車は北へ

正月休みを兼ねて久しぶりに映画を観に行こうと思っていたが、
ある人から電話が入った事で、映画鑑賞は後日に延期する事に
した。

「最後の忠臣蔵」封切り前から観たい、観たいと思っていた映画
である。
どういうものか、歳を取るほどに時代劇が面白くなって来る ？

店を経営していた若い頃に、私淑したご老公がテレビの時代劇の
時間が迫ると「観なければいかん・・・？」 と言ってあたふたと
帰って行ったが、その時は (何故に、そんなに面白いのか ？) と
不思議でならなかったが、自分がその身になると、為るほどと
合点がいくのが可笑しい。

映画を作る現場を見たことが無いので詳しくは分らないが、
子供時代の学芸会における準備等で、子供たちが一心不乱に
協力して仕上げていく過程を思い出すと、ひとつの事をみんなで、
コツコツ作り上げる職人さんの集まりとはこんなものかと納得する。

何の道に依らず、一心不乱、物事に没頭する場所と時間のある人は、
幸せなのだろうと羨ましい。

昔のように他に先んじて出世したいと思った時代は、もう遠い過去
のものに成って、安穏な社会観が蔓延した時代に我々は居るのかも
知れない。

毎日が惰性で、昔の根性主義は、とうに廃れたと云うべきなのかも
知れない。
反面、私が思うのは、だからこそ 「なにくそ！」 と頑張る者には
やりがいのある時代なのかも知れませんよ ？

隙間産業！ 闘魂魂！人のやらない道に明日の夢が隠されて居るのかも
知れません。
独創性 ！ ベンチャ－企業 ！
しかし、日本は残念な事に出る杭は打たれる、の例えの通り・・・
ホリエモンさんに見られたように ？

エスタブリッシュメント群が、押さえに掛かる ！
あの幕末の徳川幕府どころじゃない、締め付けで ？
勇躍 ！ 飛ばんとする者を、いろんな口実を設けて潰しに掛かる ！
そこで、マスコミが冷静な判断で評価すれば良いものを ？
捜査機関の情報操作に踊らされて弱き者を共に潰してしまう。

法律は大事で必要であるが、運用を誤ると国力を損なわせる。
今日の大阪地検特捜部の驕りに見る運用の危険性である。

マスコミ界に身を置く方々には、他山の石として直視して貰いたい。

映画鑑賞を諦めて、ハンドルを握る私の車は一路北へ向かった。
一世を風靡した、来島グル－プを率いた故坪内寿夫社長が手塩に
懸けた奥道後温泉を右手に見ながら、更に車は大規模開発の団地
を抜けて、登り下りを繰り返しながら更に北に向かった。

ある出会いのため、心躍らせて走っていたのである。
私が、敬愛する山の親父さんの孫と会うために急いでいた。
それまでに、さまざまな想像を交えて脳裏に描いた男が、
少し後に、私の前へ姿を現すことになるのである。

私は期待感を膨らませながら急いだ ！？

人間は、心が沈んでいると視線は上にあげないで俯いてしまう。
反対に心が躍っていると自然に視線は上に向いて青空を追う。

みなさんも、モノはためしに私の話を思い出してください。
空を見上げるついでに、深呼吸すると心がなごんで来ますよ。

車は約束の時間ぎりぎりに、広い土地に建つ大きな屋敷に到着
した。
家人が出る前に、ダックスフンドの愛犬ＮＮちゃんが元気な声で
出迎えてくれた。

空の青さを象徴するように、期待に胸膨らませた至福の時間が
そこに待っていた ・・・。。。

　　　　　　　　　　　　　 合掌