ついにここに来て、字数制限に抵触してしまった。
まさか字数が上限の10,000字を突破するとは思わなかった。
そして、1回の定例会で路面電車に関する議論がこれほど取りあげられたこともなかった。
そこで、前回纏めきれなかった第5回定例会の後半及び所感を書いてみる。
後半でも社会交通実験の意義及び問題点について触れている。
<質問4>
路面電車の実験についてお尋ねしたい。
名鉄の姿勢は、岐阜市内の3線について撤退に向けて自治体と協議するという姿勢を明らかにした。これに対してどのように対応するか。経営状況について名鉄の幹部は、名鉄の高架の期成同盟会の折に美濃町線や揖斐線などは赤字だけれども、名古屋本線のおかげでどうにか経営は成り立っていると明言をしている。そればかりか美濃町線、揖斐線の状況について、これは出されている資料を見ましても決していい状況ではない。けれども、新岐阜駅で美濃町線や揖斐線の定期券を購入すると、これは名古屋本線の収益にカウントされると言っている。岐阜市の職員もこのことについては関心を持っていて、名鉄に対して、揖斐線や美濃町線を大変だということを強調するための作為があるんではないかと尋ねられているようであるが、名鉄の言い分は、そんなことはやってないと言っているが、果たしてこの言葉を額面どおり受け取っていいものかどうか。
愛知万博に向けてということで、先ほど申し上げたような岐阜公園内のもとの天理教街区に観光バスの駐車場を用意したり、鵜飼テラスでビアガーデンを開設したりしているが、愛知万博による誘客がこの岐阜市にどのように、どれだけあると見込んでいるのか。その中で名鉄電車が果たす役割はないと言い切れるのか。そうした課題も考慮に入れて、遅ればせながらだが、行政、市民が一体となって電車を守っていく、そういう立場を明確にして、名鉄に対しても今ここは一番、社会的な責任を果たしていただきたい、毅然とした態度での道理を尽くした協議に臨んでいただきたい。
そこで、岐阜市として公文書で存続を求めていただきたい。市長が何かの折にコメントするという程度ではなく、公文書での存続要求、それでも撤退となった場合には、撤退に同意しない、この態度を貫いていただきたいと思うが、市長はどう考えているか。
5月に発表のあった社会実験の概要のうち、行われるのは結局のところ一言で言って、車の抑制と規制である。市街地の中に車で入ってくるとこれは大変だ、走りづらいという環境づくり、それはわからなくもない。しかし、この実験に伴う道路事情への影響や経済的影響を心配する声もある。社会実験に関する資料でも、(抑制と規制の対象となった)道路がどうなるのか、どんな影響があるのかを試すために実験するということだが、実験をやらねば道路事情への影響などが果たして本当にわからないのか、疑問である。
同時に、それでも社会実験をやるという場合、道路事情への影響、渋滞問題など、あるいは中心市街地へのお客さんの入りの心配、これにどのように応えていくのか、あいまいなように思う。
走りづらくなったドライバーが果たして電車やバスに乗るという誘導策が十分なのか。当初予定されていた社会実験で幾つか説明がされているが、5月の資料では軌道敷内の通行不可能実験と、電停の安全島と、まあそれからバスレーンと、まちなか歩きと、レンタサイクルと、パーク・アンド・ライドをやる。しかし、実際の当初説明された時点では、もっといろいろ言っている。例えば、車でまちの中へ入っていった時に不便だなという思いをした人たちが電車に乗るように企画切符を出そう、路面電車運行の本数を増やそう、100円のコインの運行をしよう。自動車から公共交通への通勤方法の変更とか、要は、車が乗りづらいな、同時に、電車に乗ったら便利だ、ありがたい、値打ちがある、こういうものが同時に進まなければ、これは本当の意味での、いわゆる総合と名のつけた社会実験には値しないと考えている。
当初の予定していた総合的な事業展開がなぜできないでいるのか。そこのところが整わないだけで、そこのところが整っていないにもかかわらず、車だけを排除するというようなやり方というのはバランスが悪いんじゃないか。どう考えているか、市長に答えていただきたい。
