある意味、愕然とする。そうか、世界は911とブッシュ政治それにグローバリズムの影響をそれだけ真剣に捉えていたのだと思う。その中の記述の年号に、10年を足しながら、しみじみ読み入った。

ISISとは何者か?

2014-06-13 10:29:16 | Weblog
まるで地中から湧き出したようなISISの快進撃だが、これまでシリアでアサド政権と対峙してた反政府武装集団などとはまったく次元の違うスピードとパワーに圧倒される。モスル制圧は理解できても、本来ならその支配を貫徹するために、守りの姿勢に入るはずの集団が猛烈な勢いで南下しバクダッドに迫ろうとしている。軍事の常識もゲリラやテログループの常識ともまったく異なる展開になっている...と不思議な思いでBBCの画面を見つめていたが、小生なりに一つの仮説が脳裏に浮かび上がってきた。
それは彼らの組織力だ。隊列も戦車からテクニカルに変わっていても、それはゲリラや諸民族の寄せ集め集団などでなく、正規軍の隊列だと思う。また彼らが明確な命令系統で現場を指揮していることがわかる。チェックポイントでバリケードを並べる人、PCをチェックする人、難民の流れをコントロールする人などがきびきびと指示に従って活動している。これは何か?!
               それは「行政機構」だということだ。
要するにかってのフセイン政権時の地方行政機構がよみがえって動き出したのだ。これまでISISIもサラフィー・ジハード主義とか、アルカイダとの関連で参照枠を考えてきたが、そうしたテログループの系統や思想から距離を置いて考える必要もでてきた。指導者と目されるAbuBakr al-Baghdadiがアルカイダのアイマンザワヒリの要請を拒否したことがあり驚かされたが、ひょっとすると、彼は本質的に異なった目標を持っているのかもしれない。
しかし、もし小生の仮説が正しければ、事態は容易ならぬ方向に急激に進む。警察や軍が任務を放棄して撤退するのも、はたして単に命惜しさで脱走しているのか疑問になってきた。バグダッド侵攻など妄想に近いと考えたが、この仮説が正しければマリキ政権は内部から崩壊することになろう。
オバマ大統領のとりとめもないコメント風景をみていて、アメリカの困惑が伝わってくるようだ。

ISISとは何者か?

2014-06-13 10:29:16 | Weblog
まるで地中から湧き出したようなISISの快進撃だが、これまでシリアでアサド政権と対峙してた反政府武装集団などとはまったく次元の違うスピードとパワーに圧倒される。モスル制圧は理解できても、本来ならその支配を貫徹するために、守りの姿勢に入るはずの集団が猛烈な勢いで南下しバクダッドに迫ろうとしている。軍事の常識もゲリラやテログループの常識ともまったく異なる展開になっている...と不思議な思いでBBCの画面を見つめていたが、小生なりに一つの仮説が脳裏に浮かび上がってきた。
それは彼らの組織力だ。隊列も戦車からテクニカルに変わっていても、それはゲリラや諸民族の寄せ集め集団などでなく、正規軍の隊列だと思う。また彼らが明確な命令系統で現場を指揮していることがわかる。チェックポイントでバリケードを並べる人、PCをチェックする人、難民の流れをコントロールする人などがきびきびと指示に従って活動している。これは何か?!
               それは「行政機構」だということだ。
要するにかってのフセイン政権時の地方行政機構がよみがえって動き出したのだ。これまでISISIもサラフィー・ジハード主義とか、アルカイダとの関連で参照枠を考えてきたが、そうしたテログループの系統や思想から距離を置いて考える必要もでてきた。指導者と目されるAbuBakr al-Baghdadiがアルカイダのアイマンザワヒリの要請を拒否したことがあり驚かされたが、ひょっとすると、彼は本質的に異なった目標を持っているのかもしれない。
しかし、もし小生の仮説が正しければ、事態は容易ならぬ方向に急激に進む。警察や軍が任務を放棄して撤退するのも、はたして単に命惜しさで脱走しているのか疑問になってきた。バグダッド侵攻など妄想に近いと考えたが、この仮説が正しければマリキ政権は内部から崩壊することになろう。
オバマ大統領のとりとめもないコメント風景をみていて、アメリカの困惑が伝わってくるようだ。

