隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1023.夜が終わる時

2009年09月08日 | 警察小説
夜の終わる時
読 了 日 2009/9/8
著    者 結城昌治
出 版 社 双葉社
形    態 文庫
ページ数 260
発 行 日 1995/11/15
ISBN 4-575-65816-2

 

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の作品は1962年に発表され、翌1963年に日本推理作家協会賞を受賞している。大分前の警察小説の傑作で、1979年、1991年と新しいところでは2007年にと、もう3度もテレビドラマになっている。(詳しいデータはwebサイト、テレビドラマ・データベース=http://www.tvdrama-db.com/を参照)
実は僕も1991年のテレビ東京制作のドラマを見ている。長尾啓司氏の脚本、松原信吾氏の監督によるドラマは、永島敏行氏や石橋蓮司氏他、個性的な俳優がキャスティングされて、暗い雰囲気ながら1時間ドラマとしてはよく出来ていたほうだろう。
警察ドラマながら、本格ミステリーの様相を示したドラマだったから、原作を読もうと思いながら、長い年月を経てしまった。(イラストは当時のドラマから)

 

 

警視庁A署では捜査に出たまま午後7時になっても連絡も無く、帰らない徳持刑事を待って、刑事課長以下捜査係の面々は帰れないでいた。
聞き込み先に問い合わせると、徳持刑事は午後2時半ごろにはそこを出たという。外から帰ったばかりの菅井部長刑事は安田刑事を伴って、徳持の聞き込み先であるバーのマダムに話を聞きに行くことにした。
緊迫した署内の刑事たちの描写からストーリーは始まる。

 

徳持刑事が追っていたのは、赤羽という近隣のバーやキャバレーにおつまみの卸をしているヤクザの手下で、関口という恐喝の容疑者だった。関口の恐喝相手は、テレビ俳優の野見山収だった。野見山は急性盲腸炎で入院した小松病院の看護婦・染谷幸江に手を出して、妊娠させた。遊びのつもりだった野見山に捨てられた染谷は服毒自殺をした。
誰も知らないはずの野見山の秘密をかぎつけた関口は4回に亘って野見山を恐喝した。たまりかねた野見山はA署の刑事課長に泣きついた。刑事たちが逮捕に向かったが、どこからか情報が漏れたか関口は姿を消していた。
この事件が発端となって、その後連続して殺人事件が発生する、というストーリーだ。

 

トーリーは2部構成となっており、1部は第三者の目で全体を見渡す視点から、刑事たちの捜査の様子がつぶさに語られていく。変わって2部はある人物の視点で、いわば倒叙形式のような形で語られる。
残念ながら僕は、原作を忠実にトレースしたドラマを見てしまっているので、結末はわかっていたのだが、1部の終盤で一人の刑事が真相に迫っていく過程は、それでもサスペンスに満ちた展開を充分に楽しめた。
2部の結末にかけては、アメリカのクライムストーリーを見るような、これまたスリルを感じさせる成り行きと主人公にとっての思わぬ結末が見事に描写される。

 

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