<市長答弁>
名鉄に対する対応については、少子・高齢社会の進展、大気汚染など環境意識の高まりなど、社会状況の変化に対応するため、これまでの車中心の交通体系を見直し、今後は歩行者や自転車が安全に通行でき、また、路面電車、バスなどの公共交通が使いやすく、それに車を加えたそれぞれの交通手段が適切に組み合わされた交通体系に転換する必要があるのではないかと考えている。
このような交通政策の転換をすることにより、自動車を運転することができなくなる高齢者も、路面電車、バスなどの公共交通によって移動手段が確保され、また、歩行者や自転車がまちなかで主役になることにより、市民の健康が保たれ、また、商店街がにぎわうなど、人と環境に優しく活力のある21世紀の岐阜市のまちづくりを支えていくことになると考えている。
路面電車は郊外から通勤、通学の主要な公共交通として利用されている。今後、増加する高齢者がまちなかの短い距離を移動する交通機関としても有効に活用していくことが必要ではないかと考えている。10月中旬から実施の予定であるバスや路面電車、歩きや自転車に関するいわゆる総合型交通社会実験は、このような新しい交通政策を目指す中で、交通政策の効果あるいはそれに伴う影響を把握するものである。
名鉄電車、路面電車の存続に向けては市民を含めた約10万人に及ぶ署名も頂き、大変重く受けとめている。現在、沿線市町が一体となり「乗って残そう運動」も展開しているが、市民利用者の皆様方が路面電車に対して、自分たちの路面電車であるという意識を高めて頂き、さらに利用して頂くことが必要である。
名古屋鉄道に対しては地域の公共交通を担う交通事業者として、その責務を全うしていただくよう存続に向けて強く要望をしたいと思っている。
路面電車の軌道敷内通行不可あるいはバスレーン実験等に伴って、幹線道路などにおいて交通渋滞あるいは交通混雑の発生が予想される。このような交通状況を軽減するため、また、あわせて自動車利用から公共交通利用に転換していただくという観点から、社会実験に対する市民の理解、あるいは公共交通利用促進を図るとともに、徹底した広報活動、キャンペーンなどを行うことが必要であると認識をしている。
交通社会実験では施策の効果と一般交通に与える影響を把握するとともに、市民の皆様方から社会実験の体験に基づく意見を幅広く集め、そのような意見も反映しつつ市民と協働して持続的な交通政策の実施に結びつけていくことが必要であると考えている。
公共交通利用促進のメニューとして、バスレーンの実験に伴い、民間駐車場を利用したパーク・アンド・ライドあるいはサイクル・アンド・ライドなどの実験を予定しており、現在、市民のモニターを募集しているところである。路面電車の沿線市町とも連携を図りながら、バスや路面電車のパーク・アンド・ライド実験を今回の実験に盛り込めないか検討をしている。路面電車のワンコイン実験は、もともと入っていたのではないかという指摘であるが、関係者との協議が調わず実験メニューから外すこととした。
交通社会実験に伴う交通渋滞などの軽減、公共交通利用促進が必要であると考えているので、社会実験に対する市民の皆様方の御理解を深め、御協力をいただくことが重要であると考えている。このため広報ぎふ、テレビ、ラジオなどの広報媒体を活用し、徹底した広報活動、キャンペーンを行い、公共交通利用促進のお願いもしたいと考えている。
<質問5>
路面電車については、答弁になってない。強く要望というだけやった。公文書で存続を要求せよと言ったが、これに答えていない。それから、撤退になった際に撤退に同意しない、このことについて答えていない。
社会実験。いわゆる100円のコイン料金というか、これの協議が調わなかった。調わなかったからこういう車を閉め出すだけのことやっていいのかどうか。全体的なトータル的な取り組みをやってこそ、社会実験と言えるんじゃないかと思う。そして、実際、電車の関係で言えば、名鉄自身はこの社会実験に対して協力する姿勢があるのかどうか。増発だなんてことも当初言ってるわけだが、そのあたり名鉄自身は非協力的ではないのか。
