「災害地理学」のカギはアセスメント
月刊地理9月号の「時間地図」
地理業界誌月刊地理9月号(古今書院)表紙の「時間地図」が秀逸です。縦軸に時間、横軸に都心から郊外への感染者数の分布を示した「地図」は、いろいろなことを考えさせてくれます。
COVID-19 Spatio-temporal case-density map
歴史は「教訓」、地理は「将来予測」
地理学は「アセスメントの科学」と呼ぶ人がいます。歴史も似たことを言いますが、それは教訓としてという意味合いが強く、科学的予測とは色合いが違います。環境アセスメントは地域を科学的、客観的に理解して将来を予測するシステム的な思考です。
来年4月から実施される学習指導要領では「地理総合」が「歴史総合」「公共」と共に必修科目になります。その地理総合では「防災教育」が4本の柱(GIS、国際理解、主体的・対話的深い学び、防災)の一つとして位置づけられています。
「防災」では、メカニズムを学ぶことが重要
「防災教育」というと、「被災対応教育」が今までの中心でした。ボクは地理での防災の扱いは「メカニズムを学ぶことが重要だ」と言ってきました。それはメカニズムを学ぶことで災害の予測に結びつくからです。ハザードマップを見て危険を知るのではなく、地理を学ぶことで危険を予測できることが重要だと思うからです。身近な地域をよく知り、災害のメカニズムを理解することで自分用の「ハザードマップ」が作れることが大切だと思います。
第16章 地震のメカニズム|凸版印刷 防災のこころえ (toppan.co.jp)
第17章 津波のメカニズム|凸版印刷 防災のこころえ (toppan.co.jp)
第18章 二次被害のメカニズム|凸版印刷 防災のこころえ (toppan.co.jp)
水害、地震災害、津波被害だけでなく、近くの倉庫や工場、産業廃棄物処分場など地域の危険因子はさまざまです。日ごろから地域に目を向けて安全で暮らしやすい地域づくりにかかわることも重要です。
地域の安全基盤を保障するのは行政の責任。市民は行政を正す責任
行政は安全に暮らせる地域をつくる責務があり、市民は行政を正す責任があります。市民と行政が力を合わせることによって、暮らしやすく、安全な地域がつくり上げられます。自助・共助・公助と言いますが、地域の安全基盤を保障するのは行政の責任です。災害時にどのような対応をするのか、発災以前の計画と準備が重要です。
日本の避難所は国連の難民規定以下
日本の避難所は国連の難民規定以下の状況です。100年以上前と同じような、体育館で雑魚寝(ざこね)という様子が続いています。日本では災害の際には「仕方がない」「しょうがない」とあきらめ、災害時にできるだけ日常を維持する工夫をする努力がなされていないといえます。亡くなった方もいるのに、生きてるだけでありがたいという個人の思いは理解できますが、避難所でも「ひと」として大切にされることは重要なことです。
自衛隊基地を避難所として活用しては?
習志野市ほどの規模の自治体ならば、かなり工夫して、快適な避難所の整備ができると思います。市民はもっと行政に要望し、災害への備えを充実させることが重要だと考えます。一つのアイデアとして、隣接する船橋市の自衛隊基地を避難所として活用し、コンテナ式住居を用意するとか、移動式の炊事設備で給食を提供する協定を結ぶなど、自治体として工夫できると思います。すでにやっているかも知れませんが…。(近)
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