すとう信彦 & his band

社会起業家(チェンジメーカー)首藤信彦の日常活動とその仲間たち

同志の離党を悲しむ

2012-07-22 22:28:15 | Weblog
本当は今日はもう次の週なのだろうが、長い長い一週間が一連の地元活動で、ようやく終わった感じがする。消費税採決の前後以来、さまざまな理由から同じ問題でスクラムを組んで戦っていた同僚議員がつぎつぎと党を去って、「無関係の人」になってしまった。離党の瞬間こそはマスメディアが「いよう、待ってました!」とばかりに取材が殺到し、主張がお茶の間のテレビ画面を流れるのだが、一週間もたてばマスコミは「次の離党者」を求めて右往左往、離党した人は「ただの議員」として専門情報も機密情報からも途絶した世界に取り残される。それにしても今週(先週?)は参議院の谷岡さんや舟山さんのように、原発事故直後の賠償法案時期から協働し、事故調、規制庁、ベラルーシとの情報チャネル形成、福島法誕生などなど一年以上協働してきた同志が党をというか、原子力事故収束PTを離脱したことには、正直、疲労感に加えてどっと虚脱感にさいなまれた。脱原子力を主張するひとは、また消費税に慎重な人は、実はTPPにも反対で、積極的に発言していたオピニオンリーダーが一人去り二人去ると、部会自体が低調というか、閑散とした雰囲気になってしまった。
執行部はこういう状況を是としているのだろう。オスプレイ配備強行、集団的自衛権解釈変更、PKO法改正からTPP早期加入意思表示まで、一挙に強硬路線が突出してきている現状を見ると、党から長年の苦楽をともにした同志が去っていく痛みより、自分たちの主張の邪魔をするやつがいなくなったことで歓喜している人もいるのではないかと疑りたくなる。離党者の選挙区には「刺客」だって?そんな小泉流のやり方こそ、民主主義ルールに反すると我々は批判してきたはずじゃないか?!
状況を憂いていても、何も始まらない。我々には民主党、というよりも3年前の民主党のビジョンに賛同して投票してもらった国民に対する責任がある。
サッカーでいえば9人で後半戦を戦うはめになったチームのような無力感もあるが、残った同志を集めて状況の立て直しにかかろう。明日はまた新しい一週間だ!

福島原発事故国会事故調報告

2012-07-05 18:48:16 | Weblog

消費税採決から最終的に小沢グループの離党で一応は政局が小休止、ここずっとまた原発・エネルギー関係の会議や報告会に忙殺される日々に戻った。しかし、今日のN教授の報告はひどかった、まあ原子炉関係技術者だから「原発よ永遠なれ」とエールを送りたい気持ちは理解できないわけではないが、技術系研究者が安全保障やエネルギー安保を振りかざして原発の存続意義とするとはね..
その直後に国会事故調の報告があった(写真)。日本の国会で最初の独立調査委員会だ。実はこの起点は原発収束TPで、政府の事故調だけでなく、アメリカのスリーマイル島事故の際のケメニー報告やロゴビン報告に匹敵する中立公正報告書を作ろうということで提案されたものなのだ。小生の頭の中には航空機事故原因解明で有名なアメリカ運輸省のNTSBがモデルとしてあった。当時、自民党は菅総理を政権の座から引き降ろすべく個人攻撃を続けていて、自民党からも国会内に調査委員会の提言がでた。民主党の執行部側は嫌がっていたのだが、まさにひょうたんから駒で、突然妥協が成立して、この史上例を見ない国会事故調が発足したのだ。
短期間でこれだけの報告書をまとめられた委員の皆さまに心からの謝意を送りたい。委員の一人となった被災者の方が報告会の質疑で言葉につまるシーンがあったが、現場や被災者のインタビューでどれほどつらい思いを体験したことか...
報告書では、これまで伝えられたような事故発生時の官邸や個人の対応のまずさではなく、原発安全神話や、危険を知りながら準備を怠った原発および原子力発電をとりまく組織・制度の欠陥が報告されている。
史上初の報告書としてはすばらしいものだが、「危機管理」という点に関しては、必ずしも理解が深くないような気がした。危機管理機能の欠陥(disfunction)と、そもそも危機管理システム自体が存在していなかった(non-existence)ことの区別もできていないと思う。危機管理は要するにpreparednessすなわち、どれだけ事前に危機を想定した対応が用意されているかだが、そうした本質的な問題の指摘と提言には不満が残る。質疑の時間でも指摘させていただいたが、単なる原子力規制だけでなく、そもそも原子力をとりあつかうときの国家としての覚悟や基本政策の不備も指摘されていない。緊急時の緊急大権の欠如、すべてが事業者にまかされ、危機対応に営利判断が入りこむ危険、危機発生時の住民退去のシミュレーションや無人地帯設定などの提言も無かったのは、1980年のケメニー/ロゴビン報告を考えると残念な気がする。
それでも、この大部のデータとヒアリング報告は今後の原子力事故対策において金字塔となると思う。委員側からも指摘されていたが、この報告書を生かすのこそ国会の役割であることを心に刻んだ。