それから、社会実験の中でも強調している一般の車の状況、沿線住民の影響、こういったことはわざわざ社会実験をやらなくても、これまでも役所が何かと委託をしてきた、そういうコンサルタントで影響評価はできる。影響評価ではないやり方で実際にやってみようというときには、トータル的な実験であってこそ値打ちがある。これではバランスが悪い。
高岡市に行って万葉線の関係で勉強してきたが、商店街もその鉄道業者も随分熱心で、こういう普通乗車券の引きかえ券を商店街が出している。
これは高岡のホテルではホテルとこの高岡駅前の無料券などをホテルに泊まった人に出している。この種の企画そのものも鉄道業者や地域の商店街の皆さんと一体となってやっている。そこまで整ってこそ初めて踏み切れるのではないか、今はちょっと準備不足じゃないのかな、と思う。
<市長答弁>
路面電車について公文書による申し入れをすべきではないかという指摘については、岐阜市は現在、岐阜市のみならず、沿線市町で沿線市町対策協議会を構成している。今現在、この対策協議会において存続要請文の提出を予定しているので、まずはこれにて対応をしていきたいと思っている。
さらに、廃止に対して同意すべきではないという質問については、現在、いつか廃線届が提出されるかと思うが、その時点で今回行う交通実験の評価も踏まえて、各種の状況を十分把握した上で判断をしたいと考えている。
社会実験はトータルな形で行うべきではないかとの指摘については、そのとおりである。私も色々な市町を見せてもらって、いろんな形で、ワンコインバスであるとかパーク・アンド・ライド、いろんなものが整備されている地域も見てきて、最終的には御指摘のとおり、全体としてバランスのとれた社会交通体系の整ったまちにしていきたいと思っているが、今回は実験であるので、できる限りのことだけはやっていきたいと思っている。
先ほど御指摘のように、ワンコイン電車がないというのはバランスが悪いのではないかという御指摘もあったが、ほかの部分も含めて、なるべく総合性を出してトータルな形でやっていきたいと考えている。
<市長答弁に対する発言>
路面電車については、対策協議会があるが、名鉄との協議は自治体との協議になると思う。岐阜市の市長としての申し入れがまず必要。撤退の関係については、今回、実験結果を踏まえて撤退に同意するかしないか、今回の実験結果なんて大体底が知れている。
車だけ排除して、お客の乗るような誘導策は何にもないわけだから。やってみてお客さん乗らんてこと見えているのではないか。大方の人がそう思っている。結局、これは市長のパフォーマンス、何か格好だけじゃないのか。
※このほか、建設委員会内でJR岐阜駅周辺開発整備事業費中、駅前広場周辺整備について、ペデストリアンデッキの高さに関する実施設計において、路面電車の駅前広場への乗り入れを想定しているかどうかが問われている。
さらに、公衆便所移設に関連して、県道拡幅工事に伴う路面電車の新岐阜駅とJR岐阜駅間の運転が休止されることについて、その理由や岐阜市への協議の有無等が問われている。また、路面電車の新規待機所が神田町9丁目南の交差点近くになることが想定されることから、交通安全対策上の危険性についても指摘されている。
(委員会の議事録がネット上で公開されていないため内容は不明)
<第4回定例会のまとめ>
実施が間近になった総合型交通社会実験、名鉄の撤退問題も絡んで活発な議論がなされている。
前半でも触れたLRTの導入、受け皿となる経営主体の検討といった話が市議会側から出てきたことは正直言って驚いた。逆に市の答弁を見ると「市民の理解が必要」という言葉を楯に、前向きな答弁は見られない。
「名古屋鉄道に対しては地域の公共交通を担う交通事業者として、その責務を全うしていただくよう存続に向けて強く要望をしたい」としておきながら、市長名による公文書ではなく、「沿線市町対策協議会の存続要請文の提出で対応したい」と答弁するなど、どうにもチグハグな印象が強い。
そして、総合型交通社会実験。
実際に実験期間中の岐阜市を訪れてみたが、路面電車やバスの乗客が増えたという印象はない。
