隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1974.行動心理捜査官 楯岡絵麻 サイレント・ヴォイス

2020年05月16日 | 警察小説

 

 

サイレント・ヴォイス
行動心理捜査官 楯岡絵麻
読了日 2020/04/17
著 者 佐藤青南
出版社 宝島社
形 態 文庫
ページ数 358
発行日 2012/11/20
ISBN 978-4-8002-0328-1

 

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年前の2015年9月に読んだ『ブラック・コール』が、このシリーズ作品の第2弾で、本書はその第1弾。
順序が逆になった。「朝は朝星、夜は夜星、昼は梅干し食べながら、アア酸っぱいは成功の基・・・」というのは、昔一世を風靡した落語家・柳亭痴楽師匠の名調子だ。僕の失敗から脈絡のないことを思い出した。
余分な話だが、僕はこの師匠の落語が好きだった。何より七・五調で調子が良くて、中でも好きだったのは痴楽綴り方教室、恋の山手線だった。後者は山手線の駅名をもじって1周するのだが、初めてそれを聞いた時には、笑い転げながらもそのセンスに驚いたものだ。
そんなことを思い出しながら、もう一度あの名調子が聞けないものかと、ユーチューブを検索したら、なんといろいろとあるではないか。綴り方教室や恋の山手線を聞きながら、我慢できずに笑い転げた。
僕は時々このユーチューブに救われている、というか利用している。特に昔の歌のちょっとした歌詞で、タイトルが思い出せない時など、検索した後ユーチューブでその歌唱を聞いたりしている。ユーチューバーたちの多くの登録により、便利にしており、先だってもサントリーの金麦というビールのコマーシャルに、テレビでよく見た檀れい氏の明るい笑顔が見たくて探したら、何種類か出てきて改めて、彼女の陽気な笑顔と場に即した演技を見ることが出来た。

 

 

檀れい氏が出たついでにもう一つ二つ。僕は今言ったように彼女のこのコマーシャルの演技が好きで、地の彼女もこうした気質を持ち合わせているのではないかと思っている。そんなことから以前、彼女が主演した『福家警部補の挨拶』が、2014年1月から3月にかけて、フジテレビ系列で放送されたのを見て、その特徴や良さが全く見られなかったので、がっかりした。
このドラマは同じタイトルの大倉崇裕氏のミステリーを連続ドラマ化したもので、稲垣吾郎氏が共演した。
同じタイトルのドラマはそれよりずっと前の2009年1月に、NHKで永作博美氏の主演によるドラマが放送された。
永作博美氏の演技は原作の良さを現しており、競演の草刈正雄氏をたじたじとさせる程の、達者な演技だった。
そうしたドラマを受けてのCXのドラマ化だと思ったが、こちらのドラマはむしろ共演の稲垣吾郎氏を主演にしたというような感じだったのだ。

 

 

家警部補のコスチュームだけが奇抜なだけで、人物が全く描かれていないという印象だった。ところが檀れい氏の良さが生かされていないミステリードラマは、残念ながらもう一つあった。
それは、森博嗣氏の瀬在丸紅子を主人公とした同じCXの『瀬在丸紅子の事件簿』だ。2015年2月に放送された。
ドラマはそれぞれ名の通った監督や脚本家によるものだろうから、むやみに貶してよいものではないが、とにかく僕は主演の女優さんを全く活かしてない脚本や演出には腹が立つほどだ。
もう古い話だから、このくらいにしておこうか。

シリーズ2としてこの“行動心理捜査官 楯岡絵麻”シリーズが、再びドラマ化されるのは、前作の評価が高かったからだろう。主演の楯岡絵麻にふんした栗山千明氏も、彼女自身にまとった雰囲気が役柄にぴったりと治まって、原作の味わいを現している。

佐藤青南氏の原作は今年3月に発刊された、『ツイン・ソウル』まで8巻が刊行されている。連作短編集の形をとっているが、楯岡絵麻というその名前から、通称“エンマ様”と呼ばれる彼女は、行動心理学を応用した巧みな聞き取りや尋問で、容疑者を自白に追い込む手法は、同僚の刑事でさえ騙されるほどだ。
またまた、全作読んでみたいシリーズが、僕の読書に新たに加わった。

 

 

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