消える「水晶特急」 | ||
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読 了 日 | 2013/08/13 | |
著 者 | 島田荘司 | |
出 版 社 | 光文社 | |
形 態 | 文庫 | |
ページ数 | 361 | |
発 行 日 | 1991/05/20 | |
I S B N | 4-34-71328-9 |
車の消失事件を扱った作品をネットを検索したら、もう一つ見つかった。
他には見当たらないので、国内で同様の事件を扱った作品はこれでお終いか?急ぐ話ではないから、またおいおい外国の作品なども探してみよう。
この読書記録を付けるようになってから、こうした同じテーマの作品を探したのは、消失は消失でも家屋の消失事件を扱ったものを探したことがあった。ひとつ面白く読めたテーマがあると、傾向の同じものを探して読みたくなる。 たぶん僕に限ったことではないだろうが、その点、今の時代はインターネットという強力な武器があるから、探しやすくなっていて、おまけにネットショップもあるから手に入れやすくもなっている。
いいこと尽くめのようだが、先ごろ世間を賑わせた「なりすまし」によるサイバー犯罪などもあり、用心に越したことはない。
僕は古書だけに限らず、ネット取引(買うだけでなく売るほうも含めて)を10年ほど前から行っているが、まだトラブルに巻き込まれたことがなく、幸運に恵まれている。
新本格の旗手とも言われている著者について、僕はよく知らない。かつて新本格ミステリーなるものに、僕はある種の偏見を抱いていたせいかもしれない。
紹介記事の一つによれば、著者は自身でミステリーを書く以外に。たくさんの新人作家の後押しをしてきたようだ。有望なミステリー作家を世に送り出した反面、実力のない作家を推薦して、批判を浴びたこともあるようだが・・・・。真偽のほどは不明だ。
著者のデビュー作「占星術殺人事件」が各方面の絶賛を浴びたようだが、それも僕は知らずに、たまたま西村京太郎氏の「ミステリー列車が消えた」関連で、本書を探し出しただけだ。僕は時々色眼鏡でものを見るように、ミステリーに対しても偏見で判断することがあり、まあ、思い込みが激しいからそれで、面白い作品をあえて見逃していることもある。
なかなか直らない、いや、もう此の歳になって一生直らないことなのだろう、僕の独断と偏見は。
宮部みゆき氏の超大作を読んだ後は、何を読もうかと思っていたとき、前に読んだ西村氏の「ミステリー列車が消えた」に続いて、阿井渉介氏の「列車消失」を読んだので、同じテーマのものはもう無いかと、ネットを検索したら本書がヒットした。
二、三古書店をみて歩いたが、見当たらずAmazonの古書店から取り寄せた。
僕の抑えがたい欲求は留まるところを知らず、というほど大げさなことでもないか、しかしそのうち(僕のそのうちはいつかわからないが、近いうちに)手持ちの未読本を消化することを真剣に考えよう。
の「ミステリー列車が消えた」、「列車消失」と同様、本書も飛行機やマイカーに押されて、乗客の減少を食い止めるために、旧国鉄がいろいろとイベント企画を考えた中で、誕生したのが「クリスタル・エクスプレス」とネーミングされた展望車だった。
最後尾の展望車は、テラス部分がないものの、四方をガラスに囲まれた、ガラス部分の多いつくりになっていた。1985年4月1日にマスコミにデビューしたクリスタルエクスプレスは、マスコミ関係者、著名人、作家なども招待されて、山形県の酒田までの初走行の旅が始まる。
酒田までというのは、開発にかかわった大物代議士・加灘耕平の出身が酒田だったからだ。だが加灘代議士は脳梗塞で入院したため、列車には娘の晴美が乗っていた。
出発した列車は途中散弾銃を持った男に、乗っ取られたのだ。男の目的は加灘耕平に旧悪を告白させることだった・・・・が、銃を持った男と人質となった客の緊迫した状況の中、列車が消えて連絡が取れなくなると言う事態が発生した。
何が面白いかと言えば、前に読んだ2作の列車消失事件とはまた異なった方法や、トリックにある。 列車が消えてなくなるなどということは、まず考えられないから、どこかにトリックがあるはずなのだ。奇術を見せられるのと同じで、何らかの種があることは最初から分かっているのだが、最後になるほどと思わせる、あるいは「アッ!」と思わせるトリックが明かされるのが、ミステリーの醍醐味なのだ。
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