森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

日記:いまさらながら,コミュニケーションは人を育てる一番のツールである.

2010年12月09日 06時43分48秒 | 日記
人生とはかけがえのない経験の連続です.
それはときとして,自分の予想だにしない結果を招き,
自分を戒めることもありますが,
生きている限り,そして,私の前頭葉がある限り,
それを反省し,糧とし,乗りこえようとする意志がある限り,
私たちは地に足をつけ,大地を歩いていける,
そのようなことが身にしみている,ここ数週間です.

大切な人の存在があるからこそ,
人は自分の一生を塗っていくことができる,
人は人に彩られる部分がある,だからこそ,経験を創る,
そして,時には経験を操作し,変えていくプロセスは重要だと思います.
認知神経リハビリテーションも,そもそもは学習という観点に意味があり,
経験を創る,新たな身体を創るという意味を持つものでした.
その一部に,すなわち学習のプロセスにおいて,
伸張反応の制御という意味の様相がありましたが,
いつの間にか,それがすべて,100%.
すなわち,麻痺を治すという視点オンリーに話が進み,
これでは旧体系の視点に逆戻りではないかと危惧しています.

現実的,現代的な方向に舵を切らないと,
歴史は繰り返される場合があります.
人間はいつしか盲目になる特徴を持っています.
科学という舵を持ち,
そして時には哲学というバイブルを参考に,
自らの枠組みというルール,すなわち道徳の範疇でリハビリテーションを展開しないと,世間はそれを認知していなかないでしょう.

外界あっての内界,内界あっての外界ですから,
それらに整合性がなければ,矛盾が生じ,
いつしか整合性が保たれなければ,
不快という情動が生み出してくるでしょう.
もうすでに,それは始っています.
裏切られた期待への序章ははじまっているような気がします.
医療・介護の中で生活,つまり給与をいただいている以上,
そこを逸脱することはできないし,
ある程度の効果もきちんと示していかなければならない.
机上の空論は学者に任せておけばよい.
セラピストは結果を示し,そして学者とコラボレーションし,
英語圏に打ってでるように準備し,世界レベルで展開しないといけない.
なぜなら,この仕事はボーダレスだから.

そのようなことを研究室のメンバーと考えています.


さて,先週の土曜日は,新潟より大西先生,久保先生,北海道より浅賀先生をお迎えし,
畿央大学で,日本理学療法士協会基礎理学療法部会の認定理学療法士の講習会を行いました.
畿央大学がホストになるとは初めてですが,
私が基礎理学療法部会の協力部員ですのでその関係で行いました.
当日は近隣のセラピストが120名,学生が80名ほど参加し,
盛況に終わりました.
講義は多岐にわたり,一貫性がありつつ,ない場合もあり,
これが運動制御と運動学習というお題であっても,
研究手法が異なっている場合は,立脚するのが難しいと思いつつ,
そのようなことは無視して,誰かの,どこかに勉強の意味を見出せば,
それを臨床に置き換えて治療の一助にすることができれば,
これはこれでいいのだとも思いました.
基礎の役割はそういうものだと割り切ることも時には大切です.
ファッションだけでは治療できません.
莫大な知識,つまり表には出ないが,臨床意思決定に役立つ,
奥行きある知識をつくっていくための環境の一つに講習会がなればと思います.

当日は本学の福本先生,前岡先生,岡田先生,そして院生の山田さんがスタッフとして活躍してくれました.
何も言わずに,自分の予想を超える働きで,気がつく人間は気がつくんだと思い,
ニューロリハビリテーションセミナーの同僚,松尾先生,冷水先生を含めて,
うちのスタッフは脳幹から前頭葉まできちんと機能しているとつくづく思いました.
大西先生より,うちのスタッフに対しておほめの言葉をいただきました.

これも私の役どくか(笑)!

私はたまたまみんなよりキャリアがあり,年上ですが,
まだ39歳.
だからこそ,まだまだ自分も一緒に走り続けなければなりません.
本だけでなく,原著論文も書かないと自らを叱咤激励しています.
昔は年間6本ぐらいを操作していましたが,
今は1本掲載させればいい方.
しかし,それを続けなければならない.
この業界の研究室はそれをしなかったから,現状を作ってしまった.

