Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

岐阜で「公共交通の街」は実現するのか?

2004-11-06 23:44:42 | 鉄道(岐阜の路面電車と周辺情報)
名鉄が来年三月末で岐阜市内線など三線から撤退する問題で、フランスのコネックス社(以下「コ社」が事業進出に名乗りを上げ、事業計画を岐阜市へ提出しようとしている。
その件について、今日の岐阜新聞に代理人のインタビューが掲載されていた。
http://www.jic-gifu.or.jp/np/

詳細は上のインタビューを見ていただくとして、最初に思ったのは、コ社が鉄道だけではなく、鉄道、バス、タクシー等の公共交通全般をとらえ、それぞれが連携する公共交通体系を提案しようとしているのではないかという印象を受けた。それは「公共交通を活用したまちづくりを提案したい」という発言からもうかがえる。

鉄道は鉄道、バスはバス、運賃の割引もなくてんでばらばらに動いている感がある日本の公共交通体系に一石を投じる提案であって欲しいと思う。

しかし。
気になるのは「二十年単位の事業を考えており、何年後かに黒字に転換できれば成功。そのための事業案を考えている。赤字だからといって数年で撤退はしない」という発言と、インタビュアーの「行政に資金負担を求めることはあるか」という質問に対して「もうけがゼロのままやることはない。土地やレールなどはコ社が費用負担し、運行に必要な社員も雇うが、最終的には行政に運行補助を求めることもある」という答えの整合性ではないかと思う。

「赤字だからといって数年で撤退しない」というのは結構。投下資本を考えれば数年で結果を出すのは難しい。それ故に長期的な視野で参入するのだから。
しかし、「最終的に行政に運行補助を求めることもある」という発言が現時点で出ているところから見て、コ社は単独での黒字達成はかなり難しいと考え、参入に当たっては行政のある程度の補助を見込んでいるのではないだろうか。

そこで思い出して欲しい。
岐阜市が路面電車の運営に対して財政的な補助ができないとして、存続を断念した事実を。
事業主体が新規参入であろうと補助が難しい事実に変わりはないのではないか。

つまり、仮に参入できたとしても、岐阜の公共交通の行く末は全く楽観はできないし、それ以前に行政の財政的な協力は得られずに参入を断念する可能性は高いのではないか。それがこの記事を読んだ個人的な感想である。

コ社の参入理念は立派だと思うが、それを受け止める行政側に理解する能力があるか否か、甚だ疑問だ。
そもそも公共交通機関(鉄道・バス)が衰退していく中にあって、赤字の事業体に行政が補助を行うことでどうにか息をついている事例を見ているにもかかわらず、「金が出せない」と言い放つ岐阜市に「公共交通」を論じる資格があるかどうか・・・。

それは先月開催された「第1回岐阜市市民交通会議」の議事録を読んで強く思った。
今頃になって公共交通政策を論じているようでは、と思う。

議事録では「市長の考えで設立した」と言っているが、明らかに時期を失している。
「この会議は市長の思い入れが深い」とあるが、端から見るとにっちもさっちもいかなくなって「市民」に丸投げし、「見せかけだけの市民参加」という形をとろうとしているようにしか見えない。
何もかも遅い。
これを「泥縄」と言わずして何という。
http://www.city.gifu.gifu.jp/koutsuu/taikei/skkaigi/gizi-1.html

それからもう一つ。
岐阜三線廃止後の代替バスの話がやっと表に出てきた。名鉄と地元自治体の調整は全く進んでいない。こちらの方もまだ紆余曲折がありそうだ。
「名鉄の3線廃止 名鉄、沿線市町の要望突っぱねる--代替にかかわらず」毎日新聞
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/gifu/news/20041106ddlk21010067000c.html



最新の画像もっと見る