結果的には自家用車の通行制限を行っただけで、誰も満足するような結果ではなかったように記憶している。
大体、自家用車から公共交通への利用客を誘導するためには、「公共交通を利用した方が得」という強いインセンティブが政策的に必要だと思う。例えば、質問中にもあったワンコイン制といった施策が。
そうしたインセンティブが名鉄の非協力により実現しなかった(「非協力」といっているが、それも交渉次第で、本来の運賃との差額を市と沿線自治体が負担すると言っていればどうなっていたかわからないように思う)時点で、この「総合型交通社会実験」の結末は見えていた。そこに何の意味があろうか。
いや、一つだけある。その答えは市長答弁の中に「今回行う交通実験の評価も踏まえて、各種の状況を十分把握した上で判断をしたい」という発言で見ることができる。廃線に同意するか否かの判断材料にするという。
そうであるならば、なおさら今回のような形の総合型交通社会実験は再考する余地はあったのではないか。いずれにせよ、総合型交通社会実験というのはまち作りの中に公共交通を含めた交通体系をどう配置するか検討するために実施すべきであり、今回のように鉄道事業者が存続意欲を無くしている時期に実施するものではない。
もし総合型社会交通実験を実施すべきであれば、名鉄に経営意欲があったであろう数年前に実施し、名鉄が撤退を表明した時点で総合型社会交通実験の結果を持って名鉄と議論し、議論が不調であれば経営継承の経営主体設立の上で存続、もしくは存続困難であれば代替交通機関の整備、といった形で時間をかけて詰めていくのが本来の形ではなかったか。
本来、路面電車を含めた公共交通の議論は受益者たる市民を交えてすべきだと思う。費用負担の問題等、判断材料を示し住民投票等の形を取って。幸いというべきか岐阜市と周辺自治体の合併構想の是非を問う住民投票を実施した自治体があったが、その機会に岐阜市周辺地域における公共交通体系を今後どうするか聞いても良かったのではないか。
岐阜市が路面電車の存続には「市民の理解」が必要だと言うのであれば。
まさか字数が上限の10,000字を突破するとは思わなかった。
そして、1回の定例会で路面電車に関する議論がこれほど取りあげられたこともなかった。
そこで、前回纏めきれなかった第5回定例会の後半及び所感を書いてみる。
後半でも社会交通実験の意義及び問題点について触れている。
<質問4>
路面電車の実験についてお尋ねしたい。
名鉄の姿勢は、岐阜市内の3線について撤退に向けて自治体と協議するという姿勢を明らかにした。これに対してどのように対応するか。経営状況について名鉄の幹部は、名鉄の高架の期成同盟会の折に美濃町線や揖斐線などは赤字だけれども、名古屋本線のおかげでどうにか経営は成り立っていると明言をしている。そればかりか美濃町線、揖斐線の状況について、これは出されている資料を見ましても決していい状況ではない。けれども、新岐阜駅で美濃町線や揖斐線の定期券を購入すると、これは名古屋本線の収益にカウントされると言っている。岐阜市の職員もこのことについては関心を持っていて、名鉄に対して、揖斐線や美濃町線を大変だということを強調するための作為があるんではないかと尋ねられているようであるが、名鉄の言い分は、そんなことはやってないと言っているが、果たしてこの言葉を額面どおり受け取っていいものかどうか。
愛知万博に向けてということで、先ほど申し上げたような岐阜公園内のもとの天理教街区に観光バスの駐車場を用意したり、鵜飼テラスでビアガーデンを開設したりしているが、愛知万博による誘客がこの岐阜市にどのように、どれだけあると見込んでいるのか。その中で名鉄電車が果たす役割はないと言い切れるのか。そうした課題も考慮に入れて、遅ればせながらだが、行政、市民が一体となって電車を守っていく、そういう立場を明確にして、名鉄に対しても今ここは一番、社会的な責任を果たしていただきたい、毅然とした態度での道理を尽くした協議に臨んでいただきたい。
