「構造改革特区」。
地方公共団体や民間事業者等が自発的に立案することで地域の特性に応じた規制の特例を導入する特定の区域(特区)を設け、自己の意志に基づく構造改革を進め、地域経済の活性化を図る趣旨で開始され、全国から様々な構造改革特区の提案がなされている。
もちろん、交通関係も例外ではなく、様々な構造改革特区が申請されている。
路面電車に関しては平成15年の第3次提案でこんな提案がなされていた。
「ひと・環境にやさしい路面電車特区」。
提案者は岐阜市。岐阜の路面電車を対象に規制の特例を求めるものである。
詳細はこちらを見て頂くとして、特例を求める規制は次の5項目からなっている。
1 路面電車の運行車両長の緩和
→路面電車の運行車両の全長30m以内を緩和する。具体的には岐阜市内線の車両数を2両から3両に増やす。
2 路面電車運行の最高及び平均速度の緩和
→路面電車の運行最高速度を40km以下から道路の最高速度の50km以下に緩和し、専用軌道化された区間については、鉄道並の速度に緩和する。具体的には岐阜市内線及び美濃町線の最高速度を50kmに上げ、所要時間の短縮を図る。
3 路面電車の無改札乗車方式の導入と無賃乗車の罰則規定の強化
→チケットキャンセラー(方式)の導入と無賃乗車時の罰則規定を強化する。具体的には車両の連結数の増加と併せ、チケットキャンセラーを導入する。無賃乗車時の罰則規定をチケットキャンセラー方式の導入に合わせ強化する。
4 軌道法の緩和による上下分離方式の導入
→軌道事業の運営と軌道や駅などの施設建設を分離し、軌道事業者の負担軽減を図る。具体的には上下分離の導入で運行事業者の運賃収入でまかなうべきコストを最小限に抑え、運行経費の軽減を図り、経営への参入障壁を低くする。
5 路面電車の車両検査規定の緩和
→車両検査規定の緩和により、経費削減、保有車両の削減を図る。具体的には鉄道車両並の検査規定に緩和することで経費の削減、予備車両の有効活用を可能とする。
で、この提案がどうなったかというと・・・?
結論から言うと、全て不認定に終わっている。
不認定の理由として、1、2及び4は「現行法規の枠内で対応可」、3は「事実誤認」、5は「特区として対応不可」というものであった。
「事実誤認」の理由としては、「無改札乗車方式自体は、現行の規定では軌道経営者に対して検札しなければならない義務を課してはいないことから、現行の規定により対応可能」というものであった。
また、「特区として対応不可」の理由としては、「車両の検査周期の延伸については、安全性等の確認が必要なため、平成18年度までの予定で試験車両により延伸試験を実施しているところであり、この試験により検査周期を延伸しても問題ないことが確認されれば、所要の見直しを行う予定。安全性等の確認については、特定の地域に偏ることなく、かつ、複数車両を用いて検証をすることが必要である。
なお、岐阜市内において現在運行している軌道事業者(名鉄)についても、延伸試験に参加しているところである」というものであった。
そこで疑問に思うのは、申請者が名古屋鉄道ではなく「岐阜市」であったことである。
この種の提案というのは事業者が行うものと考えるのが自然だと思うが、今回の申請はそうではない。
考えるに、名鉄の撤退表明を受けて、経営継承した場合の受け皿となる経営主体の検討を岐阜市も行っていたのではないか。そこで出た問題点を「構造改革特区」で解消しようとしたのではないかという気がする。
一応岐阜市も路面電車の存続に向けて、こんな事を提案していたという事実は記憶されてもいいと思う。
もし、これらが実現していたら事態はどう動いていったのだろうか。
今となっては想像の世界に思いを馳せるしかないのだが・・・。
地方公共団体や民間事業者等が自発的に立案することで地域の特性に応じた規制の特例を導入する特定の区域(特区)を設け、自己の意志に基づく構造改革を進め、地域経済の活性化を図る趣旨で開始され、全国から様々な構造改革特区の提案がなされている。
もちろん、交通関係も例外ではなく、様々な構造改革特区が申請されている。
路面電車に関しては平成15年の第3次提案でこんな提案がなされていた。
「ひと・環境にやさしい路面電車特区」。
提案者は岐阜市。岐阜の路面電車を対象に規制の特例を求めるものである。
詳細はこちらを見て頂くとして、特例を求める規制は次の5項目からなっている。
1 路面電車の運行車両長の緩和
→路面電車の運行車両の全長30m以内を緩和する。具体的には岐阜市内線の車両数を2両から3両に増やす。
2 路面電車運行の最高及び平均速度の緩和
→路面電車の運行最高速度を40km以下から道路の最高速度の50km以下に緩和し、専用軌道化された区間については、鉄道並の速度に緩和する。具体的には岐阜市内線及び美濃町線の最高速度を50kmに上げ、所要時間の短縮を図る。
3 路面電車の無改札乗車方式の導入と無賃乗車の罰則規定の強化
→チケットキャンセラー(方式)の導入と無賃乗車時の罰則規定を強化する。具体的には車両の連結数の増加と併せ、チケットキャンセラーを導入する。無賃乗車時の罰則規定をチケットキャンセラー方式の導入に合わせ強化する。
4 軌道法の緩和による上下分離方式の導入
→軌道事業の運営と軌道や駅などの施設建設を分離し、軌道事業者の負担軽減を図る。具体的には上下分離の導入で運行事業者の運賃収入でまかなうべきコストを最小限に抑え、運行経費の軽減を図り、経営への参入障壁を低くする。
5 路面電車の車両検査規定の緩和
→車両検査規定の緩和により、経費削減、保有車両の削減を図る。具体的には鉄道車両並の検査規定に緩和することで経費の削減、予備車両の有効活用を可能とする。
で、この提案がどうなったかというと・・・?
結論から言うと、全て不認定に終わっている。
不認定の理由として、1、2及び4は「現行法規の枠内で対応可」、3は「事実誤認」、5は「特区として対応不可」というものであった。
「事実誤認」の理由としては、「無改札乗車方式自体は、現行の規定では軌道経営者に対して検札しなければならない義務を課してはいないことから、現行の規定により対応可能」というものであった。
また、「特区として対応不可」の理由としては、「車両の検査周期の延伸については、安全性等の確認が必要なため、平成18年度までの予定で試験車両により延伸試験を実施しているところであり、この試験により検査周期を延伸しても問題ないことが確認されれば、所要の見直しを行う予定。安全性等の確認については、特定の地域に偏ることなく、かつ、複数車両を用いて検証をすることが必要である。
なお、岐阜市内において現在運行している軌道事業者(名鉄)についても、延伸試験に参加しているところである」というものであった。
そこで疑問に思うのは、申請者が名古屋鉄道ではなく「岐阜市」であったことである。
この種の提案というのは事業者が行うものと考えるのが自然だと思うが、今回の申請はそうではない。
考えるに、名鉄の撤退表明を受けて、経営継承した場合の受け皿となる経営主体の検討を岐阜市も行っていたのではないか。そこで出た問題点を「構造改革特区」で解消しようとしたのではないかという気がする。
一応岐阜市も路面電車の存続に向けて、こんな事を提案していたという事実は記憶されてもいいと思う。
もし、これらが実現していたら事態はどう動いていったのだろうか。
今となっては想像の世界に思いを馳せるしかないのだが・・・。