森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

日記:お礼と願い・苦言

2011年09月16日 11時08分14秒 | 日記
先週末,無事にニューロリハビリテーションセミナー応用編を開催し,
無事に終了することができました.
全国から200名強のセラピストの参加をいただきました.

内容は,前回の基礎編は
脳の構造から機能を考えるものでした.
今回は様々な人間の持つ機能から脳のネットワークを考えるものです.

すぐさま臨床に直結することを求められますが,
脳は人間の脳が考える以上に複雑です.
だから,並大抵な知識ではその仕組み,機能を理解することができません.

だから,テクニックに走る前に,
本当の知識を持って,患者さんに対峙しなければならないと思うのです.
残念ながら,養成校では運動学はあっても神経科学がカリキュラムの骨格に置かれていることはありません.

けれども,おかしいと思いませんか.
リハビリテーションの対象疾患の半数以上は脳損傷です.
脳を知らずして,治療,適応練習を行っているともいえるのです.

動作を観察して,運動学の知識を持って,
患者の動作を分析し,
仮説をたて,それを検証する作業はされていても,

行為を観察して,神経科学の知識を持って,
患者の行為を分析し,
仮説をたて,それを検証する作業があっても良いのではないかと思うのです.

むしろ,脳の科学の発展に伴い,
それは必然にもなってきました.

だからセラピストは,運動学の知識はもちろんのこと,
そして神経科学の知識をもって患者さんに対峙しないといけないと思うのです.
これを乗り越えれば,はじめてその科学の弱点を埋める現象学をつかって,
患者さんの内を観察し,リーズニングする必要があるのだと思います.
現象から言うと医療は医学モデルから脱却できていません.
生活モデルをと声高にいっても,
医学モデルを完璧に利用できていないのも現実です.
私は生活モデルを重要視する立場にいるのは間違いないのですが,
医学モデル,すなわち科学を知らぬまま,そちらだけで論議しても,
それでは,医療の世界全体を説得することはできないのです.

だからこそ,スキルアップと同様に,
相当の知識をつけることが必要でしょう.
想像は知識よりも大切ですが,
それは知識あっての想像ともいえます.
知識は裏切らないのです.

脳の病気を見ているにも関わらず,
脳の知識がないのは,少し問題ではないでしょうか.

応用編では脳のシステム機能を解説しました.
日常当たり前の生活を可能にしているのは脳のシステム機能です.
そのシステム機能は身体と環境が相互作用することで,
柔軟に変化していきます.
だから,構造で解説したここはこの機能を持つ,
という視点もこの関係で,そうではない現象を生み出します.
それだけスペクトラルに満ち溢れた器官が脳と言えるでしょう.

是非ともリハビリテーションに携わるセラピストには
運動学を学ぶように,この神経科学を学んでもらいたいと思います.
そして,それを臨床に落とし込めるように,
リーズニングしてもらいたいと思います.

アンケートはとても良好な返事をいただきました.
残念ながら,2点だけ,回答しておきたいと思います.

当日のビデオ撮影はお断りしました.
一方.カメラ撮影は良心の範囲で可能にしましたが,
そのシャッター音,フラッシュで不愉快になった方が数名いました.

僕からいえば,どっちもどっちなのですが.
本来ならば,どの学会でも人の画像を写真でとるなんていうことはありません.
その代りに我々は図の出典を明記しているのですから.
その出典先にあたってもらいたいと思います.
撮影がいわば,反射のようになっていました.
誰かが撮影していたら,私もというように.

道徳と脳機能についても説明があったでしょう.

まあ,私ならそのシャッター音がうるさい人間をが隣にいたら,
道徳を教えますが...


こうした写真も伝達講習するために本セミナーを聴くというのは本末転倒なような気もします.
あとあと,そういう写真を見るのかな...私はそんなことがないから理解できないだけかもしれませんが.


あと資料とスライドの順番が異なるとか意見もありますが,
これもその日の10分前までいわゆる理解度の促進を考え,
順番を入れ替える場合があります.
これもメモをとるために,そのような意見があるのだと思いますが,
メモをとることに執着せずに,聴くこと,
そして自分の患者にあてはめながら聴くことを願いします.
必要ないと思えば,自己意識のに基づいて消去してください.
脳は自分に関心があるところのみ強化します.
全部をメモするというのはいわば,ステレオタイプな行動にすぎないと思うのです.

反射,ステレオタイプそのようなことも解説しました.
自己の脳を分析できないものが,患者の脳には向きあえません.
なんとか,そのラインを一ランク上にあげてもらいたいと思います.

これが私の切な願いです.


いずれにしても,みなさんのご協力あって無事に終了することができました.
私たち一同,方法論のみに盲目的にならず,治療にあたるそのような臨床が進んでいくことを願っています.
その一助になればと思い,今後もしばらくは続けてみようと思います.

参加された皆さんに心よりお礼申し上げます.


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