杉の子のひとりごと

私の交友録などを中心に,思いを綴っていきます。

情町

2012年08月17日 | 日記
すれ違う町行く人の後姿、
黒髪が肩まで下がって揺れていた、
何処かで逢った様な郷愁を覚える。

俯き加減の悲しい眼、行き交う
嬉々とはしゃぐお下げ髪、
十人十色の夕景色、セピア色の空は
男の胸を震わせて闇に消えた。

あれは、あの日は、あの時は・・・
境内は、お盆の帰省客を飲み込んで
溢れていた。

八幡様の8月15日、
浴衣を着て、友と笑って歩いていた。

懐かしい故郷の夏は、
そぞろ歩きの大人と恋に恋した若者
たちで賑わっていた。

いちども肩車してやれなかった !
金魚すくいもさせてやれなかった、
キャッチボ-ルとて同じだった ?

青春の代償が大きくて、
人並みな幸せを遠ざけていた。

悔いの残る故郷は、
男の後悔を、闇に抱いて過ぎ去った。

悲しげに眉をひそめる人が居て、
涙を流す人が居た。
もう一度繰り返すことが出来るなら ?
八幡様の境内を並んで歩きたい !

綿菓子を頬張りながら、手をつなぎ
揃いの浴衣で歩いて見たい。

どんな世界で、どんな色合いで。
膝を合わせていたのだろう ?

九州は別府航路のフェリ-が、
想いを残して岸壁を離れた、
「サヨウナラ!」 淋しい別れだった。

その人の消息が途絶えた。

青春とは、かくも切なきものかな、
帰らぬ後悔に苛まれる別れ歌、

泡立つ波間に花束が浮んで揺れた。

故郷は涙で霞んだ港町、
潮の香と てやてやが響いた情け町。 ・・・。。。

                           合掌



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