Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

「揖斐線、美濃町線、市内線レール保存と便利で快適な再生を望む市民の集い」にちょっとだけ行ってみた。

2005-02-21 06:44:14 | 鉄道(岐阜の路面電車と周辺情報)
タイトルが長くて申し訳ない。こんな時に自分のセンスのなさを痛感する。

それはさておき、新聞記事やネットでこんなイベントが20日に開催されることを知った。

「岐阜市路面電車:NPOが再生プランを発表 来月の廃止前に行政に再考促す」

NPOがどんな再生プランを描いているか関心があったので、昨日岐阜を訪れた際に行ってみた。
ただし、電車の撮影を最優先にしたスケジュールの合間を縫って行ったため、実際に聞くことができたのは二部構成の内、午前に開催された第一部のみ。しかもその一部しか聞けなかった。
もっとも、聞きたかったのは「その一部」だけだったので、自分としては満足している。
このため、自分が見聞した範囲というのは、非常に断片的かつごく僅かなものであることをご了承願いたいと思う。

岐阜高島屋のある柳ヶ瀬へ行ったのは、実のところ初めてかもしれない。
幼少時に行ったかもしれないが、その記憶はない。そうすると、自発的に行くのは今回が初めてだ。
岐阜高島屋はすぐに見つかったが、1階のブランド品売り場は商品の取り扱いを16日に終了したとかで、目下改装中。フロアの活気はなかった。上の階へ上がってもあまりお客の姿は見られない。
そんな岐阜高島屋を通り抜けて会場となる「わくわくステージ」に着いた。既にイベントは始まっており、利用者をはじめとするマイクアピールの真っ最中だった。
一番聞きたかった「岐阜路面電車再生プラン」はまだ始まっていないようだったので、ホッとする。

チラシを受け取って、立ち見する。パイプ椅子は既に埋まっていた。
会場にいる参加者を見ると、年配の人が多い。路面電車廃止の影響を真っ先に受けるということで関心が高いのか、単に暇つぶしなのかはわからない。その中にちらほらと若い人の姿も見える。
意外だったのは鉄道ファンの姿が思ったより少なかったように思えたことだろうか。
この日は510形の団体臨時列車が走ったため、こちらの追いかけをしている(かくいう自分もその一人)か、それとも廃止が確定的なものになったので、何をやっても無駄と諦めの境地に達しているため関心が低いのだろうか、などとそんな事をチラシを見ながら思っている内に、お目当ての「岐阜路面電車再生プラン」の発表が始まった。

資料については「交通ビジネス研究会」のH17.1.1のエントリーを見てほしい。
基本的に同一の内容で説明が行われているが、説明及びその感想、説明を聞いて疑問に思った点を列挙してみた。
説明要旨については聞き取れた範囲のみ。それもどれだけ正確に聞き取れたかは自信が持てないので、せいぜい参考程度に見て頂ければ幸いである。

(説明要旨)
・「岐阜路面電車の現状」
岐阜市人口40万人のうち1/80しか利用していない。
(感想)
いかに利用者数が少なかったかを具体的に数値で示されると、改めて驚くしかない。

・「路面電車は再生できる」
(説明要旨)
路面電車が利用されるようになるには、スピードアップが必要。遅い交通機関は誰も利用しない。
スピードアップには軌道敷自動車乗入禁止、交差点優先信号の導入が必要だが、これらの改善は名鉄が長年要望してきたが、路面電車利用者の少なさを理由(少数の路面電車利用者に不当に利益をもたらし、ドライバーが受ける利益とのバランスを欠く)として拒まれてきたものだという。

運転頻度向上については、現状の市内線が15分間隔となっているが、これでは使い物にならない。揖斐線・市内線通じて10分間隔にする。徹明町・競輪場前は当面休止し、将来の復活に備える。美濃町線・田神線は朝夕のみ運転する。将来的にはJR岐阜駅高架下まで延伸し、直接JRへの乗換を可能にする。駅前広場への乗り入れ事例は数あれど、直接乗換までを考えるのは初めてになる。

運賃については、ハイテク運賃収受、通学定期運賃のバス並への引き上げが必要である。今時乗務員が運賃収受を行うのは時代遅れ。また、バスで高い通学定期運賃が認められて、路面電車で認められないのはおかしい。民間事業で稼げる所は稼ぐ必要がある。また、需要を喚起する目的で短距離運賃は値下げする。

(感想及び疑問点)
スピードアップの必要性については同感。行政サイドがその点を早期に考慮していれば、廃止には至らなかったかも知れないと思う。
運転頻度向上の必要性は認めるが、その車両及び人員をどう手当するか。
名鉄で使用していた車両を継承するとしても、比較的新しい車両は売却先が決まりつつあるためアテにはできない。残存している古い車両では提案者の意図を達成することは困難だと思うし、車両数が絶対的に足りない。また、新車を導入するにしてもその費用はどうするのか。
人員についても、名鉄の社員については空港関連事業をはじめとする各種事業に配転することで労使合意を見ているため、名鉄に人材を求めるのは難しいのではないか。
徹明町・競輪場前間は「当面休止」というが、休止であっても維持は必要であり、その費用負担をどうするか。また、軌道法適用である同区間について、休止を前提とした道路占用をはじめとする法的手続が可能だろうか。
田神線・美濃町線を朝夕のみの運転としているが、現状でも赤字である両線の採算性確保はより困難になるのではないか。

・「収支予測」
(説明要旨)
採算ラインとしては利用者及び単価が現状のそれぞれ1.5倍、1.3倍と見ている。
収支予測については、17年度赤字2.7億円、18年度赤字1.6億円、19年度黒字0.1億円。
(感想)
収支の詳細が出ていないため、現時点で数字の是非を云々するのは時期尚早と思う。しかし、昨日聞いた範囲では説得力を到底持ち得ない。収支が一番肝心であるため、これをボカした議論はあり得ない。
この点に最も興味があっただけに肩透かしを食わされた気分を味わった。

行政や鉄道事業者へ提案する以上、収支については更に詳細かつ具体的な資料が必要ではないか。詳細な資料を外部へ積極的に公表していくことで様々な立場の人々の評価を得ていく必要があると思う。
ただ、単価は値上げで上げることはできるが、利用者の伸びが50%というのは現状から見てちょっと楽観的かなという気がする。

・その他
商店街と路面電車で連携することが必要。これまでは全くそうした動きはなかった。
また、コネックス社幹部と提案者が21日に会うという(今日発表されたプランがコネックス社の計画案として採用されるのか?)。

以上、ここまで色々と書いてみた。
僅かな時間しか会場にいられなかったが、非常に得るものが多い一時だった。
あくまでも、聞き取り内容も個人の主観によって書かれたものであり、欠落している所も多い。
もっと上手に整理されている人がいると思うので、できれば、そうした記事と合わせて見て頂けると大変有り難いと切に思う。

関連記事:「岐阜市は「路面電車」をどう議論してきたか?(その7・前編)」
 

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