Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

名鉄、沿線自治体へ揖斐線廃線跡の売買協議申し入れ。

2005-09-30 06:19:05 | 鉄道(岐阜の路面電車と周辺情報)
名鉄揖斐線をはじめとする岐阜の路面電車が姿を消して半年。
代替バスも来月から増発され、表面上はかなり落ち着いてきた印象も受ける。
そんな矢先、名鉄が揖斐線の廃線跡の売買協議を沿線自治体に申し入れた旨が昨日の岐阜新聞に掲載されていた。
記事の要旨は次のとおり。

・名鉄取締役不動産事業本部副本部長兼土地事業部長(・・・長い)が28日、沿線自治体だった本巣市と揖斐郡大野町に対して跡地の一括購入を基本とする売買協議を正式に申し入れた。この申し入れに対して、本巣市と大野町は無償譲渡を基本にほかの沿線市町と協議していく意向を示した。
・名鉄としては、行政が跡地を一体的に有効活用する計画を早期に立て、一括購入することを希望しており、売却希望価格は2000年の固定資産評価額。「経営が厳しい中、無償譲渡には応じられない」との意向を伝えている。
・名鉄は今後も本巣郡北方町などほかの沿線市町にも交渉を申し入れる予定。

廃線後の処理で一番厄介だと思われる、敷地の処分。
鉄道用地というのは線路という「線」と駅や車庫といった「面」で構成されている訳で、面的に再開発が可能な後者はまだしも、前者の処分というのはなかなか難しい物がある。
谷汲線を廃止した時も名鉄は有償譲渡を主張したが、確かこの時も無償譲渡を主張する沿線自治体と結局条件面で折り合わなかった記憶がある。
その結果、今に至るも廃線跡が残る事になった。

しかも売買価格が「2000年の固定資産評価額」とは、強気だなと思う。
名鉄としては最初は強気に出ておいて、沿線自治体側から妥協を引き出そうというのだろうか。
ただ、名鉄が描く「沿線自治体が協力して一体的に跡地利用を計画する」、という前提にそもそもムリがあるような気もする。
線路跡を一括して使用するというのであれば、せいぜいサイクリングロードや遊歩道にするのが関の山。
その意味では沿線自治体から見て「使い勝手の良い土地」とは言えない。
逆に言えば、沿線自治体側で前提条件が揃い、売買条件で折り合いがつかない限りは売却できないという事になる。
その間の廃線後の管理は名鉄が行う訳で、名鉄と沿線自治体、どちらが先に折れるかという「我慢くらべ」の要素もある。

それからもう一つ。
今回は旧揖斐線の沿線自治体へ売買協議を申し入れたが、岐阜市と旧美濃町線の沿線自治体にはどう対応していくのだろうか。「今後申し入れ」としているが、やはり路面電車復活運動の趨勢(岐阜県に動きがないところを見ると、結末は見えているという印象が強い)を見てから動くということだろうか。
また、旧忠節駅跡や旧岐阜検車区といった面的開発が見込める物件も譲渡の対象にするのだろうか。
名鉄側で面的開発が見込める場所は沿線自治体の譲渡対象から除外していると思えてならない。

いずれにせよ、この問題、使い勝手が悪い土地を高値で売ろうとする強気な名鉄と、無償譲渡なら応じる自治体の溝は深い。
路面電車再生運動の話は別にしても長丁場になりそうである。

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