独白するユニバーサル横メルカトル | ||
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読 了 日 | 2012/04/03 | |
著 者 | 平山夢明 | |
出 版 社 | 光文社 | |
形 態 | 文庫 | |
ページ数 | 318 | |
発 行 日 | 2009/01/20 | |
ISBN | 978-4-314-74526-4 |
の住んでいる木更津市の真舟団地の周辺は、近年道路が整備されるとともに、道路沿いにショッピングセンターができるなど、開発が進んでいる。
30数年前にここに越してきた当時は、まだ周辺に山林が残っており、田舎という感じがしていたが、開発が進み便利さを手に入れる代償に、自然を失っていくのは世の趨勢か?
我が家の庭木に飛来していた小鳥たちも、年々少なくなってきている。住宅事情はわれわれ人間ばかりでなく、自然の中で暮らす鳥や動物たちにとっても厳しい環境となっているようだ。
ショッピングセンターの話をしようと思っていたのに、話がそれてしまった。近くにスーパレット*1を核としたショッピングセンター・イオンタウン(開業当初はロック・タウンといっていた)ができて3年ほどになる。
イオングループが展開しているマックスバリュというスーパレットを核*2としたオープンモール*3で、テナントの一つに家電量販店のヤマダデンキがある。
斜面を利用して坂の下からは専用地下駐車場に直接入るようになっており、坂上の道路に面したSCの共同駐車場からは1階店舗に入れる。店舗は2階建てで、電器ばかりでなく、書店、日用品、化粧品売り場などを併設しており、そこだけでも小さなショッピングセンターを呈しているから、テナントというより第二の核店といえるかもしれない。僕は時折、この店を訪れる。
金を持たない僕だからもちろん大きな買い物のためではない。ただ見にゆくだけだ。でもたまに、便利だから見に行ったついでに雑誌や文庫を買ったりもする。本書もそうして買った本だが、なぜこの本を買ったかについてはよく覚えていない。パソコン雑誌を買ったついでに、文庫を見ているうちについ手を出してしまったのだ。
書を買うまでの話にずいぶんと長い前置きが付いた。
なぜかと言えば、あまりこの本については話すことがないのだ。日本推理作家協会賞の受賞作である表題作を含む短編集で、全8編がおさめられていて、一応全編読むことは読んだ。が、全くの話どうしても好きにはなれないストーリー群だった。こういうのを無駄遣いというのだ。
もともとホラー小説にはあまり関心がなかったから、よほど好きな作家が書いたもの以外には手を出さなかったのだが、何の気なしに買った本でちょっとした後味の悪さを感じてしまった。しかし、こういう話を好きな人もいるのだろうな。何となれば、本書は「このミステリーがすごい!」2007年版で第1位となっているのだ。
唯一この中で、わずかながら興味深く読んだのは表題作だった。
タクシー運転手だった男が愛用していた地図帳が物語の語り手というストーリーで、この地図がユニバーサル横メルカトル法という形式で描かれた地図であり、すなわち“独白するユニバーサル横メルカトル”というわけだ。
まあ、このストーリーも結局は後半とんでもない話になってゆくのだが、その辺がホラーたるゆえんなのだろう。僕にとっては強烈ともいえる各編の描写が、しばらくは後を引いて、何かのきっけけで気持ちの悪さを蘇らせることになるかもしれない。そして、もう一度読み返したりして・・・・。そんなこたあねえか!
*1:小型のスーパーマーケット。
*2:核店=その店だけで大半の集客力を示す店舗。
*3:SC-ショッピングセンターの一つの形で、各店舗を屋外を歩いて移動する。それに対して、テナントが一つ屋根の下にあるのをクローズドモールと呼ぶ。
# | タイトル |
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1 | C10H14N2(ニコチン)と少年―乞食と老婆 |
2 | 無垢の祈り |
3 | オペラントの肖像 |
4 | 卵男(エッグマン) |
5 | すまじき熱帯 |
6 | 独白するユニバーサル横メルカトル |
7 | 怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男 |
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