大学院生が30名ほど,学部ゼミ生が10名ほど,そして同僚,年間50ぐらいの研究をモニタリングしていきながら,自分の研究をして,著書を年には1冊をと考えてる自分.
そして年間50本の講演.
時に,自分の歩き様に自らが疑問を持つ場合もあるし,
誰にも相談できない立場,すなわち,できて当たり前の立場になっていることに
このままの人生でいいのかと不安になることもありますが,
そんなものは,つまり理由はすべて後付け.
それを,その場,その場で意思決定してきた自分を考えれば,
これはこれでいいんだと思います.
意思決定は最終的に論理だけでは決められません.
コンビニのドリンクの棚で選ぶお茶のようなもの.

だから,その時,そのような判断を下したんだと思えば,
振り返った時,それは肯定の人生を作ることができる.
あの時,どうして,あの判断を,あの行動をとあとで反省することもあるのですが,
その時,そう自分の前頭前野が決断したんだ,
そう思えば,その人生も反省はしても,後悔することはない.
恋愛も同じようなもの.
反省は人生に必要ですが,後悔は必要なし.
前を向いて歩いていかなければならない.
時に,それが人生にとって大きな障壁になろうとも,
それが私自身の経験.
いつかわらって話せるときがくる.


さてさて,また話がそれてきました.
私はブログを書くときに,あらかじめテーマをもっておらず,
その時に気が向くまま,キーボードをタッチしています.
これを書こうという意志でなく,
書くことで,意志が勝手に生み出される,そんな感じです.


火曜日は東京日帰りでした.
東京都リハビリテーション病院での2時間講演でした.
11時に奈良をたち,16時に下町の浅草へ.
スカイツリーを横目に,銀杏並木を通り,病院まで.
銀杏並木を見ながら,15歳から18歳の人生を彩った母校を回想しました.



今回,コーディネートの福井由美子先生にお出迎えいただき,
昨年のパート2として,話を始めました.
今回は可塑性を封印して,上肢・下肢運動の脳内機構から,
運動療法を考える作業をしました.

ここでの講義はマット上にあぐら,横すわりという面白いスタイル.
それもある意味なれて,楽しむことができはじめました.
これも人間関係の形成に基づく,私の見えない心情.
人はコミュニケーションを形成することで,
自分の心情を安定させる.
セロトニンという神経伝達物質は,
他のものと比べて,脳全体にいきわたる.
ドーパミンなどは前頭葉にしかわたらないのですが,
セロトニンはまんべんなくわたっていき.
いかにコミュニケーションによる準備が必要か,
そんなことを考えました.
セラピー前にそのような準備がとれているだろうか??

18時半に講演を終え,19時半の東京発の新幹線に乗り,
23時半に奈良に到着.
講演は2時間,往復10時間の旅はあっという間に終わりました.
グリーン車が唯一私の支えになっています.

大学のメンバーはニューロリハビリテーションセミナーの準備で大慌てです.
私も資料提出締切前,図を70ほどつくりました.
来週の臨床編は,基礎編,応用編と続いた,そうまとめ.
皆さんの期待にこたえることができるか,さすがに今回は不安ですが,
見切り発車であっても,動き始め,年を重ねるごと,更新し,
よき情報提供,コミュニケーションの場としていきたいと思っています.

ニューロリハビリテーションセミナーにどうぞお越しください.
お待ちしております.

CRに掲載.

2010年12月07日 10時44分09秒 | インフォメーション
国際学術雑誌「Clinical Rehabilitation」に私の論文「Effects of plantar perception training on standing posture balance in the old-old and the very old living in nursing facilities: a randomized controlled trial」がアクセプトされました.掲載は来年の7月のようです.共著で関わった冷水氏の「Effects of dual task balance training on the ability of dual task performance in the elderly people: a randomized controlled trial」も掲載が7月ですので,畿央大学から2本の論文がその号に掲載されることになります.