隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0910.ディール・メーカー

2008年09月24日 | 金融
ディール・メーカー
読了日 2008/9/24
著者 服部真澄
出版社 祥伝社
形態 単行本
ページ数 386
発行日 1998/9/15
ISBN 4-396-63134-0

 

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に読んだ国際社会を舞台とした「龍の契り」が心のどこかに引っ掛かりを残しており、この本を読む気になった。だが、最近は好みの分野の小説でも、長いものやビッグスケールの物語に入るには、ちょっとした覚悟のような気持ちの準備が必要となっている。読み始めるまでにいささか時間が掛かる。

ディール・メーカーとは、銀行・証券会社あるいは企業の間で、行われる金融などの取引を意味するディールと、その業務をリードする人や、仕掛け人をさした造語のようだ。
本書は、アメリカ西海岸を舞台とした企業買収を軸に、それに直接関わる人々(ディール・メーカー)や、その周辺に位置する人間が織り成す、壮大なドラマを描いている。そうした環境から、ここに登場する日本人はただ一人、それも国籍はアメリカという設定だから、大半は舞台設定と同様アメリカ人で占められている。
企業買収といえば、つい最近テレビドラマとなって話題を呼んだ「ハゲタカ」を思い浮かべるが、その原作である真山仁氏の小説は、いつか読もうと思いながらまだ読めずにいる。

 

 

ということはさておいて、舞台も登場人物たちもアメリカ人であることから、翻訳小説を読んでいるような感じだが、読みやすく抵抗なく物語りに入り込める。というより、引きずり込まれる感じだ。こうしたストーリーの醍醐味は、この先どういう展開になるのだろうかという不安と、期待で、ドキドキさせられるところだ。
全てがメイン・パーソナルといっていいほど、さまざまなエピソ-ドの組み合わせで、ストーリーは進むのだが、「ハリス・ブラザース」という、子どもたちに絶大な影響力を持つさまざまなキャラクターを中心に、それらを活かした映画制作から、テーマパークを運営するエンターテインメントのコングロマリットとも言うべく大企業の、副社長であるシェリル・ハサウェイを主人公と呼んでいいだろう。
離婚暦のある彼女は、現在ネットで知り合った日系アメリカ人のKent.S(反健斗・ソリケント)と暮らしている。その彼女が働いている『ハリス・ブラザース』に買収攻勢をかけるのが、IT業界の雄『マジコム』の帝王・ビル・ブロックである。

何年か前似たような状況がわが国でも発生したが、この物語が発表されたのはそれよりずっと前の1998年だ。現存の企業や人物を連想させる場面がいくつも現れて、実話に基づくストーリーかとも思わせるような(一部は事実に基づいて書かれたようだが・・・)迫力に、特に後半は息をも継がせずといった展開となる。

 

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