森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

Neuroreport電子版

2010年12月19日 19時38分33秒 | インフォメーション


ニューロリハビリテーショングループの松尾准教授の筆頭論文がNeuroreportの電子版に掲載されました.

Neuroreport. 2010 Dec 10. [Epub ahead of print]

Enhancement of precise hand movement by transcranial direct current stimulation.
Matsuo A, Maeoka H, Hiyamizu M, Shomoto K, Morioka S, Seki K.

aDepartment of Physical Therapy, Faculty of Health Science, Kio University bKobe University Graduate School of Health Sciences, Japan.


日記:ニューロン人間

2010年12月19日 19時24分30秒 | インフォメーション
天候にも恵まれ,畿央大学において,
臨床編のニューロリハビリテーションセミナーを2日間にわたって開催しました.
全国から200名ほどのセラピストが集まり,
病態を神経機構から捉える,そして病態に対する神経リハビリテーションについて
考えることを目的に,我々畿央大学のスタッフの講義を聴いていただきました.

土曜日は大学院生の神経可塑性から始まり,
パーキンソン病の神経機構まで,
2日目は失行の神経機構からクリニカルリーズニングまで,
幅広い講義展開でしたので,
情報過多になってしまい,おそらく聴講者の脳は
何度か酸欠になり,意識,注意が飛んだと思いますが,
どこかに興味をもって,その1年のテーマとしていただき,
勉強をしていってもらえればと思います.
現実な,現在進行形な患者さんの治療,病態解釈ももちろん大切ですが,
未来の患者さんという視点も持ちつつ,
自分の興味・関心も優先して,強化学習してもらえればと思います.

私の講義は最近●ネタが多く(twitterにまで書かれ・・このニューロリハビリテーションセミナーでH先生から伝染したのですが・・・・)
反省しきりですが,
40歳からはそうしないと誓いつつ,
新たな笑いを模索したいと思います・・・違いますね・・・
ではなく,きちんとした神経科学,そして,どのように臨床に応用するかについて,
リーズニングの視点を提供することができればと思います.
そろそろ具体化しつつ,情報提供できる場を考えます.

次年度はセミナーを継続するとともに,随時更新し,
新しい情報を入れ,古い情報と精査しながら,
資料,講演スタイルをみんなで話し合い,
もっと良いものを作ろうと考えています.
過不足ない情報を意識して,
チームとしてニューロリハビリテーションに立ち向かおうと思っています.

Evidence based rehabilitationとしての臨床介入研究に基づく治療の選択・意思決定をし,
Science based rehabilitationとしての基礎実験研究に基づく治療の開発・意思決定をし,
Hypothesis guided rehabilitationとしての行動・現象・病態の解読に基づく治療仮説の考案・意思決定をし,それぞれが単独でなく,知識と知恵を融合させながら,
情報収集,選択,思考.決断というセラピストは脳をフル回転させながら,
Clinical reasoning(臨床推論)し,Clinical decision making(臨床意思決定)していかなければなりません.
そして,Clinical designをself and teamで行い,総合的な知識と知恵の結合・創発することで,患者に対してよりよい治療を提供できるように絶え間ない努力が必要です.
それには,リハビリテーションに対する愛情と,なによりも,まじめさが必要になります.

基礎編,応用編,臨床編の3回ともに来ていただいた方には本当に感謝する次第です.
受講費に見合った講義をできているだろうかと思うと,
反省する部分も多々ありますが,
後ろ向きに反省するのでなく,前向きに自省し,
皆さんの受講費を無駄にせず,
新たな情報収集を怠らず,
もっと良い情報を誌面などで提供できればと思います.
3年ほど,精査しながら,熟成し,まとめたいと思っています.
(8講座,1万円は安い方でしょう...)

来ていただいた方に,この場を借りてお礼を申し上げます.
リハビリテーションを良くするために,我々も実験を含めて情報収集を怠らないように襟を正し,意義ある研究を実施できればと考えております.

なお,次年度は,研究大会を考えており,
症例検討を中心に,神経科学との接点を議論することもしたいと思っていますし,
失認だけで,1日なんてことも思っています.
また機会あれば参加してもらえればと思います.

大学でチームで1つのものに対して共同注意し,
1つのものをつくっていく,この感覚は単独で一方向に講演するときよりも,ずっと私にとって意味があり,達成感があります.
他人から教えられ,気づくことが生涯あることは,
人間として生まれ,なんて楽しいことで,大切なことなのかを知ることができます.
1つのものに凝り固まってしまわないように,日々自分自身を更新し続けたいと思えることができるのは,自分の柔軟性であり,それを後押ししてくれる仲間です.
我々の社会自体がニューロン関係のようで.
組織化していくためには,手をつなぎ協調することがとても大切であり,
反射的にステレオタイプに好き嫌いだけで否定する時代に対してはもう引導を渡したいと思っています.

真の幸せとは? そんなことを考えながら.