隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0947.四季 冬

2009年01月07日 | ファンタジー
四季 冬
読了日 2009/1/7
著 者 森博嗣
出版社 講談社
形 態 新書
ページ数 240
発行日 2004/3/5
ISBN 4-06-182363-9

 

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シリーズ最終作である。本書のラストシーンは、S&Mシリーズの一部分と重なっており、僕は改めて、この好きなシーンを味わって、離れがたい想いで感傷的になったのだが・・・。天才真賀田四季の稚気を描いたこの場面は、従来の流れからすると、ちょっと浮いているような感じがしないでもないが、僕は好きだ。

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さて、4日をかけてシリーズ4冊を一気に読んできたが、やはり全部を通して読んで、初めて真賀田四季の天才としてのもどかしい想いのようなものが伝わってくるようだ。天才と凡才とは、住む世界(思想の問題で物理的なものではない)が違うということなのだが、それこそ凡才の僕には真の理解には遠く及ばないところだ。判りやすく一言で言えば価値観の違いか?
彼女が「構築知性のゴール」について、質問側の理解の及ばないところに苛立ちを覚えながら幼稚とも思える質問を繰り返すインタビュアーに応える場面に、そうしたことが現れている。この最終作では、そのような大命題に対する哲学的ともいえるような記述もあり、著者がS&Mシリーズで脇役として登場させた真賀田四季を、もう一方の主役として描きたかったのではないかという思いも浮かぶ。

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天才・真賀田四季を取り込もうとするプロジェクトチームが、ネットのメール交換で創りあげた囮を使って、接触を企てる遊園地の場面は、トマス・ハリス氏のハンニバルを思わせて、興味深い。
ところで、このシリーズの中で、想像もしてなかった登場人物の人間関係が明らかにされるところがあって、このあと読むモリ・ミステリはGシリーズの前にVシリーズだということになった???!!

 


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