隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1442.女鑑識官

2014年03月02日 | 警察小説
女鑑識官
読 了 日 2014/02/18
著  者 草野唯雄
出 版 社 光文社
形  態 文庫
ページ数 304
発 行 日 1989/09/20
ISBN 4-334-71006-9

 

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日かこのところ老いを感じることが幾つか続いている。下の妹からのメールで急にいすみ市大原のお袋を訪ねることになって、25―26日と一晩泊まりで行ってきた。今年の6月で96歳となる彼女は、だいぶ不自由さを募らせながらも一人暮らしを止めようとはしない。
だから、妹たちが交代で手助けに行くのだが、どちらかが都合のつかないときに、僕が行くことになる。何年かそうしたことが続いている。和裁職人だった父とともに、長い間続けた座ったままでの仕事が、腰の曲がりを増徴させて、歩くのにも不自由さを抱えているから、今ではほとんど一日カウチテレビの状態だ。
おまけに記憶力の衰えは、メガネはずした場所を忘れることは茶飯事で、入れ歯まで何処かに置き忘れるという始末だ。
今回もそんなことで連絡を受けた僕は、朝7時前に家を出て車を走らせる。僕の場合は9時前に先方に着いて、朝食を食べさせようとするから、早く出るようにしているのだ。朝食はご飯に味噌汁とハムエッグといった簡単なものだが、一人でいるときは起きて直ぐに朝食は取らないか、カップ麺などのインスタント食品だから、僕が行ったときくらいは朝食には必ず米飯を食べさせるようにしている。
とまあ、それはそれでいいのだが、朝食の支度をして食べさせた後、ちょっと一休みと腰を下ろした途端、体中の筋肉が不協和音を発するような違和感を覚えた。

 

 

急にだるさ感じた上に全身筋肉痛といった鈍い痛みを感じる。ここ何年もひいたことがなかったが、僕は風邪の前触れとして手足の関節に痛みを感じることがあるので、風邪かと思い体温を測ると37.8度だ。確かに微熱はあるものの他にはこれと言って風邪の症状はない。
しかしこのだるさは?
若しかしたら寝不足か?
思い当たることがないわけでもない。
1―2日前に3日続けて真夜中1時ごろまで本を読んでいたことがあったのだ。僕の読書時間は気の散る昼間を避けて、おもに夕刻6時以降としているから、ストーリーが佳境に入る時刻が9時以降になり、その日のうちに読み終わりたいとなると、どうしても真夜中過ぎになってしまうのだ。
図書館で借りた本が面白くて、3冊を3日で読んでしまったことがあったから、今日はあまり無理はしないで早く寝るとしようと、8時過ぎには布団に入った。
翌朝は起床時刻を少し遅くして7時半頃まで寝た。起きると昨夜よりは少しはいいが、依然としてだるさは残っているようだ。午後3時過ぎに大原を出て、安全運転で5時前に木更津着、その夜も早めに就寝。

二晩早めに寝たのが良かったのか、翌朝はスッキリと直っていた。あれは何だったのだろう?
これが歳をとるということなのか?
もう、あまり無理は利かなくなっているのだろう。替えの効かない身体だから、少しいたわりながら使うことにしよう。

 

 

書記録を残そうなどと思ったのは、アメリカのベストセラー作家・パトリシア・コーンウェル女史の「検屍官」シリーズを読んだことがきっかけだった。これについてはここでも何度となく書いてきたことだ。
転職先の社内教育の一環として業務関連の書物を読み、読後レポートの提出が義務付けられていたこともあって、30歳代前半から好きだったミステリーも読むことがなくなって数十年が過ぎ去った。
そんなサラリーマン晩年のある時、何気なく手に取ったのが「検屍官」だった。いや「何気なく」という言い方は正確ではない。この「検屍官」が講談社文庫として発売された当時の、書店店頭にうずたかく積まれていた光景は、活字離れの状態にあった僕の目にも焼き付けられていたのだ。多分そのときにいつかは読んでみようという気持ちが心の底に生まれていたのだろう。
また、若い頃から僕は60歳を読書を本格的に再開する出発点と考えていた節があった。何にも煩わされることなく、思い切りミステリーを楽しめるのは、60歳以降ではないかと思っていたのだ。そんな60歳を直前に控えていた時期に出会った(読んだ)のが「検屍官」だったのだ。それまで刊行されていたシリーズ8作を一気に読み、僕はすっかりサスペンス・ストーリーに取り付かれてしまって、その余波とも言うべき勢いを駆って、1999年11月の60歳を機にミステリー読書を始めたのである。

 

 

そんなことから、最初の頃は似たようなジャンルの翻訳小説を探しては読んでいた。それに一層の拍車をかけたのが、アメリカのテレビドラマ「犯罪心理捜査官(Profiler)」だった。これについても何処かで書いたか。
年寄りは同じ話を何度もするというが、いよいよ僕もその仲間入りをしたようで、このブログでも繰り返しが多くなったか?

まあ、そんなこんなで僕はこういうタイトルに弱い。この本も1昨年(2012年)の12月に「殺人交響曲」を読んだ後、著者の作品をもっと読んでみたいと思い、Amazonで探してシリーズだと言う本書を買ってみた。27歳の女性鑑識官・志賀洋子を主人公とした連作短編集だ。
鑑識官である志賀洋子27歳が、彼女の鋭く冷静な観察眼は、誤った方向に向かう捜査に一石を投じて、思わぬ事件の真相を探り当て、解決に導くのだ。普通、鑑識係は捜査には口を出さないのだが、まして警察組織の中では通常捜査員以外の介入を阻むのだが、鑑識官の彼女は本職の鑑識としての立場からの見方も踏まえているから、捜査員たちも軽視はできない。
この連作短編集は、下表のように五つの事件が描かれるが、いくら優秀な鑑識官の彼女でも、わかっていながら十分な証拠を見つけられずに、みすみす加害者を取り逃がしてしまうと言う事件もあって、面白い。
科学的な目を持って解決すると言う、ヒット作ガリレオシリーズを思わせるようなエピソードもあり、軽い読み物として読めるが本格推理である。

 

 

末の中島河太郎氏の解説によれば、著者が探偵雑誌「宝石」(岩谷書店刊)に投稿して掲載されたのが昭和36年だと言う。その頃22歳だった僕がまだその「宝石」を定期購読していたかどうかは記憶から薄れている。しかし、その頃今ほどではないものの、簡単な読書記録と言うより、蔵書目録を兼ねたものをつけていたのだ。およそ1,500冊くらいのタイトルを謄写版で刷り上げてファイルしていた。
昭和40年代の初め頃までは確かに手元にあったのだが、いつの間にか散逸してしまったようで、今考えると惜しいことをした。
いわゆるガリ版刷りについては、一時期僕はアルバイトで町内会の回覧とか、会報などをガリを切っていたことがあって、いくらかの小遣い稼ぎをしていたことなど、今になって思い出した。話があっちこっちに飛んで、何を言ってるのかわからなくなった。。

このシリーズはもう1―2冊あるようなのでまた機会を見て探してみよう。

 

収録作(全て書き下ろし)
# タイトル
  プロローグ
第一の事件 返り血
第二の事件 謎のカマイタチ
第三の事件 超完全犯罪
第四の事件 バースデイの夜
第五の事件

 

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