対人地雷に代わって、紛争地で不発弾を撒き散らしたクラスター爆弾にようやく禁止のための国際条約の網がかかることになった。しかしまあ、条約そして条文審議の実際の議論を精査しないと、真実は明らかにならない。クラスター爆弾といえば、ベトナム戦争時のボール「爆弾」が有名だが、それはあくまで爆弾、現在はエレクトロニクスを活用し、より高度に発達したクラスター「弾」が多用されている。日本ではそれがごっちゃになっているが、英語ではbombではなく、munition(装備)と正確に表現されている。自衛隊が持っている多弾頭ロケット弾もその一種だが、現在の兵器は多かれ少なかれ多弾頭化が進んでいる。ここまでは今回の条約で網がかけられるようになるのだが、問題はその先にある、兵器のクラスター化である。要するにエレクトロニクスを組み込んで自爆させたりするようになれば、この条約の網の目をくぐることもできるし、さらにエレクトロニクスを活用して識別機能を持たせれば、兵器の小型ロボット化も可能になる。ヨーロッパ諸国にとっては、新たな兵器を売り込む格好のチャンスとなった。アメリカ・ロシア・中国という核保有国、武器輸出大国が条約に加わらないことを考慮すると、このクラスター弾禁止条約は軍縮としてはあまり意味を持たないし、多くの保有国はまじめに廃棄するのではなく、闇ルートで販売するだろう。日本はさっそくまじめに廃棄するだろうが、それは実は「廃棄利権」があり、廃棄を請け負った軍事産業(多くは防衛庁・自衛隊の天下り先)が潤うからだ。たとえ条約があろうとも、クラスター爆弾は堂々とテロ対策なる建前で、アメリカなどによって使用される。テロリストは人間以下の存在と目されるからである。アフガニスタンで大量に発生した農民、子供の被害も、タリバンの活動地域を制圧するという「崇高な」目的があったのである。
紛争地での民間人被害は軽減されない。それどころか、今度は条約をすり抜けた新型兵器の開発・販売が一挙に進むことになろう。日本のように、新兵器開発もなく、アメリカの新製品を買い続けることを運命付けられている国がクラスター弾の廃棄と新技術製品の新たな購入というダブルパンチを受けることになる。こんな流れは数年前からわかっていたことだ。世界の流れがわからないからそれに前向きに対応できないといえばそれまでだが、ここでも日本の国際社会のトレンドに対する先見性のなさが大きな損失を生むことになった。
紛争地での民間人被害は軽減されない。それどころか、今度は条約をすり抜けた新型兵器の開発・販売が一挙に進むことになろう。日本のように、新兵器開発もなく、アメリカの新製品を買い続けることを運命付けられている国がクラスター弾の廃棄と新技術製品の新たな購入というダブルパンチを受けることになる。こんな流れは数年前からわかっていたことだ。世界の流れがわからないからそれに前向きに対応できないといえばそれまでだが、ここでも日本の国際社会のトレンドに対する先見性のなさが大きな損失を生むことになった。