森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

日記:思考の循環

2010年10月20日 06時57分28秒 | 日記
ここ最近,ブログがすっかりとどこっていました,
忙しさにまけてでなく,身体的問題が大きく,
10月の週末のスケジュールに負けて,
少し,心身を崩していました.
復調とはいっていないのですが,
徐々に,持ち直しつつあると思っていますがが,
それは気力による自らに対する叱咤激励であり,
本来の私自身は休息を希望しているのかもしれません.

まあ,そんなことは言ってられないので,前にとりあえず,進むのみです.

そんな進行を後押ししてくれたのが,昨日の樋口先生の講演でした.
彼の2ヶ月ちょっと講演続きで,
声,のどがやられ,最悪の体調のなか畿央大学に来てくれました.
話すということは喉を酷使し,声を出すことで乾燥し,
咳をすることで,さらに悪化するという負のスパイラルに陥るのですが,
彼もそれが見え隠れしながらの講演でして,今の自分の体調とつながるのですが,
彼は彼の一人称を生きているのだと思います.

本講演には,院生,ゼミ生,近隣のセラピスト100名ほどが集まっていただきました.
今回は臨床の視点でなく,研究者の視点から話してもらいたいという意見に快く引き受けてくれて,論理の構築の重要性,コントロールの吟味,科学的といわれる所以,美しい論文とは,そして.臨床をしながらの大学院生とは何なのか?ということを話してくれました.
もちろん彼らの研究グループの空間認知や,歩行時の視線,またぎ動作などの研究成果も公表していただきました.
実にシンプルな研究ですが,ロジックな展開を心得ているというのが印象です.
もちろん,仮説の吟味において,不十分と感じるものもありますが,
それが「科学」なのです.

今回の講演で彼らの研究グループから学んだこと,そして臨床の院生に言いたいことは,

1) 仮説が動いているということ
概して,いや特にメソドロジー(手技)から学んでいるものは,仮説が動いていない.5年も10年も前の仮説で主義主張している.それが普遍なのかの吟味ない.
2) データを捨てないということ
概して,自分の仮説が検証できなければ,そのデータを破棄し,すぐさま検証方法(仮説変更も含む)を変えようとする.得られたデータは真実である.そのデータを多角的に眺めることで,真の現象を読み解くことができる.結果を急いではならない.いつのまにか先行研究のバイアスの呪縛に入っている場合が多々ある.

1),2)とも古い自分の思考から,一歩前に進むために必要な手続きです.
そのようなことを彼の講演を聞きながら感じました.

樋口先生には,私が2005年にうちの松尾先生と二人で参加した国際姿勢歩行学会(ISPGR,マルセイユで開催)ではじめてお会いしました.
全く別々で参加し,全く知らない研究者同士.
たまたま隣の席に座った,カナダ・ウオータールー大学(kれの師匠は歩行研究で有名なDr Patla)から来た彼と一言二言しかしゃべってはないと思いますが,その3年後に一緒にを書くことになるとは,
人との出会いは実に面白いものです.

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