政党の存在意義

2014-06-12 17:18:35 | Weblog
政党の在り方に疑問を感じないわけにはいかない。事務所が新横浜のほんの裏手正面にあるので、地方にいても結局は東京で会合しなければならないかつての同志が新幹線でワンストップしてあるいはまた羽田から高速バスをつかって新横浜経由で立ち寄ってくれる。昨日もそうした仲間と話し合ったが、もはや総支部長でもないので、党からの支援もなく、昨年の年間所得が40万円と聞いて胸が痛くなった。
民主党も2005年の小泉選挙で大敗したときも、苦境に落とされた全議員に、小額でも生活支援をしていたのだが、今度はゼロ。執行部としてはそれを地方議員に回すということらしいが、これではさまざまな条件下で総支部長になれなかった同志はもういらないというに等しい。各国では政党がそれなりに智恵をつかい候補者をサポートしているのだが...実は自民党などはそうしたシステムがあり、多数の議員が民間企業で顧問をしたり、金銭的に面倒を見てもらっている。例の問題になったパソナなどもその一例で、それが前回選挙では大量に復帰してきた背景だ。
これでは、結局、普通の人は政治にのりだすことができず、結局は企業や労組やあやしげな金づるなどのバックのある人しか選挙にでることもできない。日本の民主主義がもうほんとにガリガリにやせ細っているのもむべなるかなと思う。
こうした政治の在り方自体を抜本的に変えて、生き生きとした政治システムを再構築していきたいと思う。

モスル陥落は何を意味するか?

2014-06-12 11:03:13 | Weblog
BBCをはじめ国際報道が驚愕のニュースとしてISISによるモスル占領そしてティクリットからバクダッドへの侵攻を報道し続けている。ISISといってもトヨタのミニバンでも古代エジプトの神でもない。サラフィー・ジハード主義集団「イラクとシリアのイスラム国」のことだ、と説明しなければならないほど、つい最近までこの動きは新しく小さなものだった。この武装組織がヨルダンからバクダッドへ入る要衝のファルージャを占拠したときにも、国際社会は驚いたことはまちがいないが、それでも、弱体化した政府治安部隊の間隙をぬって一時的に占拠に成功した...としか考えなかったのではないか?
しかし、北部油田地帯とも近いイラク第二の都市であるモスルの陥落は、この武装勢力の持つパワーを国際社会は改めてというか、初めて本当に理解したのだろう。政府軍でもこんな拠点を安易に手放すはずがないからである。BBCも映像からはこの組織が簡易チェックポイントを設置して、PCのデータを使って逃亡する民間人にまぎれて脱出するセキュリティ責任者を拘束し処刑する状況が読み取れる。要するに、この組織は単なるゲリラ組織ではなく、近代的な手法で占領地の行政能力を発揮しているのだ。
同様に映像はイラクの占領地から政府軍が放棄した兵器をシリアへ転送していく姿が映されている。膠着化したシリア政府反政府勢力の状況の中へ、大量に蓄積されているイラクの兵器が流れ込めば、状況はまさに政府反政府勢力の均衡を崩すものになるだろう。まさか、いかに無能無気力のオバマ政権としても、この状況を座視することはないだろうし、また皮肉なことに、バシャールを支えるイランもロシアも座視するわけにはいかない。しかし、もしISISの動きがそうした大国の反応の間隙を縫って急侵攻すると、ひょっとしたら、この地はまさにイラク、レバント(シリアなど)を中核とする新たなイスラム国家が成立するかも知れないのである。
これまでジハードは次第に自爆テロのような限定的な手段や主張に矮小化されてきた。この地で国際社会から評価されたのは、ジャスミン革命のように「アラブの春」の「民主化」だった。その幻想が薄れるなかで、現実に社会を変えつつあるこの勢力がどのような政治的、軍事的そして精神的な影響をもたらすのか、中東の状況は新しい次元を迎えつつある。