隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0408.スリーピング・マーダー

2003年07月20日 | 本格
スリーピング・マーダー
SLEEPING MURDER
読了日 2003/7/20
著 者 アガサ・クリスティ
Agatha Christie
訳 者 綾川梓
出版社 早川書房
形 態 文庫
ページ数 348
発行日 1998/11/15
ISBN 4-15-070085-0

 

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ミス・マープルシリーズの長編は、英BBCテレビで、ジョーン・ヒクソン主演で制作されたドラマ12本を先に見ている。若い頃クリスティ女史の作品は全然読まなかった。ドラマの方は、録画したビデオを今でもたまに見返しているが、実に良く出来ており、本書を読んで原作に忠実に作られていることが判った。以前読んだ「復讐の女神(Nemesis)」(51.参照)では多少設定の違いはあるものの、ドラマの質としては一級品だろう。
この「スリーピング・マーダー」は著者が亡くなった年(1976年)に発表された作品だが、書かれたのはそれより30年も前のことだそうだ。この作品の形式は〈回想の殺人〉と呼ばれるそうだが、この形式を著者は、「五匹の子」(アメリカ版はMurder in Retrospect=回想の中の殺人)」で確立したといわれている。
タイトルの示す通り、眠っていた殺人事件を、結婚間もない若妻グエンダが掘り起こしてしまうというストーリーで、僕はドラマ共々「復讐の女神」に並んで好きな作品である。

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新しい家を見つけて引越しをする予定のグエンダが、偶然見つけた家の中で繰り返し既視感に襲われる所がドラマでも良く描かれていた。わが国の作品でもこうした形式の作品があり、昨年6月に読んだ、佐々木俊介氏の「繭の夏」(236.参照)がそうだった。
今回本書を読んで、ようやく本家本元の味わいを堪能した。

 


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