そこで、岐阜市として公文書で存続を求めていただきたい。市長が何かの折にコメントするという程度ではなく、公文書での存続要求、それでも撤退となった場合には、撤退に同意しない、この態度を貫いていただきたいと思うが、市長はどう考えているか。
5月に発表のあった社会実験の概要のうち、行われるのは結局のところ一言で言って、車の抑制と規制である。市街地の中に車で入ってくるとこれは大変だ、走りづらいという環境づくり、それはわからなくもない。しかし、この実験に伴う道路事情への影響や経済的影響を心配する声もある。社会実験に関する資料でも、(抑制と規制の対象となった)道路がどうなるのか、どんな影響があるのかを試すために実験するということだが、実験をやらねば道路事情への影響などが果たして本当にわからないのか、疑問である。
同時に、それでも社会実験をやるという場合、道路事情への影響、渋滞問題など、あるいは中心市街地へのお客さんの入りの心配、これにどのように応えていくのか、あいまいなように思う。
走りづらくなったドライバーが果たして電車やバスに乗るという誘導策が十分なのか。当初予定されていた社会実験で幾つか説明がされているが、5月の資料では軌道敷内の通行不可能実験と、電停の安全島と、まあそれからバスレーンと、まちなか歩きと、レンタサイクルと、パーク・アンド・ライドをやる。しかし、実際の当初説明された時点では、もっといろいろ言っている。例えば、車でまちの中へ入っていった時に不便だなという思いをした人たちが電車に乗るように企画切符を出そう、路面電車運行の本数を増やそう、100円のコインの運行をしよう。自動車から公共交通への通勤方法の変更とか、要は、車が乗りづらいな、同時に、電車に乗ったら便利だ、ありがたい、値打ちがある、こういうものが同時に進まなければ、これは本当の意味での、いわゆる総合と名のつけた社会実験には値しないと考えている。
当初の予定していた総合的な事業展開がなぜできないでいるのか。そこのところが整わないだけで、そこのところが整っていないにもかかわらず、車だけを排除するというようなやり方というのはバランスが悪いんじゃないか。どう考えているか、市長に答えていただきたい。
<市長答弁>
名鉄に対する対応については、少子・高齢社会の進展、大気汚染など環境意識の高まりなど、社会状況の変化に対応するため、これまでの車中心の交通体系を見直し、今後は歩行者や自転車が安全に通行でき、また、路面電車、バスなどの公共交通が使いやすく、それに車を加えたそれぞれの交通手段が適切に組み合わされた交通体系に転換する必要があるのではないかと考えている。
このような交通政策の転換をすることにより、自動車を運転することができなくなる高齢者も、路面電車、バスなどの公共交通によって移動手段が確保され、また、歩行者や自転車がまちなかで主役になることにより、市民の健康が保たれ、また、商店街がにぎわうなど、人と環境に優しく活力のある21世紀の岐阜市のまちづくりを支えていくことになると考えている。
路面電車は郊外から通勤、通学の主要な公共交通として利用されている。今後、増加する高齢者がまちなかの短い距離を移動する交通機関としても有効に活用していくことが必要ではないかと考えている。10月中旬から実施の予定であるバスや路面電車、歩きや自転車に関するいわゆる総合型交通社会実験は、このような新しい交通政策を目指す中で、交通政策の効果あるいはそれに伴う影響を把握するものである。
名鉄電車、路面電車の存続に向けては市民を含めた約10万人に及ぶ署名も頂き、大変重く受けとめている。現在、沿線市町が一体となり「乗って残そう運動」も展開しているが、市民利用者の皆様方が路面電車に対して、自分たちの路面電車であるという意識を高めて頂き、さらに利用して頂くことが必要である。
名古屋鉄道に対しては地域の公共交通を担う交通事業者として、その責務を全うしていただくよう存続に向けて強く要望をしたいと思っている。
路面電車の軌道敷内通行不可あるいはバスレーン実験等に伴って、幹線道路などにおいて交通渋滞あるいは交通混雑の発生が予想される。このような交通状況を軽減するため、また、あわせて自動車利用から公共交通利用に転換していただくという観点から、社会実験に対する市民の理解、あるいは公共交通利用促進を図るとともに、徹底した広報活動、キャンペーンなどを行うことが必要であると認識をしている。
