Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

雨の中、路面電車にサヨナラ。(前編)

2005-03-29 07:29:00 | 鉄道(岐阜の路面電車と周辺情報)
昨日、岐阜の路面電車に乗ってきた。
多分、これが最後の乗車になる。

朝、目が覚めると雨が降っていた。
それでも電車に乗って名鉄岐阜を目指す。
名鉄岐阜には朝の6時過ぎに到着した。
1月のダイヤ改正以前にはこんな時間帯に到着することは望むべくもなかった。
始発列車の時間が早くなったのは本当に有り難い。

早速、「岐阜600V線区1DAYフリーきっぷ」を窓口で購入し、まずは美濃町線と、6:24発の新関行に乗る。今日は元札幌市電の870形が充当されていた。
朝早くから動いていることもあって、ついウトウトしてしまう。
競輪場前を過ぎ、鉄道線区間に入ると走りが一変する。
とにかく揺れる。上下に揺れる。釣り掛けモーターの音も高らかに走る。
そんな乗り心地を堪能して、最初の目的地である下芥見には6:55に到着。

雨は止む気配を見せない。おまけに暗い。自分なりに満足のいく写真を撮るには厳しい環境である。
それでも朝早くから自分を含めて4人程度のファンがいた。
ここで電車を降りたのには理由がある。
7:11に到着する白金行と7:41に到着する下芥見行を撮ろうと思う。
いずれも平日の朝、それも一本しか走らないというレアな運用である。
一度見ておきたかったが、これまでは前述した始発時間の遅さが災いして叶わず、1月改正での始発列車の繰り上げでようやく実現した。

雨降る中、電車を待つ。
やってきた白金行は590形。

続いて到着した下芥見行は606が使用されていた。

606はここで徹明町行として折り返す。ブック式の行先表示に「下芥見」があることは知っていたが、まさか見ることになるとは思わなかった。

目的は達したので、7:58発の関行に乗る。通勤・通学ラッシュとは逆方向ということもあってか、車内は空いていた。外を見ると、平日、しかも雨ということもあってか、カメラを構える人は少ないように思えた。
関には8:28着。関~新関間の急カーブを行く電車を撮ろうと思う。
雨は止む気配を見せない。
県道を横断する踏切周辺でカメラを構えてじっと待つ。
県道の方を見て、かつて県道の真ん中を線路が美濃へ向けて続いていたことを思い出す。
もうその面影はどこにもない。

そして、県道を横断する線路も僅か6年という寿命で幕を下ろす。


急カーブを行く電車を2本撮影して、新関駅へ歩いて戻る。
駅の入り口には「廃止」を告げる看板が立てられていた。
逆に、廃止を物語るのはその立て看板だけ。
「ありがとう」とか「さようなら」といった看板や貼り紙は見られない。
これまでの廃止路線と違って、随分と素っ気ないものではある。

新関9:31発名鉄岐阜行に乗る。880形が使用されていた。
ラッシュもとうに過ぎた後ということもあって、楽に座ることができた。
岐阜で乗るのは今回が最後になるが、この電車、福井鉄道への譲渡が決まっている。
外を見ると、雨足は強くなっている。写真撮影も覚束なくなってきた。
ということで、元々今日は写真よりも乗ることに重点を置くことにしていたが、胸中暖めていた計画を実行に移すことにした。

その計画は、「新関発徹明町経由黒野行」。
このルートで黒野まで行ってみようと思う。
これまで600V区間には数え切れないほど乗ってきたが、このルートで行ったことがない。
実用上何ら意味を持たないルートではあるが、一度乗ってみたい。
それに、このルートでの所要時間はどのくらいか試してみたい気持もある。

名鉄岐阜行の電車は実に静かなものだった。
車内放送の音声だけが響く。
こんなに静かだったっけと思わずにはいられない。
野一色に10:05着。ここで徹明町行に乗り換える。
徹明町始終着の電車にはあまり人が乗っていないというイメージがあったが、用務客が意外と多かった。
今度は釣り掛けモーターの唸る音が車内に響く。
実に路面電車だなぁと感じる一時である。

徹明町には10:23着。
ここで岐阜市内線・揖斐線直通電車に乗り換える。
ただ、電停は交差点の向こう側にあるため、横断歩道を渡らなければならない。
急いで歩道へ移動する。
と、その前に黒野行の普通電車が姿を現した。
果たして、乗り換えることはできるのだろうか。

続く。

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