アポロンの嘲笑 | ||
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読了日 | 2014/11/15 |
著 者 | 中山七里 | |
出版社 | 集英社 | |
形 態 | 単行本 | |
ページ数 | 3341 | |
発行日 | 2014/09/10 | |
ISBN | 978-4-08-771575-0 |
昨日11月15日に僕が監事を務める社会福祉法人・薄光会の理事会が招集された。議題 の中に2年に1回行われる役員改選があり、僕の監事としての務めが終わった。
他にも副理事長のK氏や、理事のO氏も同様に退任され、新たに2名の施設長が理事に就任した。今期は期首4月を前に2名の施設長がその職から離れて、新たに3名の施設長が任命されるなど、組織の構成が刷新されたこともあり、いよいよ法人としての改革の年だという思いを起こさせる。
平成16年から10年以上にわたって務めた監事職ではあるが、何年か前から僕は自分の職務の中で、思いがなかなか届かないということを感じており、職を辞したいと思っていた。そんなことから今回その職を離れることに関しては、何の感慨もわいてこなかった。
7名の理事の中で紅一点の金箱さん(この方は他にも保護者会の役員や、NPOの理事を務めるなど、八面六臂の活躍をしている才媛である)からは、僕の引退を惜しむ言葉をいただいたが、これはあくまで社交辞令として受け取っておいた方がいいだろう。
僕だって惜しまれるほどのことをしていたと、自惚れるほどのことはないのだから。しかし、いつも思うのだが彼女のような人がいる限り、法人が変な方向へと向かうことはないだろうと。貴重な人材だ。

中山七里氏の旺盛な執筆ぶりには驚くばかりだ。僕は何度かテレビ番組に出演した際の氏の話から、彼のことを良い意味で職人作家、あるいは匠だという認識を持っている。
オファーのある出版社の編集者からの注文に応えて、作品を提供するところに物作りの職人、またはレストランのシェフを思い起こさせる。この作家の作品は全作読んでみよう、と思わせるゆえんだ。
この本は昨年9月の発行だから、僕にすればまだ新刊と言っていいが、つい先ごろヤフオクに出品されていたのを見て、手ごろな価格だったので同じ出品者のもう1冊「テミスの剣」と一緒に落札した。
実はこの本の前に10冊ほど読み終わっている本があるのだが、急遽読み終わったばかりの本書の方について書くことにしたのは、読み終わった本がたまると、前の方の本のことを忘れてしまうから、なかな か記事をアップできないのだ
いつもお茶を濁すようなことばかり書いていると、何のための読書記録かわからなくなる。しかし、元来ブログなんて個人の日記だから、何を書こうとかまわないようなものだと、自分に言い訳をしたりして。
長く続けることが何か力になることを期待しているわけでもない。唯々言ってしまえば自己満足に過ぎないのかもしれない。それでも、もう少し先になって、過去ログを見ながら、「馬鹿なことを書いてい るな、アハハ」ということでもいいじゃないか。
そんなことを思いながら書いている。

書の内容は過去の多くの作品にみられる、終盤の二転三転するどんでん返しではなく、切ない結末になっている。題材は多くの犠牲を伴った東日本大震災にとっている。阪神淡路大震災に直面 して、福島に転居してきた家族のもとに、またもや襲い掛かった原発事故の恐怖と匹敵するような事故が襲い掛かる。
一家の長男・純一は、妹のかつての恋人だった男を、殺害して収監されていたが、仮釈放で戻ってきた 。原発関連の会社に勤める父親のコネで、どうにか孫請けのそのまた下の作業員になった。仕事の上で親しい間柄になった加瀬邦彦は、奇しくも阪神淡路大震災で奇跡的に助かった少年だった。純一の誘いに乗って彼の家庭を訪れるようになったある時、邦彦が純一を口論の末に殺害するという事件が起こった。
パトカーに乗せられ警察に連行される途中で、辛くも脱出した邦彦が向かった先は厳しく立ち入りが制限された福島第一原発だった。何のために危険な個所に向かうのか?
厳寒の中怪我をおしてまで進む邦彦の命がけの道中と、彼を追う一人の刑事。大昔の米テレビドラマ「逃亡者」を思い起こす。
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