交通社会実験では施策の効果と一般交通に与える影響を把握するとともに、市民の皆様方から社会実験の体験に基づく意見を幅広く集め、そのような意見も反映しつつ市民と協働して持続的な交通政策の実施に結びつけていくことが必要であると考えている。
公共交通利用促進のメニューとして、バスレーンの実験に伴い、民間駐車場を利用したパーク・アンド・ライドあるいはサイクル・アンド・ライドなどの実験を予定しており、現在、市民のモニターを募集しているところである。路面電車の沿線市町とも連携を図りながら、バスや路面電車のパーク・アンド・ライド実験を今回の実験に盛り込めないか検討をしている。路面電車のワンコイン実験は、もともと入っていたのではないかという指摘であるが、関係者との協議が調わず実験メニューから外すこととした。
交通社会実験に伴う交通渋滞などの軽減、公共交通利用促進が必要であると考えているので、社会実験に対する市民の皆様方の御理解を深め、御協力をいただくことが重要であると考えている。このため広報ぎふ、テレビ、ラジオなどの広報媒体を活用し、徹底した広報活動、キャンペーンを行い、公共交通利用促進のお願いもしたいと考えている。
<質問5>
路面電車については、答弁になってない。強く要望というだけやった。公文書で存続を要求せよと言ったが、これに答えていない。それから、撤退になった際に撤退に同意しない、このことについて答えていない。
社会実験。いわゆる100円のコイン料金というか、これの協議が調わなかった。調わなかったからこういう車を閉め出すだけのことやっていいのかどうか。全体的なトータル的な取り組みをやってこそ、社会実験と言えるんじゃないかと思う。そして、実際、電車の関係で言えば、名鉄自身はこの社会実験に対して協力する姿勢があるのかどうか。増発だなんてことも当初言ってるわけだが、そのあたり名鉄自身は非協力的ではないのか。
それから、社会実験の中でも強調している一般の車の状況、沿線住民の影響、こういったことはわざわざ社会実験をやらなくても、これまでも役所が何かと委託をしてきた、そういうコンサルタントで影響評価はできる。影響評価ではないやり方で実際にやってみようというときには、トータル的な実験であってこそ値打ちがある。これではバランスが悪い。
高岡市に行って万葉線の関係で勉強してきたが、商店街もその鉄道業者も随分熱心で、こういう普通乗車券の引きかえ券を商店街が出している。
これは高岡のホテルではホテルとこの高岡駅前の無料券などをホテルに泊まった人に出している。この種の企画そのものも鉄道業者や地域の商店街の皆さんと一体となってやっている。そこまで整ってこそ初めて踏み切れるのではないか、今はちょっと準備不足じゃないのかな、と思う。
<市長答弁>
路面電車について公文書による申し入れをすべきではないかという指摘については、岐阜市は現在、岐阜市のみならず、沿線市町で沿線市町対策協議会を構成している。今現在、この対策協議会において存続要請文の提出を予定しているので、まずはこれにて対応をしていきたいと思っている。
さらに、廃止に対して同意すべきではないという質問については、現在、いつか廃線届が提出されるかと思うが、その時点で今回行う交通実験の評価も踏まえて、各種の状況を十分把握した上で判断をしたいと考えている。
社会実験はトータルな形で行うべきではないかとの指摘については、そのとおりである。私も色々な市町を見せてもらって、いろんな形で、ワンコインバスであるとかパーク・アンド・ライド、いろんなものが整備されている地域も見てきて、最終的には御指摘のとおり、全体としてバランスのとれた社会交通体系の整ったまちにしていきたいと思っているが、今回は実験であるので、できる限りのことだけはやっていきたいと思っている。
先ほど御指摘のように、ワンコイン電車がないというのはバランスが悪いのではないかという御指摘もあったが、ほかの部分も含めて、なるべく総合性を出してトータルな形でやっていきたいと考えている。
