住みたい習志野

市内の情報を中心に掲載します。伝わりにくい情報も提供して行きます。

Narashino Geography(習志野地理学)の連載開始にあたって(自己紹介)

2020-11-08 02:52:57 | 地理学

高校で地理を教えていた近(こん)さんが、Narashino Geography(ナラシノ ジオグラフィー:習志野地理学)を「住みたい習志野」に不定期連載してくれることになりました。
今回は近さんの自己紹介です。なお、Narashino Geography というタイトルは、National Geographic Society (ナショナル ジオグラフィック ソサエティー:全米地理学協会)へのオマージュ(敬意)をこめて命名したそうです。


Narashino Geography 

生徒に恵まれ、魂をぬかれず、魂を売ることもなく、教職を全うできたことは幸せでした

 はじめまして。ボクは県立高校(佐倉→船橋二和→松戸東/現・松戸国際→佐倉→生浜→千葉商業)で、主に地理を担当していました。読者の中には「近(こん)に教わった」という方もいるかもしれません。1978年4月に教員になり2016年3月まで38年間、生徒に恵まれ、幸せな教職人生を終えることができました。教員として、魂を抜かれず、魂を売ることもなく、教職を全うできたことは幸せでした。

学生の頃、先生に「地理学とは何でしょう?」と聞いたら「30年早い」と言われた。教え子には「空間の認識と場所の理解」と説明

 よく「『地理』って何ですか?」と聞かれます。ボクも聞かれて困る質問ですが、答えにならない答えとして「空間の認識と場所の理解」とよく返していました。

 スキのある答えから、正解のない答えをそれぞれ考えてもらいたいという思いからでした。今でも悪くない答え方だと思っています。学生の頃、大学の先生に「地理学とは何でしょう」と聞いたら「君、そういうことを考えるのは、まだ30年早いよ」と返されました。

 しかし、未熟なりに考えることは重要です。「まだ早い」という答えは、「もっと勉強しろ」「よく考えろ」という励ましだと、今では思っています。

 以来、50年近く「地理業界」に身を置き、地理の特徴については、いくらか話せると思うので、何かのヒントにしていただければ幸いです。

「地理」はリベラルアーツ。「風水(ふうすい)」や日本の「陰陽道(おんみょうどう)」が地理の原点

 「地理」は学問としては古く、ギリシア時代にはリベラルアーツ(人間が自由に生きていくため、束縛から解放されるための素養)として、修辞学(言語)、数学、哲学などと並び、市民の教養でした。

 東アジアでは「風水」、日本では「陰陽道」が地理の原点となります。地理の基本は土地を知り、理解することと、人がどうかかわるかを総合的に考えることにあります。

地理学のような帰納法的手法(バラバラなデータから法則を見つける)が見直されている⇒地理は「古くて新しい学問」

 近代の科学は、対象を細切れにして理解を深めてきましたが、地理はバラバラな地理的事象を全体として理解しようとする科学といえます。近代科学が「演繹(えんえき)的」な手法を基礎とする中で、「帰納法(きのうほう)的」に事象をとらえる科学です。しかし、AI(人工知能)の発達により近年、帰納法的手法が見直されています。知の集積そのものから、意味が生み出されるようになってきたからです。そのような意味で、地理は「古くて新しい学問」へと脱皮中と言えるようです。

(近 正美)

 

(編集部より)
いきなり最初から難しい文章の自己紹介で、面食らった方もいるんじゃないでしょうか?

演繹法と帰納法、昔ならったけど忘れちゃいました。
演繹的、とは三段論法(人間はいつか死ぬ。ソクラテスは人間だ。だからソクラテスはいつか死ぬ)など、法則やルールに物事を当てはめて結論を出すやり方、
帰納法はその逆で、統計学のように、事実を積み上げて法則やルールを導き出すやり方、だそうです。

近さん、「地理」とは「空間の認識と場所の理解」だ、なんて言って生徒さんに理解させた(ケムにまいた?)ようですが、このブログでは、なるべく「サルでもわかる」ようなやさしい言葉でお願いしま〜す(笑)

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 習志野シニアクラブの予定で... | トップ | オスプレイ 放逐すべき 習... »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2020-11-08 11:20:39
地理のことを初めてわかったようです。
地理の勉強って必要なんだろうかと、高校時代は思っていました。
教師がつまらなかった、地理がなんぞやを知らなかった、だけなんですね。
興味がわいてきました。
次回を待っています。
ありがとうございました。
返信する
コメント多謝です。 (こん)
2020-11-08 18:54:33
早速のコメント、ありがとうございます。
稚拙な説明で、本質はもっと深いと思っています。これからも研鑽したいと思います。
励ましに感謝です。
返信する
Unknown (大野(地理教育研究会))
2020-11-14 11:01:30
早速、拝見しました。意欲的なスタートですね。
今後を楽しみにしています。
返信する
Unknown (谷川(地理教育研究会))
2020-11-15 12:27:47
Narashino Geography を、早速、拝見しました。
リベラルアーツの意味が、よく分かりました。私は、無知ですねえ。
編集部のコメントとの掛け合いも楽しいです。
返信する
Unknown (杉浦(教員))
2020-11-17 13:31:30
早速読ましてもらいました。まったく同感です。孫たちの様子を見てると、(親が)外へよく連れ出す上の娘の子どもたちのほうが、コロナ恐怖で外出きらいの下の娘の子どもたちより、地理的・空間的な認識、社会的な興味のありかたが高いようです。ところで、先日日比谷の集会でせっかく会えたのに話もできずに残念でした。唄をうたった豊田勇造は、私たち夫婦は京都時代からよく聞きに行ったブルースの達人です。いつもは夜遅く吉祥寺などのライブハウスに出るのでなかなかいけませんが、あの時間に聞けたのはラッキーでした。またいつか昼食会をしましょう。お元気で。
返信する
Unknown (加藤恵美(元 劇団俳優))
2020-11-17 18:11:40
さっそく読みました。

①を読んで、近先生の考え方の基本が少し分かった気がします。
私も大学時代に多面的な物の見方を習いましたが、その観点を持っていれば、高校生の時に楽しく地学を学べたのではないかと思います。

私が学生の時は、ただ教科書に書かれた事を追い、テストで正解を書くだけのつまらない時間でした。

反面、世界史の先生はミイラが大好きで、楽しい授業でした。
どんな先生に出逢えるかは重要ですね。

これからまた、新しい気持ちで勉強していきます。

私も娘も元気にしています。
のどかは国語の才能がどんどん花開いています。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。