<市長答弁に対する発言>
路面電車については、対策協議会があるが、名鉄との協議は自治体との協議になると思う。岐阜市の市長としての申し入れがまず必要。撤退の関係については、今回、実験結果を踏まえて撤退に同意するかしないか、今回の実験結果なんて大体底が知れている。
車だけ排除して、お客の乗るような誘導策は何にもないわけだから。やってみてお客さん乗らんてこと見えているのではないか。大方の人がそう思っている。結局、これは市長のパフォーマンス、何か格好だけじゃないのか。
※このほか、建設委員会内でJR岐阜駅周辺開発整備事業費中、駅前広場周辺整備について、ペデストリアンデッキの高さに関する実施設計において、路面電車の駅前広場への乗り入れを想定しているかどうかが問われている。
さらに、公衆便所移設に関連して、県道拡幅工事に伴う路面電車の新岐阜駅とJR岐阜駅間の運転が休止されることについて、その理由や岐阜市への協議の有無等が問われている。また、路面電車の新規待機所が神田町9丁目南の交差点近くになることが想定されることから、交通安全対策上の危険性についても指摘されている。
(委員会の議事録がネット上で公開されていないため内容は不明)
<第4回定例会のまとめ>
実施が間近になった総合型交通社会実験、名鉄の撤退問題も絡んで活発な議論がなされている。
前半でも触れたLRTの導入、受け皿となる経営主体の検討といった話が市議会側から出てきたことは正直言って驚いた。逆に市の答弁を見ると「市民の理解が必要」という言葉を楯に、前向きな答弁は見られない。
「名古屋鉄道に対しては地域の公共交通を担う交通事業者として、その責務を全うしていただくよう存続に向けて強く要望をしたい」としておきながら、市長名による公文書ではなく、「沿線市町対策協議会の存続要請文の提出で対応したい」と答弁するなど、どうにもチグハグな印象が強い。
そして、総合型交通社会実験。
実際に実験期間中の岐阜市を訪れてみたが、路面電車やバスの乗客が増えたという印象はない。
結果的には自家用車の通行制限を行っただけで、誰も満足するような結果ではなかったように記憶している。
大体、自家用車から公共交通への利用客を誘導するためには、「公共交通を利用した方が得」という強いインセンティブが政策的に必要だと思う。例えば、質問中にもあったワンコイン制といった施策が。
そうしたインセンティブが名鉄の非協力により実現しなかった(「非協力」といっているが、それも交渉次第で、本来の運賃との差額を市と沿線自治体が負担すると言っていればどうなっていたかわからないように思う)時点で、この「総合型交通社会実験」の結末は見えていた。そこに何の意味があろうか。
いや、一つだけある。その答えは市長答弁の中に「今回行う交通実験の評価も踏まえて、各種の状況を十分把握した上で判断をしたい」という発言で見ることができる。廃線に同意するか否かの判断材料にするという。
そうであるならば、なおさら今回のような形の総合型交通社会実験は再考する余地はあったのではないか。いずれにせよ、総合型交通社会実験というのはまち作りの中に公共交通を含めた交通体系をどう配置するか検討するために実施すべきであり、今回のように鉄道事業者が存続意欲を無くしている時期に実施するものではない。
もし総合型社会交通実験を実施すべきであれば、名鉄に経営意欲があったであろう数年前に実施し、名鉄が撤退を表明した時点で総合型社会交通実験の結果を持って名鉄と議論し、議論が不調であれば経営継承の経営主体設立の上で存続、もしくは存続困難であれば代替交通機関の整備、といった形で時間をかけて詰めていくのが本来の形ではなかったか。
本来、路面電車を含めた公共交通の議論は受益者たる市民を交えてすべきだと思う。費用負担の問題等、判断材料を示し住民投票等の形を取って。幸いというべきか岐阜市と周辺自治体の合併構想の是非を問う住民投票を実施した自治体があったが、その機会に岐阜市周辺地域における公共交通体系を今後どうするか聞いても良かったのではないか。
岐阜市が路面電車の存続には「市民の理解」が必要だと言うのであれば。